サントリーホールディングスでは、創業以来「人こそが最も重要な経営基盤である」という「人本主義」の考えのもと、中長期的な視点で人財育成の様々な取り組みを進めています。

そこで今回は、労務管理、勤怠管理、給与計算、タレントマネジメントまでをワンストップでサポートする人事労務システム『One人事』を提供するOne人事株式会社・宮原一成氏がサントリーホールディングス株式会社を訪問。人財戦略本部・増田俊樹氏と対談し、同社の人財戦略や具体的な取り組み内容、今後のビジョンなどをお伺いしました。(以下敬称略)

【対談者プロフィール】


  • 増田 俊樹氏

    ■増田 俊樹氏
    サントリーホールディングス株式会社
    人財戦略本部 人財戦略企画部長

    新卒でサントリーに入社。酒類営業・営業企画に従事した後、人事部門に異動し、労務政策・企画業務を担う。その後、自動販売機等に関する事業を営むグループ会社の1つであった旧株式会社ジャパンビバレッジに出向し、グループ内の自動販売機等の事業を再編した新法人・サントリービバレッジソリューション株式会社の設立を人事面から推進。2024年春より現職。

  • 宮原 一成氏

    ■宮原 一成氏
    One人事株式会社
    HRTech事業本部 HRTech SaaS事業部 事業部長

    1998年、マイクロソフト株式会社に入社。営業職に従事し営業本部長等を務める。2011年、ビル・ゲイツが全世界の従業員の中からトップクラスの成績を収めた者に与えるChairman’s Awardを受賞。2016年、株式会社チームスピリットに入社し、営業責任者、ビジネス部門担当の取締役等を務める。その後、外資系企業での日本市場の立ち上げおよび国内スタートアップでのアライアンスの立ち上げを経て、2024年、One人事株式会社に入社。SaaS事業の責任者として活躍。

サントリーホールディングス増田氏、One人事宮原氏

サントリーホールディングスの人本主義、人財戦略においていかに現場を巻き込むか

宮原 「人」こそが経営の重要な基盤であるという1899年の創業から続く「人本主義」の考えのもと、サントリーホールディングス様では社員一人ひとりの成長や活躍ができる環境づくりを進めておられます。そこでまずは御社が注力されている持続的成長に向けた人財戦略の全体像についてお聞かせください。

増田 サントリーグループでは、「人と自然と響きあい、豊かな生活文化を創造し、『人間の生命(いのち)の輝き』をめざす。」をパーパスに掲げています。「人間の生命の輝き」をめざして、失敗を恐れることなく、新しい価値の創造にむけて、あきらめずに挑み続ける「やってみなはれ」と、事業活動で得たものを自社への再投資にとどまらず、お客様へのサービス、社会へと還元する「利益三分主義」の2つの創業精神を、厳しい環境のなかであっても、先人たちが発揮しバトンを繋いできたからこそ、弊社は今年で創業126年を迎えることができています。

私たちは、まさに「人」こそが、これまでの成長を支え、これからの未来を切り拓く原動力であり、最も重要な経営基盤である、と考えています。この「人本主義」の考えは、創業から変わるものではなく、2代目社長の佐治敬三が遺した「人財はウイスキーの原酒と一緒や。短期で決めつけたらあかん。長い目で見てやらなあかん」という言葉にも表れています。社員との関係性を中長期的な視点で捉え、一人ひとりが個性と能力を最大限に発揮する「すべての社員の活躍」をめざすことを人財マネジメントの基本思想の第一に据えて、「多様な経験へのチャレンジ」「イキイキと働ける環境整備」に重点的に取り組んでいます。加えて、さらなる成長にむけて「経営戦略をリードできる人財育成」にも重点的に取り組んでいます。
サントリーホールディングス増田氏
宮原 御社の人的資本経営や人財育成に対する取り組みは、外部からも非常に高い評価を得ていますが、その要因はどこにあるとお考えでしょうか?

増田 「多様な経験へのチャレンジ」を促すローテーションを通じた人財育成や、社員が自主的に学び挑戦できる機会の整備、健康経営やDEI推進などの「イキイキと働ける職場整備」、「経営戦略をリードできる人財育成」にむけたグローバル共通の育成プログラムの展開等に幅広く取り組んできた点を評価していただいているのではないかと捉えています。外部からの評価は大変ありがたく感じていますが、イメージの部分も少なからずあると思いますので、今後もサントリーらしい人財マネジメントの在り方を実践するとともに、その内容を社内外に発信し、より一層理解・共感していただけるように取り組んでいきます。

宮原 人事施策が効果的に運用できている企業さんというのは、やはりカルチャーを含め、トップがしっかりコミットメントしているという点で共通していますよね。表面的には、「経営戦略と人財戦略を連動させている」とおっしゃっている企業さんも多いのですが、実態が伴っていないケースが散見されます。本当に連動させるためには、サントリーさんのように「人は重要な資本である」ということを経営者自身が考え、発信していくことが必要不可欠です。そのうえで中長期的な視点で社員を育てていく強い意志が重要な要素になるのだと感じます。
One人事宮原氏
増田 おっしゃる通り、現場も含めたトップのコミットメントは非常に大事です。弊社では、人財戦略の立案・実行にむけて、人事部門だけでなく、各事業・機能の経営層・キーパーソンと一緒になって議論、決定することを重視しています。例えば、弊社は・・・

協力:One人事株式会社


この後、下記のトピックが続きます。
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●「中長期的な視点ですべての社員の活躍をめざす」ために人事が意識すべき「会社と社員の相互コミットメント」
●社員のキャリアオーナーシップを推進する多様な取り組み
●社員そして組織の成長につながる「10年3仕事」と寄ってたかって個を育てる文化を体現する「育成会議」とは
●「全社員型タレントマネジメント」を推進するサントリーホールディングスのデータ活用方法
●人財戦略を推進していくうえで人事が果たすべき役割

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