会社と社員の関係性が変わる中で、会社任せのキャリアではなく、主体的にキャリアについて考え行動する「キャリア自律」を推進する企業が増加している。その一方で、「キャリア自律」は離職率を高めるのではという懸念も。では、「キャリア自律」を会社の求心力としていくには、企業はどのような認識を持ち、何から取り組むべきか。本講演では、HR総研が実施した調査結果をもとに解説していく。
HR総研調査から紐解く――「キャリア自律」の推進に向けた社員への動機付けと、企業が取り組むべき人事施策
松岡 仁
登壇者:

ProFuture株式会社 取締役/HR総研 主席研究員 松岡 仁

1985年大学卒業。文化放送ブレーンで大手から中小まで幅広い企業の採用コンサルティングを行う。ソフトバンクヒューマンキャピタル、文化放送キャリアパートナーズで転職・就職サイトの企画・運営に携った後、2009年採用プロドットコム(現ProFuture)に入社、2019年より現職。各種調査の企画・分析を担当し、「WEB労政時報」に 連載中。
HR総研

久木田 亮子
登壇者:

ProFuture株式会社 HRサポート部/HR総研 主任研究員 久木田 亮子

2009年建設系企業に入社。研究開発および設計職に従事。 2015年以降、シンクタンクにて地方創生に関する幅広い分野で調査研究を行う。 2019年にHR総研(ProFuture株式会社)主任研究員に着任。人事関連分野に関する幅広い調査・分析を行う。 企業動向だけでなく、新卒採用においては就活学生を対象とした調査・分析も含めて担当する。
HR総研

企業は「キャリア自律」をどのように捉え、どのような施策を進めているのか

ProFuture株式会社 取締役/HR総研 主席研究員 松岡 仁

「キャリア自律社員」は、全体で見るとまだ少数派

HR総研調査から紐解く――「キャリア自律」の推進に向けた社員への動機付けと、企業が取り組むべき人事施策
本日の講演は、「人的資本価値の最大化に向けた『キャリア自律』に必要な企業の対応とは」というテーマでお送りします。まずは、第一部「キャリア自律の推進に関する企業の認識と動向」です。

企業規模別に社員のキャリア自律の推進への取り組み状況を伺ったところ、「取り組んでいる」という企業は、大企業(1001名以上)は6割以上、中堅企業(301~1000名)と中小企業(300名以下)では4割ほどでした。取り組みを検討している企業も2~3割あることから、今後、中堅・中小企業でもこの数は増えていくと考えられます。

次に、「社員のキャリア自律を推進し始めてからの経過期間」を見ると、大企業は早くから取り組んできたのに対して、中堅・中小企業は最近取り組み始めた企業が多いという傾向が見られました。

続いて、キャリア自律に前向きな「キャリア自律社員」の割合では、「3割未満」という企業が、大企業では6割以上、中堅企業は8割以上、中小企業でも7割以上と、キャリア自律社員は全体的に少数派であるという現状がうかがえます。

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