セミナーの主な改善点は「早期化」「少人数化」「多拠点開催」「若手社員活用」

今年、他社との差別化や、より自社を理解してもらうために、セミナーや会社説明会でどんな点を工夫したのか、企業の書き込みを見てみましょう。

・前年までは外部会場を使用していたが、本年より社内の会議室を使用し、少人数で複数回実施するスタイルに変更(1001名以上、メーカー)
・学生自身が思う仕事と、それをメインに募集する会社が異なっていることが多々あることや、お互いに必要な技術者獲得が交錯することがあるため、グループ会社・関連会社で合同開催した(1001名以上、メーカー)
・参加人数を上げるために、業者による電話勧誘を実施(1001名以上、メーカー)
・HPでは得られない情報を提供すべく、座談会を通して若手社員と話す機会を作った(1001名以上、メーカー)
・早期に集中して応募者を確保した(1001名以上、情報・通信)
・より仕事軸で、仕事の価値、やりがい、広がり等を説明した(1001名以上、商社・流通)
・ナビ掲載をやめたことにより、必然的に応募人数も減るため、個別対応や少人数対応の強化を図りました(301~1000名、メーカー)
・開催時間について夕方開催を設定した(301~1000名、メーカー)
・開催時期を前年の5月から3月にしたため参加率が大幅に改善した(301~1000名、メーカー)
・本社(東京)でのセミナーだけでなく、千葉や神奈川など関東近郊でも複数地域でセミナーを開催した(301~1000名、商社・流通)
・地域大学にのみ特化して活動した(300名以下、サービス)
・開催頻度は同じだが、定員数を減らし、常に満席状態をキープさせた(300名以下、情報・通信)
・自社の宣伝だけではなく、「社会人としての進み方」のような話をしたほうが、学生には非常に印象が良い(300名以下、商社・流通)
・社内見学を若手社員が対応し、若手社員と応募者が話をする機会を設けた(300名以下、マスコミ・コンサル)

3割の企業が「働き方改革」に触れず

前回の本稿では、9割もの学生が「働き方改革」を気にしていることを紹介しましたが、企業側は「働き方改革」をどう扱っているのかを見てみましょう。会社説明会や面接において、「働き方改革」を意識した話をしているかを聞いた結果が[図表3]です。
第100回 新卒も個別採用へ、半数以上の企業が導入済み ── HR総研「2020年&2021年新卒採用動向調査」
「『働き方改革』を積極的に取り上げた」とする企業は全体で17%、大企業でも22%にとどまります。「少し『働き方改革』の話をした」企業が全体で52%、大企業でも49%と5割前後に達するものの、全体の31%、大企業の29%と3割前後の企業は「『働き方改革』に触れていない」と回答しています。「学生が知りたい情報」と「企業が発信したい情報」の間に明らかなミスマッチが起こっています。今年は4月1日より「働き方改革関連法」が順次施行されており、マスコミでもかなり大きく取り上げられました。新聞やテレビニュースをまともに見ていない学生でも、ネットニュースで嫌と言うほど目にしたはずです。気にならないわけがありません。企業はもっと、学生に伝えるべき情報を吟味する必要があります。

それぞれの企業のコメントも抜粋して紹介します。取り上げている企業からは、積極的なアピールを目的としているほか、「ブラック企業イメージの払しょく」という回答が複数見られました。特に「情報・通信」業界に多いようです。取り上げていない企業では、「働き方改革が進んでいない」という企業がある反面、「当たり前のことだから」という企業もあります。もともと働き方改革をする必要もないほどの環境であるのなら、ぜひその点は伝えていくべきでしょう。非常にもったいないと思います。

【「働き方改革」を積極的に取り上げた】
・ワーク・ライフ・バランスをアピールして、働きやすい会社という印象を持ってもらうため(1001名以上、メーカー)
・もともと取り組んでおり、「いまさら感」もあったが、学生が強く希望していたため、トピックとして取り上げた(1001名以上、サービス)
・ブラックという印象の解消(1001名以上、情報・通信)
・現在の働き方改革への会社の取り組みを示すことで、時流に対する会社の姿勢を示す(301~1000名、メーカー)
・働きやすい職場づくりを行っていることを学生に認知してもらうため(301~1000名、メーカー)
・職場環境を気にする学生が多くなった(301~1000名、商社・流通)
・ブラック企業ではないこと(301~1000名、情報・通信)
・ブラック企業ではないことを説明するため(300名以下、メーカー)
・質問が多いため(300名以下、メーカー)

【少し「働き方改革」の話をした】
・業界特性上、不安を持っている学生が多く、世の中の一部の情報だけで、実態とは異なる印象で決めつけられてしまう傾向があるため(1001名以上、商社・流通)
・ワーク・ライフ・バランスに触れる必要を感じたため(301~1000名、メーカー)
・有休日数、残業時間など、働き方改革関連法案に関する事項の質問があったため(301~1000名、メーカー)
・従業員満足度を高めていくことをアピールするため(301~1000名、サービス)
・今日的な話題で、学生も応募企業選定の一つの基準にしていると思ったため(300名以下、メーカー)
・学生が気にしているケースが多いため。先に話題にしておくことで安心感を与えられるため(300名以下、マスコミ・コンサル)
・平均残業時間や有給休暇取得日数の数字だけを見ると悪い印象があるので、働きやすさの肌感覚をセミナーで伝えました。また、残業をゼロにできない構造的な理由を説明したところ、学生にとっては社会勉強になったようで、逆に良い反応がありました(300名以下、マスコミ・コンサル)

【「働き方改革」に触れていない】
・あまり進んでいないため(1001名以上、サービス)
・特に質問もなかったから(301~1000名、商社・流通)
・各種制度は整っているし、残業も20時間程度だから問題ないと考えている(300名以下、メーカー)
・まだ具体的な動きが決まっていないため(300名以下、メーカー)
・まだまだ、社員数も少なく改善されているところと改善されていないところもあるため、前面に押し出すとミスマッチになりかねない(300名以下、サービス)
・すでに進んでいる(当たり前にできている)ため(300名以下、情報・通信)

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