世の中の大きな変化やAI・データサイエンスといったテクノロジーの急速な進展を背景に、政府が提唱した超スマート社会「Society5.0」の到来が予見されている。そんな新しい時代に向けて、学びの在り方やキャリア形成など、企業・大学・学生を取り巻く新卒採用も大きな転換点に立たされている。

今後、大学教育はどう変わっていくのか。学生の就職活動に何が起こるのか。そして、企業は新卒採用活動をどうアップデートしていくべきなのか。大学教育や学生のキャリア開発に詳しい株式会社ベネッセi-キャリア 営業本部長 風間直樹氏に話を伺った。

プロフィール


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営業本部長 風間 直樹 氏プロフィール

    株式会社ベネッセi-キャリア
    営業本部長 風間 直樹 氏

    新卒で株式会社ベネッセコーポレーションに入社。高校・大学の教育改革の支援に携わる。その後、株式会社ベネッセi-キャリア 教育事業本部 部長として、大学での現場教育を支える。2020年より現職。 引き続き、大学への現場教育を支えつつ、それらの情報を生かしながら、企業への採用支援としてdodaキャンパスの開発・事業拡大を行っている。

大学や学部ではなく学びにフォーカスされる新時代。「読み・書き・そろばん」は、「数理・データサイエンス・AI」に。

――今回は、大学教育の変化と、それに伴う新卒採用の変化について伺います。まず、昨今の大学教育の変遷についてお聞かせください。

風間氏
:大学教育においては、変わるもの、変わらないものがあると思います。建学の精神や、国立大学であれば国や地方を支える人材を社会に輩出する使命、世界を牽引する技術者やリーダーを育成するという役割は、普遍的なものでしょう。
ベネッセi-キャリア風間様1
一方で、産業界や社会が求める人物像のトレンドに合わせて変化する部分もあります。例えば1990年代半ば、Windows 95が発売された頃から、IT系のスキルが求める人物像に入り、情報系の学部が増えてきました。2010年ごろからは、グローバル人材のニーズが高まり国際系学部、そして福祉や看護業界での人材不足を背景に新たな学部が創設される動きがありました。

そして2020年に入り、現在急速に発展しているのが、AI・データサイエンス領域です。コロナ禍でDX人材の必要性が増している中、企業は求める人物像として重要視しています。政府も、デジタル社会の「読み・書き・そろばん」である「数理・データサイエンス・AI」のリテラシー向上を掲げ、2019年6月に「AI戦略2019」を公表しました。そこで大学としても、そうした人材の育成に取り組む流れが出ているのです。
参照:AI戦略2019

――具体的に、どのような取り組みが行われているのでしょうか。

風間氏
:「AI戦略2019」では、教育改革に向けた主な取り組みとして、大学・高専の1学年全員にあたる50万人が、リテラシーレベルでのAI・データサイエンス習得を目標としています。さらに、その半数にあたる25万人にAI応用力の習得を促進し、AI×専門分野でのダブルメジャーの促進や、AIで地域課題等の解決ができる人材育成に取り組んでいます。
参照:AI戦略2019

大学においてもAI・データサイエンス領域の科目を学部問わず必修化したり、早稲田大学などでは独自の認定制度を設けるといった動きが活発化しています。国としても、そうした取り組みを奨励する「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」をスタートし、2021年7月頃に初回認定の大学が選定される予定です。いわゆる入試偏差値の高い大学のみならず、データサイエンス教育に力を入れている多様な大学が名を連ねるのではないかと予想しています。

現在、情報学を専門に学んでいる大学生は1学年あたり約2万人程度ですので、新卒採用においては、需要と共有のバランスが合っていないのが現状です。今後は大学名や情報学部出身という情報だけでスキルを判断するのではなく、どの大学にいたとしても、学びの内容にフォーカスしていく必要があります。

学びも、採用も、「個別最適化」が求められる