昨年12月にHR総研にて実施した「シニア活躍支援に関するアンケート」の結果について、シニア活躍に関する専門家であるHR総研上席コンサルタント・藤岡 長道氏による寄稿レポートを紹介する。

藤岡長道氏 プロフィール

HR総研上席コンサルタント
合同会社FJRC代表社員(nf@fjrc.co.jp)
 
<略歴>
人間の能力=気力X体力X知力X魅力であり、それを開花させることが組織の使命だと信じてファイナンス分野から転身、組織開発・人材開発がライフワーク。
日本人材マネジメント協会理事長、ATD G.N.Japan 理事。
野村総合研究所秘書室長、人材開発部長、野村證券企業調査部長、
野村信託銀行取締役、野村證券人材開発部シニアHRDアドバイザー等を経験。
株式会社ワークハピネス チーフ・カタリストを経て、現職。

藤岡 長道氏による寄稿レポート 本文

アンケートの結果を読みながら、私は各社の人事の方がシニア対応に苦労されている姿を想像するとともに、対策の現状に危機感を持った。過去、日本企業が収益を伸ばせたのにはいくつかの構造要因があった。第一に2010年までの国内人口の増加、第二に輸出または直接投資市場の拡大、第三に輸出拡大が難しい局面での政府支出、第四に金融緩和による民間投資を刺激する政策。現在、このすべての構造要因が機能を弱めるか、または逆転している。その中で、長期的に最もインパクトの大きな要因は人口の減少傾向(同時進行の高齢化)である。

今後の人口ピラミッドの形をイメージすれば、高齢者の生活を支えるために、高齢者ができるだけ働くこと、つまりなんらかの形で経済的な活動を継続することが必要なのは明らかだ。少なくとも後期高齢者(75歳以上)になる前まで、できるだけ職業をもってもらうことは、経済活動によるキャッシュフローの循環と本人の健康寿命のために必要だ。その職業とは、企業が永年勤続の恩恵として与えるものではなく、社会的責任として働く機会を創出するべき性質のものだといえよう。すでに年金基金などの機関投資家が株式を保有する際に、持続的社会に寄与するかを判断基準に入れるようになっており、ダイバーシティの一環としてシニアにも職業機会を開いているかは、さらに重視されてくるだろう。

今回のアンケートでは、69%の企業が60歳定年だった(図表1)。しかし、よく見ると301名から1000名の中堅企業で83%が60歳定年だ。これは、大企業に比べて社内やグループ企業での雇用機会の創出が難しいことを示しているのだろう。問題の本質の1つがここに隠されていると思う。つまり、自社やグループにおける雇用機会には限界があるという事実だ。
法律によって70歳までの社員雇用が努力義務とされても、社内でそれに対応することが困難であることが推察される。70歳までの雇用継続は社会全体としては必要である。しかし、それを個別の会社だけで解決するのではなく、複数の会社が協力しあって解決するのが現実的であると考えている。そのための会社間の連係については、ぜひ議論を深めたい。

【図表1】企業規模別 現在の定年年齢の傾向
注目すべきは、シニアのモチベーションの低下である。現役に比べてモチベーションが上がっているケースは企業の規模に関わらずわずか2%である(図表2)。 一方、モチベーションが下がっているのは、大企業で67%、中堅企業で59%、中小企業で44%となっている。特に大企業では60歳以上の雇用の場は物理的には提供されているが、シニア社員は低いモチベーションで働いている人がほとんどだという現実である。人生を仕上げる60歳以降の職業生活において「喪失感」を抱え、モチベーションが下がったままの先輩社員、このような状態で後輩の20代・30代の社員は自分の将来に希望を持つことはできない。どんなに報酬制度や昇格の仕組みを工夫したところで、60歳以上の先輩たち、すなわち将来の自分の姿を見たときに後輩たちはこの会社で働くことにどんな意味を見出せるだろうか。

【図表2】企業規模別 シニア社員のモチベーションの変化

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】シニア活躍支援に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2020年12月7日〜13日
調査方法:WEBアンケート(SurveyHR)
調査対象:企業の人事責任者、担当者
有効回答:201件

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