企業の価値創造や企業文化の改善、社内での連帯感の醸成などに役立つとされる“メセナ”は今、どのような動向にあるのか?公益社団法人企業メセナ協議会は2019年3月、日本国内企業および企業財団を対象に、メセナ活動実施状況、実施内容、体制などを調査した結果をまとめた『Mecenat Report 2018』を発行した。以下はこの調査結果から一部抜粋したものである。(回答数:企業328社、企業財団175団体)
「2018年度メセナ活動実態調査」  活動の成果として「社員の啓発につながった」との回答が増加

(※メセナ活動とは、芸術文化による社会創造を幅広く捉え、企業による芸術・文化活動およびこれを通した教育、福祉、環境、地域振興等のあらゆる社会課題解決への取り組みを指す)

■5年前と比較した「メセナの取り組み目的」

「2018年度メセナ活動実態調査」  活動の成果として「社員の啓発につながった」との回答が増加
5年前の2013年と比較して、すべてにおいて回答企業の割合が増加しているのが、特に「社業との関連、企業としての価値創造のため」。回答数は28.7%から82.2%へと大幅に増加していることから、自社の事業に関連したメセナ活動を実施する企業が増えていることが分かる。

■15年前と比較した「事後評価の観点」

「2018年度メセナ活動実態調査」  活動の成果として「社員の啓発につながった」との回答が増加
2018年度も15年前と同様、「社会的意義」が回答として最多。また「妥当性」、「経済性」、「達成度」の3つの割合が大きく伸びていることから、企業による社会的インパクトの指標化、数値化への模索の動きが進んでいることがうかがえる。

■10年前と比較した「メセナ活動の成果」

「2018年度メセナ活動実態調査」  活動の成果として「社員の啓発につながった」との回答が増加
10年前と変わらず、「実施地域において芸術文化への理解や振興が進んだ」との回答が最多だが、特筆すべきは「社員の啓発につながった」との回答が10年前より1割ほど増加している点である。

■2018年の「メセナ活動の成果」の詳細

「2018年度メセナ活動実態調査」  活動の成果として「社員の啓発につながった」との回答が増加
2018年のメセナ活動の成果についてより詳細を探ってみると、「実施地域において芸術文化への理解や振興が進んだ」という回答が最多ではあったが、事後評価実施企業の約半数が「地域や社会にプラスの変化が起きた」と答えているのも大きなポイントだ。これまでの活動からさらに飛躍し、企業としての社会的インパクトを重視している点も見逃せない。

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