HR総研では、多様な働き方の実態について例年調査を実施しており、今年は4月に「多様な働き方実施状況に関するアンケート」を実施した。
DX推進の動きやテレワークの急速な普及など、ビジネスに関わる社会の動きが一層激化する中、企業は優秀な人材を確保するために、多様な背景を持つ人材が働きやすい環境を整える必要がある。日本の企業における「多様な働き方」への対応状況はどのようになっているのだろうか。
以下に、フリーコメントを含めて調査結果を報告する。

<概要>
●「場所と時間」に関する多様な働き方への施策が主流
●女性正社員比率、着実に増加傾向の一方、企業規模による格差も
●女性管理職比率「10%以上」企業は大企業でも3割
●女性活躍推進施策、大企業で8割近くの一方、中小企業では4分の1
●効果を実感した施策「柔軟な働き方に向けた制度」が最多
●女性活躍推進への課題観「女性ロールモデルの欠如」が最多、「女性の意識・就労観」も
●外国人採用の目的「より優秀な人材の確保」が圧倒的
●外国人採用に向けた取組みは国内活動が主流
●外国人採用による好ましい影響「日本人社員の刺激、社内の活性化」が4割

「場所と時間」に関する多様な働き方への施策が主流

「多様な働き方」に関して実施している施策について企業規模別に見てみると、従業員数1,001名以上の大企業では「テレワーク」と「多様な勤務時間の導入」に取り組む企業が最も多く、ともに74%となっており、次いで、「柔軟な勤務制度の導入」が70%などとなっている(図表1)。
従業員数301~1,000名の中堅企業では、「多様な勤務時間の導入」に取り組む企業が最も多く72%、次いで「柔軟な勤務制度の導入」が66%、「テレワーク」が60%などとなっている。大企業と中堅企業では、これら3項目に取り組む割合が6~7割と多数を占める一方、従業員数300名以下の中小企業では、最も多い「多様な勤務時間の導入」が56%、次いで「テレワーク」が49%、「柔軟な勤務制度の導入」が44%などと、上位に並ぶ3項目は大企業や中堅企業と同じであるものの、取り組む割合が半数程度以下にとどまっており、「多様な働き方」への対応の遅れがうかがえる。
また、「兼業・副業の推奨・容認」については、大企業では39%、中堅企業では11%、中小企業では17%となり、大企業と中堅・中小企業との実施比率に顕著な差異が見られている。

【図表1】企業規模別 「多様な働き方」に関する施策の実施状況

HR総研:多様な働き方実施状況に関するアンケート 結果報告【女性活躍推進、外国人採用】

女性正社員比率、着実に増加傾向の一方、企業規模による格差も

次に「女性活躍推進」について見てみる。
「正社員に占める女性の割合(女性正社員比率)」について、まず昨年の傾向と比較してみると、今年(2021年)調査では「10~30%未満」が最も多く42%で、次いで「30~50%未満」が30%などとなっており、昨年調査時より「30%以上」(「30~50%未満」~「100%」の合計)は、45%から47%に微増している(図表2-1)。
また、企業規模別に「(女性正社員比率)30%以上」の割合を見ると、大企業では52%、中堅企業では49%、中小企業では43%となっており、企業規模が大きいほど割合が高くなっている。

【図表2-1】正社員に占める女性の割合(女性正社員比率)の推移

HR総研:多様な働き方実施状況に関するアンケート 結果報告【女性活躍推進、外国人採用】

【図表2-2】企業規模別 正社員に占める女性の割合(2021年調査結果)

HR総研:多様な働き方実施状況に関するアンケート 結果報告【女性活躍推進、外国人採用】

女性管理職比率「10%以上」企業は大企業でも3割

続いて、「管理職に占める女性の割合(女性管理職比率)」について見る。
「3年前と比較した女性管理職比率」について企業規模別に見ると、大企業では「増えた」が59%、中堅企業では51%とそれぞれ5~6割を占める一方、中小企業では「変わらない」が72%と圧倒的に多い状況にある(図表3-1)。
また、女性管理職比率について昨年の調査結果と比較すると、今年の調査結果では「5%未満」が最多で35%となり、「5%未満」以下(「5%未満」と「0%」の合計)が過半数を占め、依然として女性管理職比率の低さが顕著である。ただし、昨年と比較すると、「5%未満」以下の割合は昨年値61%から9ポイント低下し、「10%以上」(「10~20%未満」~「70%以上」の合計)の割合は30%で、昨年値24%より増加傾向となっている(図表3-2)。

【図表3-1】企業規模別 3年前と比較した女性管理職比率

HR総研:多様な働き方実施状況に関するアンケート 結果報告【女性活躍推進、外国人採用】

【図表3-2】管理職に占める女性の割合(女性管理職比率)の推移

HR総研:多様な働き方実施状況に関するアンケート 結果報告【女性活躍推進、外国人採用】

さらに、企業規模別に女性管理職比率の傾向を見ると、「10%以上」の割合は、大企業では35%、中堅企業では32%、中小企業では26%と、やはりこちらも企業規模の大きさに比例して高くなっている(図表3-3)。
政府が掲げる「2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合を30%程度とする」という女性管理職比率に関わる目標に対して、大企業であっても未だ乖離が大きい現状が分かる。

【図表3-3】企業規模別 管理職に占める女性の割合(女性管理職比率)

HR総研:多様な働き方実施状況に関するアンケート 結果報告【女性活躍推進、外国人採用】

【図表3-4】女性の正社員比率と管理職比率の比較

HR総研:多様な働き方実施状況に関するアンケート 結果報告【女性活躍推進、外国人採用】

女性活躍推進施策、大企業で8割近くの一方、中小企業では4分の1

それでは、企業における施策の実施状況はどのようになっているのだろうか。
まず、「女性活躍推進・女性登用」に向けた施策実施の有無について、企業規模別に見ると、大企業では「実施している」が76%と8割近く、中堅企業では62%となっており、女性活躍推進法における義務が課せられる大・中堅企業での実施率は高い水準にある。一方、中小企業では、努力義務になっていることが影響してか、「実施している」は僅か25%にとどまっている(図表4-1)。
施策を実施する企業の目的は、全企業規模において最も多いのは「優秀な人材確保」で、大企業66%、中堅企業67%、中小企業58%などとなり、男女関係なく優秀な人材を獲得し、活躍してもらうことが最大の目的として一致している。また、中堅企業では「女性社員のモチベーション向上」も高く67%となっている(図表4-2)。

【図表4-1】「女性活躍推進・女性登用」に向けた施策実施の有無

HR総研:多様な働き方実施状況に関するアンケート 結果報告【女性活躍推進、外国人採用】

【図表4-2】「女性活躍推進・女性登用」に向けた施策実施の目的

HR総研:多様な働き方実施状況に関するアンケート 結果報告【女性活躍推進、外国人採用】

【図表5-2】「女性活躍推進・女性登用」の実施施策のうち、効果を感じた施策の内容

HR総研:多様な働き方実施状況に関するアンケート 結果報告【女性活躍推進、外国人採用】

この先は、会員の方だけがご覧いただけます。会員の方はログインを、会員でない方は無料会員登録をお願いします。

HRプロ会員の方はこちらから

まだ会員でない方はこちらから

登録無料!会員登録された方全員に、特典資料をプレゼント!

HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】多様な働き方実施状況に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2021年4月14日~20日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者、担当者
有効回答:202件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照をいただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
2)当ページのURL記載、またはリンク設定
3)HR総研へのご連絡
  ・会社名、部署・役職、氏名、連絡先
  ・引用先名称(URL) と引用項目(図表No)
  ・目的
Eメール:souken@hrpro.co.jp

※HR総研では、当調査に関わる集計データのご提供(有償)を行っております。
詳細につきましては、上記メールアドレスまでお問合せください。

  • 1