調査レポート

HR総研:「多様な働き方」実施状況調査【2】女性活躍推進
女性正社員、女性管理職の割合は、まだまだ低い。

平成28年4月に「女性活躍推進法」が施行され、いよいよ3年目を迎える。この法律により、従業員301名以上の企業では、女性活躍推進のための数値目標を行動計画に盛り込み、公表することや、女性の職業選択に資する情報の公表が義務付けられた(300名以下の企業は努力義務)。
今回実施したHR総研の調査によると、正社員に占める女性の割合は、従業員数301名以上の企業に限定しても、「30%未満」の企業が66%、女性管理職比率(役員含む)に至っては、「10%未満」の企業が全体で79%と、数値としてはまだまだ低いことが明らかとなった。
企業は具体的にどのような取り組みを行い、どのような課題に直面しているのだろう。
「女性活躍推進」の現状について、下記のレポートをご覧いただきたい。

●正社員に占める女性の割合は「10〜30%」(47%)が最多。メーカーの女性就業率は低い。
まず、正社員に占める女性の割合について質問したところ、トップは「10〜30%未満」(47%)となった。2位は「30〜50%未満」(22%)、3位は「10%未満」(15%)である。女性比率30%未満の合計は62%という現状が明らかとなった。
ただし、業種別では差異が認められる。例えばメーカーでは、「10〜30%未満」(65%)がトップを占め、女性比率30%未満の合計は82%に上っている。一方、非メーカーでは「10〜30%未満」(34%)がトップであるものの、女性比率30%未満の合計は48%と、メーカーとは30ポイント以上の差がある。
メーカーの女性就業率は、まだまだ低いと言わざるを得ない。
301名以上の企業に限定しても、「10〜30%未満」(57%)がトップで、女性比率30%未満の合計は66%という結果であった。

【図表1】正社員に占める女性の割合
●3年前と比べて女性管理職は増加傾向。ただし、女性管理職比率は「5%未満」が4割。
では、女性管理職についてはどうだろう。3年前と比較して「女性管理職(役員含む)」の割合は増えているか質問したところ、「変わらない」(57%)、「増えた」(40%)、「減った」(3%)という回答が得られた。この結果だけを見ると、女性管理職は増加傾向にあると言える。
しかし、女性の管理職比率(役員含む)は、「5%未満」(40%)が最多である。20%未満の合計では92%に上っており、まだまだ、女性管理職の登用は進んでいない。特に「0%(管理職は男性のみ)」の割合に注目すると、全体では20%、メーカーで27%、非メーカーで15%だ。301名以上の企業に限定しても、「5%未満」が59%である。この状態で「(3年前と比較して女性管理職の割合は)変わらない」と回答した企業には、なんとか現状打破の第一歩を踏み出して欲しい。

【図表2】3年前と比較して「女性管理職(役員含む)」の割合は増えているか
【図表3】女性の管理職比率(役員含む)
●女性活躍推進・女性登用の施策は、53%の企業が「実施している」と回答。ただし、300名以下の企業は71%が「実施していない」。
女性活躍推進・女性登用に向けて、施策を実施しているか質問したところ、53%の企業が「実施している」と回答した。
しかし企業規模別でみると、従業員数300名以下の企業の71%が「実施していない」と回答している。たしかに、従業員数300名以下の企業には、女性活躍推進法による「情報公表」などの法的義務はない。とはいえ、「努力義務」はある。ぜひ、出来るところから施策を始めて欲しい。

【図表4】女性活躍推進・女性登用に向けて、施策を実施しているか
●施策のトップ3は、「柔軟な働き方に向けた制度の実施」「育児支援・補助金」「女性が働きやすい職場環境の整備」
本項と次項については、301名以上の企業に限定してレポートする。
具体的な施策について質問したところ、「時短勤務やフレックス勤務などの柔軟な働き方に向けた制度の実施」(64%)、「育児支援・補助金」(50%)、「女性が働きやすい職場環境(トイレ・更衣室、休憩所等)の整備」(49%)が上位を占めた。
一方で、「女性の採用数拡大」(14%)、「女性管理職比率の数値目標設定」(14%)、「テレワークの実施」(12%)などは、実施している企業が少なかった。
この結果を見る限り、301名以上の企業では、女性の採用や登用よりも、女性にとって働きやすい環境を整える施策に力点を置いていることが分かる。

【図表5】女性活躍推進・女性登用で実施している施策(従業員数301名以上の企業)
●「柔軟な働き方に向けた制度の実施」や「育児支援・補助金」は、実施率も高く、効果の実感も高い。
実施した施策の中で、最も効果を実感した施策は、「女性向けのキャリア支援(教育・研修や相談窓口の設置など)」(73%)だった。以下、「女性の採用数拡大」(64%)、「育児支援・補助金」(63%)と続く。
実施している割合でトップだった「時短勤務やフレックス勤務などの柔軟な働き方に向けた制度の実施」は、57%の企業が効果を実感していた。
今回の結果を見る限り、「アンケートやヒアリングの実施」「産休・育休からの復帰支援」「女性管理職比率の数値目標設定」や「人事制度/評価の改定」は、いずれも効果の実感が4割を下回っていたが、それ以外の施策を実施した企業は、ほぼ半数以上がそれぞれの施策で効果を実感していることが分かる。
施策を実施していない企業は、ぜひこれらの結果を参考にして、一歩を踏み出して欲しい。

【図表6】女性活躍推進・女性登用で効果を実感した施策(従業員数301名以上の企業)
●女性活躍推進の課題は「女性ロールモデルの欠如」と「意識改革」。企業規模別、業種別では、それぞれに特徴あり。
再び、全体の数値を基にレポートする。
女性活躍、女性登用推進における課題感を聞いてみた。上位は「女性ロールモデルの欠如」(38%)、「風土・社風」(34%)、「女性の意識・就労感」(34%)である。続く回答は「経営陣の意識」(24%)、「男性上司の意識」(24%)であり、全体的に「意識改革」に課題を感じていることが窺える。
特に、「女性ロールモデルの欠如」や「風土・社風」、「男性上司の意識」に課題を感じる企業は、従業員数1001名以上の大企業で突出している。従業員数301〜1000名の中堅企業では、「女性の意識・就労観」(39%)がトップだった。従業員数300名以下の中小企業では、「結婚・出産・育児による女性の退職」(28%)、「女性の採用数」(26%)が、他に突出している。
業種別に見ると、全体で上位を占めた課題の割合はメーカーに多いことが分かる。特に、「女性の採用数」の割合は、メーカー(27%)のほうが非メーカー(13%)よりも突出して高い。一方で、「結婚・出産・育児による女性の退職」の割合は、メーカー(16%)よりも、非メーカー(27%)のほうが高かった。
従業員数300名以下の中小企業やメーカーでは、女性の採用そのものが難しいという現実が浮き彫りになっている。

【図表7】女性活躍推進・女性登用を進める上での課題(業種別)
最後に、女性活躍および女性登用の推進について、フリーコメントで意見を伺った。多数の貴重な意見が寄せられたが、紙面の都合上、いくつかを抜粋して紹介したい。

・能力という重要な基準よりも女性ありきの観点が先行し、力量に見合わない者が就くケースが散見される。(1001名以上/サービス)
・男性も巻き込んだインクルージョン施策が必要。(1001名以上/メーカー)
・会社として本気かどうか。それだけである。(1001名以上/メーカー)
・先ずは、意識改革。数値設定で数を増やし、女性活躍の場を増やす。上位層に、外部から女性を登用する。(1001名以上/メーカー)
・長時間労働前提で労働量・生産量が重視される文化の元では進展しないと思う。生産性を評価基準の中心に置くべき。(1001名以上/情報・通信)
・特に女性は、管理職への希望が少ない。長時間労働の環境・仕事の負荷について問題があると感じている。(1001名以上/商社・流通)
・女性男性の性差別よりは、日常生活の支援が大切。配偶者の理解が重要。(301〜1000名/サービス)
・女性活躍推進と女性管理職を増やすは、意味合いが少し違うと思う。制度のために管理職を増やすのでなく、組織運営最優先の中で女性を育てていかなければ、組織がおかしくなると思う。(301〜1000名/メーカー)
・成果主義の企業で長期に育児休業を取得したり、時間短縮勤務をしながら成果を出すことは難しく、正直に言って企業側の負担が大きい。すべてを企業に押し付けるのではなく、出産した女性が長期に休まず、時間短縮などをせずに働けるような社会の仕組みが必要。(301〜1000名/情報・通信)
・女性社員は制度が法定要件を超える充足した内容のため、権利意識をもつひとが一定数いる。また、自身は活躍していると認識している者も多く、これ以上「活躍」を謳われると抵抗が増すと考えられるため策が打てない。(301〜1000名/情報・通信)
・働く女性の意識改革。今のままでよい、管理職になりたくないと思っている社員が多い。(301〜1000名/金融)
・昇進を嫌がる女性の意識改革が必要。(300名以下/サービス)
・もう少し女性社員の割合が増えないとなかなか現状を変えるのは難しい。(300名以下/メーカー)
・子育てが終わった女性の活躍の場をもっと広げるために、正社員としての雇用期間の延長は必要。(300名以下/メーカー)
・女性比率は年々増加傾向にあるため、長期視点で見れば大きな問題は無いと考えている。(300名以下/情報・通信)
・今まで性別を理由に理不尽な扱いをしてきた会社が是正すればよいだけの話であり「女性活躍推進=先進的」と語られる風潮や特別な取組を奨励すること自体に違和感がある。私自身、二度の産休育休を経て復職していますが、特別扱いされることがなかったことがむしろ有難かったと思っている。(300名以下/マスコミ・コンサル)
・そもそも仕事の能力や人格的人間性の話に男女の差はない。ダイバーシティ=女性活躍のような捉え方に違和感がある。(300名以下/マスコミ・コンサル)
【調査概要】
アンケート名称:【HR総研】「多様な働き方」実施状況に関する調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2018年2月16日〜2月22日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:上場及び未上場企業の人事担当者・働き方改革、女性活躍推進等担当者
有効回答:213件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照をいただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
2)当ページのURL記載、またはリンク設定
3)HRプロ運営事務局へのご連絡
  ・会社名、部署・役職、氏名、連絡先
  ・引用先名称(URL)
  ・目的
   Eメール:support@hrpro.co.jp