少子高齢化、人口減少、人口流出、それに伴う数々の課題に直面している地方は少なくない。石川県能登町もその一つだ。地方の企業は現状と将来を鑑みて、事業の見直しなどが急務となっているものの、長年にわたり培われた慣習があり現状を変えるのには困難が伴う。さらにそもそも課題が多いため、何から着手して良いかわからないこともあるだろう。こうした状況を打ち破るべく、兼業や副業など多様な形で特定の地域に継続的にかかわる「関係人口」(副業人材)との協働で事業・組織改革に乗り出したのが「株式会社能登町ふれあい公社」だ。同社は顕在化する課題に立ち向かい、新たな未来を自らの手で創り上げるため、「地域で一番働きたい会社」を目指すべくプロジェクトをスタートした。改革はどのように進められ、社員にどのような変化をもたらしているだろうか。能登町ふれあい公社 常務取締役 総務部長 水元 圭介氏と、副業人材として改革を推進する一般社団法人Work Design Lab(ワークデザインラボ) 伊藤 紗恵氏にお話を伺った。

第12回 日本HRチャレンジ大賞『地方活性賞』

株式会社能登町ふれあい公社

「地域で一番働きたい会社」を目指した事業変革・組織変革プロジェクト
~社員と関係人口(副業人材)の協働でMVVを構築、地域を牽引する会社へ~

エンゲージメントサーベイの実施やMVVの策定等、社員を巻き込んだ協働プロジェクトとして、総合的な組織改革を実行。実施したサーベイにおいて不満があがった評価制度について、納得感を高めるためにVALUE評価を軸とした新評価制度を導入する等、社員の声に耳を傾け、着実に改革に取り組みました。地域と密接に関わる事業を行う企業の組織変革は、地域全体に対するインパクトも大きく、地域活性に貢献していると、高く評価されました。

プロフィール

  • 水元 圭介 氏

    水元 圭介 氏

    能登町ふれあい公社
    常務取締役 総務部長

    1996年入社。宿泊施設を主に総務部などに従事。真脇ポーレポーレ支配人やラブロ恋路支配人の後、統括総支配人、施設運営部長を経て、2021年6月より現職。地域の20年後を見据え、事業・組織変革をおこない「地域で一番働きたい会社」を目指し、副業人材と共創し課題解決に取り組んでいる。

  • 伊藤 紗恵 氏

    伊藤 紗恵 氏

    合同会社CとH 共同創業者・CEO/一般社団法人Work Design Lab パートナー

    大学卒業後、人事を中心に経験。その後HRTech新規事業、大学の学部の立ち上げ、スタートアップスタジオ等を経験。複業として一般社団法人Work DesignLabに所属し、地域活性事業に関わる。2023年7月石川県珠洲市にて合同会社CとH設立・CEO。24時間コワーキング・ビジネスコミュニティ『OKNO to Bridge(奥能登ブリッジ)』を立ち上げ、" 奥能登で「働く」の可能性を拡げる"をテーマに地域の若手のキャリア形成支援、ビジネス創出支援、研修コーディネートなどの事業を行う。

地域の牽引役となるべく事業・組織改革に挑む。副業人材との協働でミッション・ビジョン・バリューを策定し、「地域で一番働きたい会社」へ

地域の人口減少に立ち向かい、副業人材とともに事業・組織の変革を目指す

――最初に、能登町ふれあい公社の事業内容をご説明いただければと思います。

水元氏:当社は能登町が所有する公共施設の指定管理を中心に、宿泊・スポーツ施設の運営、特産品のブルーベリーの販売などを行っています。「公社」ですので大株主は能登町、2021年までは町長が社長でした。しかし、2022年から社内の人材が社長に就任することになり、体制が変化しています。

――貴社が「『地域で一番働きたい会社』を目指した事業変革・組織変革プロジェクト」に着手した背景を教えてください。

水元氏:石川県能登地方は過疎が進み、能登町も少子高齢化や人口減少、人口流出の課題に直面しています。20年後には人口が半減するとの予測もあるほどです。実際、町に住む若者は進学や就職に伴い、県都の金沢市や、関東・関西に出ていっています。人口が減れば、施設を管理する当社の事業も当然に縮小しなければなりません。将来を見据えると、同じ仕事を同じように行うわけにはいかないのは明白です。私たちは何をすべきで、どうなれば良いのか。2022年に体制が変わったのをきっかけに、将来について改めて考え、自らの手で未来を切り開いていこうと決意しました。理想として掲げたのは、プロジェクト名のとおり「地域で一番働きたい会社」です。

現在、当社の社員構成は20代と50代で二極化されています。20代の社員はもちろん、50代の社員にも「この会社で働いて良かった」と思ってもらいたい。さらには、地域の牽引役となることを目指しました。一方で、当社には私を含め接客業の経験しかない者ばかりです。私自身、改革すると宣言したものの、何をどうしたら良いのか、何から取り組めば良いのかわかりませんでした。このため、県主催の副業人材活用の事業を通じ、WorkDesign Labの伊藤紗恵さんと知り合い、力を借りることにしたのです。

――伊藤さんが所属する「Work Design Lab」はどのような団体なのでしょうか。

伊藤氏:「個人と組織のよりよい関係性を創造すること」を目的に、個人のチャレンジ、組織の変革を支援する団体です。会社員やフリーランス、経営者で構成されており、メンバー自らが副業人材として個人や組織の課題解決を伴走支援しています。例えばこれまでに、福井市で県内外から公募で集まったメンバーと地方のパートナー企業がチームを結成し、事業創出に取り組むプログラムや、東広島市でデジタルとアナログの組み合わせで地域課題を解決するために、課題を整理して専門人材をマッチングしながら解決方法を具体化する共創プログラムなどを実施しています。今回の協働は、私の母が能登町のお隣の珠洲市出身という縁もあり、参画させていただくことになりました。


この後、下記のトピックで、インタビューが続きます。
続きは記事をダウンロードしてご覧ください。

●MVVを浸透させるため、バリューをもとに目標設定を行う新評価制度を導入
●MVVの浸透と共に、意識改革やSDGsの推進など社員の行動にも変化が
●熱意ある社員の取り組みが、社内の「人事戦略への意識」変えるきっかけに
●自社をあげての事業・組織変革を、能登町全体の活性化につなげたい



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