ProFuture代表の寺澤です。
10月29日、政府は関係省庁の連絡会議で、2023年卒(現大学2年生)の就活スケジュールについて、これまでと同様の「3月 採用広報解禁、6月 面接選考解禁」を維持することを決定しました。同時に、2024年卒についても「変更する必要が生ずる可能性は高くない」ことを確認したとのことで、スケジュールの見直しは早くても2025年卒(来春入学者)からということになったわけです。新型コロナウイルス感染症の影響で、採用数の削減や内定取り消しなど、学生の就職環境が悪化する中、スケジュールの変更による混乱を避ける狙いもある一方、大学向けの調査では「現在の開始時期でよい」との回答が6割近くを占めたことも後押ししたものと思われます。
また、これに先立つ10月27日には、政府は経団連の冨田哲郎副会長ら経済4団体の代表に対して、2021年卒採用、2022年卒採用に向けて、卒業後3年間は新卒扱いするよう要請しています。新型コロナウイルス禍による学生の就職難の緩和を狙ったものですが、一方で、従業員301人以上の大企業に対しては、2021年4月から直近3年の正社員採用者数に占める中途採用者数の割合(中途採用率)について、ホームページなどでの公表を義務付けることを今年1月に決めています。大企業に根強い新卒採用重視を見直してもらい、中途採用の門戸を広げて転職の機会増大を狙ったものですが、企業の年間の採用計画数が変わらなければ、中途採用人数の増加分だけ新卒採用人数が削減されることになるわけで、ある種矛盾する二つの施策が並行しているともいえます。

例えば、トヨタ自動車では、総合職採用に占める中途採用者の割合を2019年度は前年度の10%から30%へ高め、将来的には50%にまで高める計画です。そのあおりを食っているのが新卒採用人数です。2019年4月1日付入社が1735名だったのに対して、2020年4月1日付入社は1165名(いずれも技能職、医務職を含む)と3分の2に減少しています。もっとも政府の要請とは関係なく、目まぐるしく環境が変わる自動車産業において、社内人材の育成では追い付かない、新たな分野の専門知識を持った即戦力採用ニーズが急激に高まっていることが背景なのでしょう。

政府が新卒採用から中途採用へのシフトを企業に要請することは、学生の就職難を助長していることにもなり、政府が一律に要請すべきことではない気がします。企業の人事戦略の中で、必要だと判断すればトヨタ自動車のように中途採用は増加するでしょうし、社内人材の育成で問題なく事業は回せていけるし、外からの新しい風を入れることで風土改革を進めたいという課題も感じていない企業では、それほど中途採用が増えないことがあってもいいと思います。採用は、新卒採用も含めて規制を減らし、もっと企業の自由度があっていいのではと考えます。

体験型ゲームが好評のニトリが1位に躍進

さて、HR総研では、3月と6月の2回、2021年3月卒業予定の「楽天みん就」会員を対象に行った就職活動動向調査の中で、個別企業の「インターンシップ」「採用ホームページ」「セミナー・説明会」「面接官」等について、「最も印象の良かった企業とその理由」を、1人1社しか投票できない形式で聞いています。そのため、企業ごとの得票数は分散する傾向にありますが、1票の価値はとても大きいといえます。今回は2021年卒採用を振り返り、学生に好感度の高かった(印象の良かった)「インターンシップ」と「採用ホームページ」について、見ていきたいと思います。2022年卒採用に向けて参考にしていただければ幸いです。

まずは、「インターンシップ」の好感度ランキングです[図表1]
現在進行中の2022年卒採用に向けたインターンシップは、新型コロナウイルス感染拡大を配慮して対面形式とオンライン形式が混在していますが、2021年卒向けのインターンシップはほぼ対面式で実施されました。オンライン化が進行したのは今年3月以降の会社説明会・セミナーからになります。

1位には、前年2位だったニトリ(35ポイント)が、2位に12ポイントもの大差をつけて躍り出ました。ニトリへの学生コメントで目立つのは「楽しい」という形容詞、そして今年も体験型ゲームが好評だったようです。内容も進行もかなり吟味されていることが推測されます。また、社員に向けたコメントも多く見られます。

・楽しかった(旧帝大クラス・文系)
・ただ楽しい(その他国公立大・理系)
・ゲーム形式で理解できて楽しかった(上位私立大・文系)
・ボードゲームを通して、ビジネスモデルを簡単に理解することができた(上位私立大・理系)
・ゲーム性のある分かりやすいインターンシップだった(上位国公立大・文系)
・実際に経営者の立場で人員を動かすゲームが体験できた(早慶大クラス・文系)
・新卒担当の社員の方との距離が近かった(早慶大クラス・文系)
・社員さんと触れ合える、かつ社員さんが明るい人ばかりだった(早慶大クラス・文系)

2位の凸版印刷(23ポイント)は、前年はトップ10に入っておらず、今年の躍進組の1社です。グループでのワーク、事業内容の体感が評価されています。インターンシップに参加するのに事前選考がなかったことも功を奏したようです。

・業務体験のワークができた(上位私立大・文系)
・クライアントの課題解決(上位私立大・文系)
・社員が1人付いてくれる業務実習だった(早慶大クラス・文系)
・社員の雰囲気(早慶大クラス・文系)
・先輩社員との個別座談会(その他私立大・文系)
・1dayインターンシップには選考がなく、門戸が誰にでも開かれていた(早慶大クラス・文系)

エリア限定のNTT西日本が5位に