株式会社学情は2023年4月10日、人事担当者を対象に行った「働き方改革」に関するインターネットアンケートの結果を発表した。調査期間は2023年3月15日~22日で、計385名より回答を得た。これにより、企業における「働き方改革」の取り組み状況や、採用活動への波及効果の有無が明らかとなった。
“働き方改革”を行う企業の約2割が「採用への波及効果」を実感。「男性育休」や「週休3日制」などの新制度導入がカギか

全社規模で「働き方改革」に取り組む企業は7割弱

新型コロナウイルス感染症の拡大以降、リモートワークが一般化したことで仕事と生活の境界線が曖昧になったという声も聞かれる。企業および個人双方で「働き方」や「休み方」を見直したケースもあると考えられるが、実態はどうなのだろうか。

はじめに学情は、「『働き方改革』に取り組んでいるか」を尋ねた。すると、「全社的に取り組んでいる」が68.6%で最も多く、7割近くとなった。他方で、「部署、期間などを限定し、試験的に取り組んでいる」が7.8%、「具体的には実施していないが、実施計画はある」が7%、「まだ実施計画は立っていないが、今後取り組みたいと考えている」が13.5%と、試験的に取り組む企業や取り組みに対して前向きな企業も3割程度存在するようだ。
働き方改革の取り組み状況

主な取り組みは「時間外労働(残業)の削減」や「有給休暇取得の奨励」

次に同社は、「働き方改革において、具体的に取り組んでいること」を尋ねた。その結果、「時間外労働(残業)の削減」が85%で最も多く、以下、「有給休暇取得の奨励」(84%)、「長時間労働の是正」(71.8%)、「男性の育休取得支援」(50.7%)と続いた。
働き方改革で取り組んでいること

働き方改革には「採用活動への波及効果がある」と約2割が回答

続いて同社は、「働き方改革により、採用活動への波及効果はあるか」を尋ねた。すると、「効果が見られる」は19%と、約2割が働き方改革により採用活動への波及効果を感じていることがわかった。一方で、「効果が見られない」は81%だった。

「効果が見られる」とした企業からは、「週休3日制の導入や副業解禁で、応募者が増えた」や「フルリモート(居住地自由)を制度化したことで、全国から応募が入るようになった」などの声が聞かれたという。

一方で、「効果が見られない」とした企業からは、「時間外労働の削減など各社が共通して実施していることは、あまり差別化につながらない」、「若い世代を中心に、働きやすい環境であることは必須条件で、仕事内容や研修の充実などが企業選びのポイントになっていると感じる」などと指摘する声もあがったとのことだ。
働き方改革により、採用活動への波及効果があるか

「入社後の離職率の低下」や「選考参加者の増加」といった効果が

最後に同社は、働き方改革による採用活動への波及に「効果がある」とした企業に「どのような効果があるか」を尋ねた。すると、「入社後の離職率が下がった」が53.6%で最も多く、以降、「説明会・選考の参加者が増えた」(30.4%)、「プレエントリー数が増えた」(25%)と続いた。
働き方改革による採用活動への波及効果
本調査結果では、全社規模の「働き方改革」に取り組んでいる企業は7割に迫った。取り組みを実施する企業では、「他社も取り組む内容は差別化の要素にはならない」などの声も聞かれた一方で、「週休3日制の導入」や「居住地自由」など大きな制度改革を行ったことで、応募者が増えた企業もあるようだ。個人の「働きやすさ」を支援していけるような、一歩踏み込んだ制度改革等を行うことが、企業の人材確保を効果的に進めて行くカギとなりそうだ。

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