株式会社D&Iが導入した「エンカク」は、テレワーク「Tele(離れたところ)でWork(働く)」という時間と場所を有効活用できる柔軟な働き方を提示した新しいサービスだ。都市圏で電車通期が難しいケースが多い身体・精神障がい者、また障がい者の求人が少ない地方在住者など、スキルがあっても働くことが難しい障がい者を支援する在宅雇用型の新しい取り組みとして、「第8回 日本HRチャレンジ大賞」では『人材サービス優秀賞(採用部門)』に輝いた。「エンカク」の具体的な内容や導入方法、企業や障がい者双方におけるメリットとはどのようなものなのか。そこには、障がい者雇用の働き方についていかなる課題が潜んでいたのか。同社代表取締役 杉本 大祐氏とHRソリューション事業部 フィールドセールス課 課長 米田 尚泰氏にお話をうかがった。

第8回 日本HRチャレンジ大賞『人材サービス優秀賞(採用部門)』

株式会社D&I(ディーアンドアイ)

「障がい者雇用×テレワーク」で新しい働き方を創出する「エンカク」

満員電車などで通勤が難しいケースが多い身体・精神障がい者、首都圏に比べ障がい者の求人数が少ない地方在住者など、スキルがあっても働くことが難しい障がい者の支援をする、「在宅で勤務」という新しい障がい者雇用サービスであると評価されました。

ゲスト

  • 杉本大祐 氏

    杉本大祐 氏

    株式会社D&I
    代表取締役

    1974年生まれ。福井県出身。大学卒業後、人材サービス会社にて人材派遣、人材紹介、他アウトソーシング事業など幅広く経験。前職のヘッドハンティング会社の新規事業として障害者人材紹介事業を2005年に立ち上げ、2009年には株式会社D&Iを創業。障害者が「当たり前に挑戦できる社会」を創出するため、障害者の雇用支援、教育事業を展開中。
  • 米田尚泰 氏

    米田尚泰 氏

    株式会社D&I
    HRソリューション事業本部 フィールドセールス課 課長

    同志社大学卒業後、大手人材関連企業での営業を経て、2015年にD&Iへ入社。
    障害者雇用に関するセールス、カウンセリング業務や企業に対するコンサルティングなど幅広く経験。2018年よりエンカクサービスを管轄する部門の責任者として、事業を展開中。

企業と障がい者、双方の在宅雇用を支える画期的なクラウドシステム

――御社が「エンカク」をスタートした背景を教えてください。

杉本大祐氏(以下、杉本) 話は14年前に遡り、当時勤めていたヘッドハンティング会社の新規事業として、障がい者の人材紹介をはじめたことが、そもそものきっかけです。当時は福祉も企業も行政も対応が非常に消極的で、障がい者をビジネスにすること自体がタブーといった風潮がありました。こんなに遅々とした分野があるのかと驚いたものです。そこで、ビジネス化してお金を流通させれば企業間の競争意識も高まるし、需要ができることで障がい者の方の雇用がさらに促進されるのではないか、と考えてテレワークソリューションの「エンカク」を立ち上げました。

そもそも、障がい者向けの求人は首都圏に一極集中していますし、身体的理由や地方在住など、様々な理由で会社に通いたくても通えない方が多い。そのような方々に就職の機会を作るべく「障がい者雇用×テレワーク」、そして最近では地方創生も掛け合わせてみたところ、障がい者雇用の数が増えてきたので、本格的にサービスとしてスタートさせました。

――現状で就業されている障がい者の方は、どれほどいらっしゃるのでしょうか。

杉本 現在障がい者の方は、約1,000万人いるといわれています(編注:令和元年6月の内閣府発表によると約963.5万人)。その中で働いている方々は、わずか約50万人(編注:同53.5万人)。高齢者や若年者、障がいの内容によって就業を諦めなくてはならない方もいらっしゃると思いますが、少なくとも数百万人の方が、働きたくても働く場所がないという状況です。その大きな壁となっているのが、通勤・出社です。語弊があるかもしれませんが、就業されている約50万人の方は多くが通勤可能で、健常者と比べてとくに遜色なく働ける方だとみています。

それでは、仕事を必要とする残りの数百万人の方々にとって、どのような環境であれば働けるチャンスがあるのでしょうか。地方にお住まいの場合、交通インフラも十分整っていいませんし、求人件数が非常に少ない状況です。これら環境面の壁を乗り越えられるようにしたのが「エンカク」です。

米田尚泰氏(以下、米田) 「エンカク」は、テレワークで働く仕組みを提供し、障がい者の方と、雇用する企業の両方をサポートするサービスです。クラウドシステムを活用し、双方が情報共有しながら働けるため、通勤の有無も住んでいる場所も問いません。

杉本 私たちは、この「エンカク」を通して、全国の障がい者の方々に働ける機会を提供したいと考えています。企業は障がい者を雇用し、法定雇用率を満たすだけでなく、生産性も高められます。また、十分に能力を持っているにもかかわらず、就業できなかった人材にとっても「エンカク」によって働くというチャンスが増える、Win-Winなサービスだと自負しています。
――「エンカク」の導入には、テレワークの利用が必須です。しかし、テレワークを使っている企業がまだまだ少ないように思います。

杉本 確かに、テレワークを実践する企業はまだまだ少ないのが現状です。もっと言えば、制度そのものがない企業が多いです。

米田 日本は、海外に比べても圧倒的にテレワークという就業スタイルが浸透していません。ある調査によると、企業のテレワークの導入率は米国が85%なのに対し、日本はわずか19%でした。これはあくまで制度を導入している割合なので、運用となるとさらに減少します。

テレワークは、お互い顔が見えない中での業務となるので、企業側としてはきちんと仕事をしているのか、という心理的な不安があるかと思います。「エンカク」では、システム上で労働状況、生産性、体調管理などの業務状況を可視化し、就業者と担当者がSNS的にコミュニケーションを取る機能を用意することで、見えない不安を解消しています。

杉本 企業と働く障がい者の双方にとって、出勤型の勤務ではマネジメントやコミュニケーションが馴染まないケースも見られます。精神障がいの方の一年後の離職率は約50%。退職するとそのことが精神的ダメージとなり、さらに社会復帰が遅れるなど悪循環を招く恐れがあります。しかし、テレワークであれば完全に担当者と就労者による、一対一のコミュニケーションが可能になります。また、現場担当者に直接伝えるのをためらうことでも、当社の担当者を通じて遠慮なく意見を言える環境になっています。企業側も直接の対話では出ない本音などを把握でき、良好なコミュニケーションにつなげて信頼関係を育めます。その結果、「エンカク」利用者の一年後の定着率は直近で90%となっています。

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