もはやビジネスに国境はなく、現在はグローバルな戦略が求められている。そうした中では当然ながら、人事プロフェッショナルに課される能力もボーダレスになりつつあると言ってよい。しかし、実際にどのような能力や経験を身に付けるべきかと問われると、明確に回答できる日本企業の人事担当者はまだ少ないのではないだろうか。そこで、実務家・専門家・研究者が集まる人材マネジメント協会(JSHRM)では、世界各国の人事職種のJD(ジョブディスクリプション:職務定義書)を研究し、「各国の人事に求められている能力」と「日本の人事に求められている能力」とのギャップ分析を行った。本講演ではその研究・分析から見えてきた、“これから日本の人事プロフェッショナルが高めていくべき能力課題”について、JSHRM執行役員兼グローバル人事研究会統括の馬場竜介氏や、研究メンバーの堀内美里氏、石原彩子氏、河村綾子氏が報告を行った。
世界各国の「人事ジョブディスクリプション」から学ぶ、日本の人事プロフェッショナルに必要な“能力と経験”
馬場 竜介 氏
著者:

JSHRM 執行役員/グローバル人事研究会統括 馬場 竜介 氏

日本オラクル人事マネジャー、コロムビアミュージックエンタテインメント(現・日本コロムビア)人事部長、 PwC米国法人人事シニアマネージャー、同日本法人人事ディレクター等を経て 、2019年Wismettacグループ入社、2020年4月より西本Wismettacホールディングス株式会社 執行役員CHRO(現職)。2017年米国人材マネジメント協会 (SHRM)認定シニアプロフェッショナル(SHRM-SCP)資格取得。2018年より日本人材マネジメント協会 執行役員。

堀内 美里 氏
著者:

JSHRM グローバル人事研究会 研究メンバー 堀内 美里 氏

国内向け電子精密機器メーカー人事10年を経て、現在は日系グローバル商社の人事部門に在籍2年目。 前職にて採用・評価運営等の実務経験を経て、現在は制度企画等に携わっている。

石原 彩子 氏
著者:

JSHRM グローバル人事研究会 研究メンバー 石原 彩子 氏

NTTデータ グローバル事業本部における人事業務に従事。2017年から2021年までNTT DATA Asia Pacific に出向しリージョナル HR としてシンガポールを拠点に HR 基盤と機能の強化に対応。

河村 綾子 氏
著者:

JSHRM グローバル人事研究会 研究メンバー 河村 綾子 氏

新卒で国内ヘルスケア企業に入社し、採用、人材育成、人事企画を担当。英国留学を経て、外資系金融機関に転職し、人材開発、タレント管理に従事。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス経営学修士(MSc Human Resources and Organisations)。国家資格キャリアコンサルタント、CIPD Level 7。

世界各国の人事ジョブディスクリプションから考察する、これからの人事プロフェッショナルに求められる能力・経験とは

各国の人事3職種のジョブディスクリプションから、求められる能力のギャップを探る

馬場氏 日本人材マネジメント協会(JSHRM)は、「日本における人材マネジメントの発展と向上」を目的とした、人事の実務家や専門家、学識者が集まるNPO団体です。また、世界人材マネジメント協会連盟の日本代表組織でもあり、アジア太平洋地域協会連盟の一員としても活動を行っています。

JSHRMの中で行われている研究会活動のひとつが、私達が所属しているグローバル人事研究会です。「グローバル」と「人事」という2つのキーワードを中心に、人事課題について議論を行い、自分たちの理解を深め活動に役立てるという取組みを展開しています。この中で私たちは、「世界各国の人事職種のJD(ジョブディスクリプション)の分析と比較」というテーマに取り組んできました。研究手法はいたってシンプルで、インターネット上で公開されている各国の人事職のJDをできる限り集め、その内容について議論して、その特徴や求められている能力のギャップについて掘り下げました。

研究対象は「HRBP(HRビジネスパートナー)」、「HRマネージャー」、「HRディレクター」の3職種です。3つにフォーカスすることで何か見えてくるものがあるのではないかということで、各国のJDを分析比較してみました。考察にあたっては、左右の軸を「責任領域」、上下の軸を「リーダーシップレベル」として整理しました。
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