前回は、やりたいことが見つからない、いわゆる「価値観型」の若者が増えていることについて書きました。それを踏まえて今回は、こうした学生は、今後どんな視点で就活を進めていけばよいのかを考えていきます。
第77回 やりたいことが見つからない~その2~

「価値観型組織」を探す

「価値観型組織」は、まださほど多くありませんが、少しずつ日本の企業にも増えていると感じています。これは、企業としての個性や価値観を大事にし、その部分での接点を重視した人材採用を行っている組織、と言えるのですが、近頃話題のTeal型組織(生命体型組織)も、実はこれに含まれる可能性が高いのではと思っています。

厳密には、価値観型の組織の中でメンバーの自主性自律性を尊重し、フラットなコミュニケーションで議論し、意思決定を行う組織が、Teal型組織なのですが、いずれにしても、今後は組織の規模に関係なく、このような組織が生き残り、成長を続けることができるでしょう。

一方、学生の優秀層において「価値観型」の学生は、就活を通して、価値観型組織で働くことが最も自分にとってよい選択であるという感覚が形成されていくように感じます。ベンチャー企業やスタートアップしたばかりの企業でも、優秀な新卒を採用できている企業が見受けられるのですが、採用活動の中でお互いが価値観型であることを確認し合えるような接点をかなり意識した広報を行っているように感じます。

ただこうした企業を見つけることは、学生にとっては難易度が高いでしょう。なぜなら、一定数以上の会社の話を聞かないと、そもそも価値観型の組織というものに目が向かないからです。また、その組織が価値観型であるかどうかは、リクナビやマイナビでは分かりません。それは、FACE to FACEのコミュニケーションの中で、初めて何となく見えてくるものです。地方大学の学生にとっては、地元企業以外の企業については就活ナビでの検索から志望企業を絞り込むしかないため、さらに至難の業であると言えるでしょう。

先日、東京で就活中の学生と都内で面談した際、「応募したい!と思える会社が見つからない」という悩みを打ち明ける学生がいましたが、まさしく上記のような状況に陥っているように感じました。

「自分らしく生きるために」を考えて就活する

したがって、私見をまとめると、新卒の就活では、いきなり価値観型の組織を目指すのではなく、自分にとってあるべき姿をライフキャリアで考え、いったん目指す姿として仮置きして活動を進める、つまり、「自分らしく生きるために」を考えて就活をするのが、最もよい方法かも知れません。

自分らしく生きるということが、生まれ育った故郷で家族とともに生活するということであれば、もちろんその地域の公務員になる選択肢もありますが、これからの時代はそれだけではありません。例えば、地元企業で働く、フリーランスで働く、リモートワークで働く、自分で起業するなどといった選択肢もあるでしょう。

そもそも、地方自治体や古くからの中小企業が「価値観型」組織である可能性は、あまり高くありません。そうすると、自らをそれ以外の選択肢を選べるような立ち位置に置かなくてはなりません。ですから、どのような業種、業界で働き、どのようなスキルや経験を身につければよいのかを考えて就職先や仕事を選ぶ、という視点が必要になってきます。

学生にはこのような言い方をしています。「“自分の意志で仕事を選べる自分”になることを目指そう」と。そうすると、新卒時の企業選びは、自分が成長できる会社であるか?ということが、最も重要になってくると思います。

最近、東京大学、京都大学の学生の就職先として、外資やコンサルが人気だという記事を読みましたが、これはまさに上述している視点で企業選びをしているのだと考えると、納得がいきます。総合商社も一時期ほどではないですが、やはりまだ人気があるのも、同じことかなあと考えております。

いずれにしても、新卒で入社した会社で定年まで働くという考え方で企業を選ぶ時代ではなくなってきているように思うのですが、地方大学の場合は、この部分の旧来の価値観に地域ごと縛られているため、なかなか意識を変えられないという悩みがあります。ですが、大学で私がいくらこんな話をしても、私以外の大人から否定的な意見を浴びせられると、自分はもしかしたら狼少年なのかと、動揺してしまうこともしばしばです。

ですから、現在、私ではなく他のかっこいい大人から話してもらえば分かってもらえるかもと期待を寄せ、世の中のトップランナーとして活躍している方々との出会いの場を創出することに取り組んでいます。こうしたことが、大学におけるキャリア教育の中の大事なミッションではないかと考えているのです。

では、今回はここまでといたします。
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