HR総研:働き方改革(多様な働き方)の実施状況に関するアンケート 結果報告【高齢者・外国人・障がい者雇用】〜高齢者の継続雇用で「給与・雇用形態を変更」が9割、「高齢者のモチベーション維持」が最大の課題〜

日本社会において労働力人口の減少が加速する中、企業には、ダイバーシティ・マネジメントの推進により、様々な立場の人材が効果的に活躍できる場の創出が期待される。
「多様な働き方」についての調査レポートの後半にあたる本稿では、「高齢者雇用」「外国人雇用」「障がい者雇用」の3つのテーマについてとりあげる。

<概要>
●役職定年制は4割の企業で導入、大企業では半数以上
●高齢者活躍推進策では多くの企業が継続雇用制度を採用、ほとんどのケースで条件面変更
●高齢者雇用の最大の課題は「高齢者のモチベーション維持」
●高齢者のキャリア採用、高齢者に期待されるのは「熟練した技術・知見」
●外国人に対して採用活動を行っている企業は半数以上、大企業では8割
●外国人雇用の最大の目的は「より優秀な人材の確保」
●メリット・デメリットは表裏一体、「文化の違い」が刺激にもトラブルの火種にも
●受け入れ側の体制整備も必要
●7割以上の企業が障がい者を雇用、規模別では雇用義務の有無で大きな隔たり
●障がい者雇用の最大のモチベーションは法定雇用率の達成
●採用ニーズに合えば障害の有無に関わらず雇用

役職定年制は4割の企業で導入、大企業では半数以上

最初のテーマは「高齢者の雇用」の現状である。
まずは、役職定年制の導入状況についてであるが、役職定年制を「導入している」は31%で、「制度ではないが慣行としてある」は9%となっており、これらを合計した「制度・慣行がある」は40%となっている(図表1-1)。
企業規模別で見ると、従業員数1,001名以上の大企業では「制度・慣行がある」が57%で6割近く、301〜1,001名の中堅企業では37%、300名以下の中小企業では31%となっており、企業規模が大きいほど導入率が高いことが分かる(図表1-2)。大企業では特に、「役職定年を迎えた高齢者に対する処遇やマネジメント」は喫緊の課題と言えるだろう。

【図表1-1】役職定年制を導入している企業の割合
【図表1-2】企業規模別 役職定年制を導入している企業の割合

高齢者活躍推進策に「継続雇用制度を採用」が7割も、「給与・勤務形態の変更」が9割弱

続いて、「高齢者活躍推進」に向けて企業がどのような措置をとっているのか見てみよう。
最も多くの企業が採っている措置は「65歳まで(それ以上を含む)の継続雇用制度の導入」(73%)であり、「65歳まで(それ以上を含む)定年年齢を引き上げ」(20%)、「定年制を廃止」(1%)の措置に比べて圧倒的に高くなっている(図表2-1)。職種・部門に関わらず、全ての社員に対して一律に定年年齢を引き上げることには、現時点では抵抗を感じる企業が多いようだ。
継続雇用となった場合、条件・勤務形態を変更される場合が多い。今回の調査に対する回答では、「給与の変更」が最多で88%、次いで「雇用形態の変更」が86%と、ともに9割近くなっている一方、「定年前の条件と変更はない」は7%にとどまっている(図表2-2)。多くの企業が定年年齢の引き上げではなく、継続雇用制度を採用するのは、人件費を抑制できることも大きな理由の一つだろう。そのため、従業員にとっては不利な雇用条件への変更を余儀なくされ、これが後述の高齢者のモチベーション維持の問題に深く関わってくることになる。

【図表2-1】「高齢者活躍推進」に向けた措置
【図表2-2】継続雇用後の雇用形態に伴って変更される「勤務形態や条件」

高齢者雇用の最大の課題は「高齢者のモチベーション維持」

「高齢者雇用に関する課題」について、具体的に見ていこう。企業側が60歳以上の高齢者雇用に関する課題として認識している項目で最も多いのは、「高齢者のモチベーションの維持」で、実に54%と過半数に上っている(図表3)。ポストオフや継続雇用に伴う給与のダウンなど、前述のとおり雇用条件を変更された高齢者に、どのようにやる気を出してもらい、これまでと同等、もしくはそれ以上の価値発揮をしてもらうかということが大きな課題になっているようだ。
 また、これに次いで多いのが「高齢者を部下に持つ年下管理職の能力」(35%)や、「世代交代の停滞」(32%)などの項目だ。高齢者を部下に持った管理職が、ポストオフになった先輩のプライドを傷つけないようにと過度に気を遣ってしまい、うまくマネジメントができない等の状況がうかがえる。年功序列の意識が根強い日本社会で、年上の部下のマネジメントをするのはタフなことではあるものの、今後さらに労働者の平均年齢が高齢化していくことを考えれば、年上の部下に対するマネジメント能力も、これからの管理職には求められるスキルと言えそうだ。
 さらに気になるのが、「高齢者が対応できる業務の確保」及び「高齢者受け入れ組織のモチベーション維持」の項目だ。いずれも30%の企業がこれらを課題として挙げている。一部の職場では、高齢者に高いパフォーマンスを発揮してもらう以前に、「やってもらう仕事がない」という現状もあるようで、このような状態では、高齢者のモチベーションを引き出し、維持することは到底難しいだろう。「求められ、必要とされて仕事をしている」という感覚の有無が、仕事のパフォーマンスに影響することは容易に想像できるからだ。このようなモチベーションの低下とともにパフォーマンスも低下する高齢者の存在により、共に働く同僚たちに良い影響を与えられるどころか、組織全体のモチベーション低下に繋がるという負のスパイラルが形成されていることが推測される。企業側には、豊富な経験を持った高齢者に対するリスペクトと、その豊富なノウハウ・スキルを効果的に活用するための適切なマネジメントが期待される。

【図表3】高齢者雇用に関する課題

高齢者のキャリア採用、高齢者に期待されるのは「熟練した技術・知見」

一方で、雇用される高齢者の側としても「求められる人材像」を意識する必要があるだろう。企業側が高齢者に求めている役割・スキルはどのようなものだろうか。
 60歳以上の「高齢者のキャリア採用」を行っている企業に対して、「どのような目的で高齢者のキャリア採用を行っているか」を聞いてみた。この質問は、同じ会社で再雇用されたケースではなく、60歳以上になってから外部から採用されたケースに関するものである。つまり、企業側にとって「望んで来てほしい高齢者の人材像」を表している。
最も多いのは「熟練した技術や知見に対する期待」で64%と圧倒的であり、次いで「社会的信用や人脈に対する期待」(36%)、「経営やマネジメントの経験に対する期待」(36%)などとなっている(図表4)。豊富な経験を持つ高齢者ならではの期待項目の中でも、人脈やマネジメントスキルより、特に「熟練した技術・知見」を重要視する企業が多い傾向にある。長い年月をかけて蓄積された技術や知見は属人的な情報であるとともに、一朝一夕に体得できるものではないからこそ、これらを持ち合わせる高齢人材を獲得して、効果的に自社の資産として定着させたいという企業の狙いがうかがえる。
高齢者雇用に関しては、雇用する企業側、雇用される高齢者側の双方が歩み寄り、「高齢者が強みを生かし、価値発揮をするには」という建設的な視点から高齢者の雇用について考えることが求められるのではないだろうか。

【図表4】高齢者のキャリア採用の目的

外国人に対して採用活動を行っている企業は半数以上、大企業では8割

次のテーマは「外国人雇用」である。
まずは、外国人に対する採用活動を行っている企業がどの程度あるのかを見てみよう。「新卒・中途の両方の採用を行っている」企業は35%と3分の1程度であるが、「中途採用のみ行っている」(16%)、「新卒採用のみ行っている」(4%)を合計した「外国人の採用を行っている」(以下、同じ)とする企業の割合は55%と過半数に上っており、外国人の雇用がかなり一般的になっていることがうかがえる(図表5-1)。
企業規模別に見てみると、大企業では「外国人の採用を行っている」が80%、中堅企業では56%、中小企業では38%となっており、企業規模が大きいほど外国人採用が活発であることが分かる(図表5-2)。

【図表5-1】外国人の採用状況
【図表5-2】企業規模別 外国人の採用状況

外国人雇用の最大の目的は「より優秀な人材の確保」

それでは、企業側はどのようなことを目的として外国人を雇用しているのだろうか。
外国人雇用の目的としては、「より優秀な人材の確保」が67%と圧倒的であり、次いで「海外の取引先に関する業務を行うため」及び「ダイバーシティ強化、文化醸成のため」がともに29%、「自社の海外法人に関する業務を行うため」が20%などとなっている(図表6)。外国人ならではの能力発揮だけでなく、IT人材をはじめ、通常の業務においても日本人と同等かそれ以上の能力発揮を期待している企業が多いということだろう。

【図表6】外国人雇用の目的

メリット・デメリットは表裏一体、「文化の違い」が刺激にもトラブルの火種にも

では次に、実際に外国人を雇用した企業が実感しているメリットとデメリットについて見ていきたい。まず「外国人を採用したことによる好ましい影響(メリット)」についての質問で最も多い回答は、「異文化・多様性理解の促進」(47%)で、次いで「日本人社員の刺激、社内の活性化」(38%)、「グローバル化推進への理解の促進」(37%)などとなっている(図表7-1)。日本人の凝り固まった常識や旧態依然とした体制・社風の中に、それらが全く通用しない外国人を受け入れることで、自ずと社内の風通しが良くなり、相互理解や社内活性化に繋がっていることが推測される。

【図表7-1】外国人を雇用したことによる好ましい影響

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:多様な働き方の実施状況に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2020年4月13日〜4月20日
調査方法:WEBアンケート
調査対象: 企業の人事責任者、人事担当者
有効回答:246件

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