安倍政権が目指す、女性、高齢者など誰もが活躍できる「一億総活躍社会」。その実現に向けた最大のチャレンジとして位置付けられているのが「働き方改革」です。

その狙いは、多様な働き方を可能にするとともに、中間層の厚みを増しつつ格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現すること。具体的には、非正規雇用の待遇改善、長時間労働の是正などが働き方改革の柱とされています。

まず、一億総活躍社会の実現を阻む問題だと考えられているのは、非正規雇用者の処遇の低さ。1990年に881万人だった非正規雇用者数は、2014年に1,962万人と2倍以上になりましたが、厚生労働省の「就業形態調査」によると、民間事業者に勤める労働者のうち非正規社員の占める割合が2014年に40.5%に達し、初めて4割の大台を超えました。

しかし、非正規社員といっても正社員と仕事内容が変わらず、基幹的業務を担う人が増えているにもかかわらず、両者の間にある賃金や能力開発機会などの大きな差はなかなか縮まらないのが現状。非正規雇用者の時間あたり賃金は、欧州では正規雇用者の7~8割ですが、日本は6割程度です。政府では、欧州並みの8割程度を目指す方針を打ち出しており、さらに、同じ労働であれば同じ賃金を支払うべきとする同一労働同一賃金の実現を掲げています。

また、長時間労働も、出産した女性の就業継続や男性の育児参加を難しくしている大きな問題です。日本は欧州諸国と比べて年平均労働時間が長く、総務省の「労働力調査」によると、週49時間以上働く人が2割以上。政府では、これも欧州並みの1割に引き下げることを目標としています。

働き方改革の推進にあたり、政府では2016年8月の内閣改造で働き方改革担当大臣のポストを新設。同年9月には安倍首相を議長とし、有識者や労使のトップをメンバーとする「働き方改革実現会議」を始動させています。2017年3月28日には同会議での議論を踏まえて働き方改革の実行計画が決定され、今後はこの実行計画に沿って、法制度改革の検討、改正法案の国会提出が行われる予定。これからの動向が注目されます。