株式会社野村資本市場研究所は2019年12月、「野村サステナビリティ研究センター」の設立を発表した。気候変動に関する「サステナビリティ(持続可能性)」というキーワードが金融や資本市場に影響を及ぼすことから、企業や政府などの経済主体がこぞって対応策を模索しているという「社会的なニーズ」が背景にある。サステナビリティ研究センターの目的は、資本市場研究所の客観的・実践的な研究に立脚しながら、サステナビリティ関連のテーマについて良質な情報の発信や提言を行うことだという。
「野村サステナビリティ研究センター」設立。金融・資本市場を通じ、停滞する日本経済の活性化を目指す

グローバル/ドメスティック双方の視点とニーズに基づいたサステナビリティ関連リサーチの強化で、有用性のある情報発信を

国連が掲げる「SDGs」や、地球温暖化に対する国際的な合意である「パリ協定」などを背景に、「サステナビリティ」に対する議論が高まっている。主に地球環境問題で使用され、「持続可能性」という意味をもつ「サステナビリティ」。気候変動によってインフラ・公共施設などの早急な適正化が求められれば、地方自治体ひいては政府の財源に大きな打撃を与える。

また、グローバル資本市場でもサステナビリティに関する議論の影響は大きく、環境・社会・企業統治といったESGを考慮した投資概念、SDGs債の発行の増加、金融機関による気候変動リスクへの配慮などの多様な動きがある。

政府のみならず投資家・企業といった経済主体からも、サステナビリティ関連の課題に対する科学的な議論や、さまざまな潜在的影響を織り込んだ適切な対応策検討が求められることは必至だ。

こういった背景から、サステナビリティに関連する調査研究に注力してきた野村資本市場研究所は、「サステナビリティ研究センター」を設立した。研究所でおこなう客観的で実践的な研究に立脚しながら、サステナビリティ関連テーマの組織的・戦略的抽出とモニタリングをおこない、経済主体への有用な情報発信や提言に取り組むという。

停滞が懸念されている昨今の日本経済には、市場メカニズムを活用したマネーフロー構造の確立が緊急課題といわれている。野村サステナビリティ研究センターが掲げる「グループ内外のオープン・プラットフォームとしての役割」や「内外専門家による横断的な協働」、「海外機関とのグローバル連携・交流の推進」などのさまざまな企画によって、金融資本市場を通じた持続的な経済成長や、豊かな社会の創造が現実化することが期待される。

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