中小企業の3割は内定者ゼロ

次に、6月後半時点での採用計画に対する内定充足率について見てみましょう[図表4]。全体では、充足率「80%以上」の企業が37%(昨年29%)、逆に「20%未満」の企業が34%(同27%)となっていますが、企業規模により状況は大きく異なります。
第100回 新卒も個別採用へ、半数以上の企業が導入済み ── HR総研「2020年&2021年新卒採用動向調査」
大企業では、充足率「80%以上」の企業が44%(同37%)に達し、「20%未満」の企業は17%(同14%)にとどまります。一方、中小企業では、充足率「80%以上」の企業は32%(同28%)なのに対し、「20%未満」の企業は46%(同38%)と半数近くにもなり、さらに「0%(内定者ゼロ)」という企業が32%(同29%)もあります。3割以上の中小企業で内定者がいないという、昨年以上に厳しい状況となっています。内定がまだまったく出せていない企業もあれば、内定は出したものの、内定辞退により有効内定者がゼロになってしまっているケースもあるでしょう。

リクルートワークス研究所発表の大卒求人倍率では、2019年卒の「1.88倍」から2020年卒は「1.83倍」へとわずかながら低下したとは言え、依然高水準を維持しており、学生の「売り手市場」は変わっていません。ちなみに、中堅企業では、充足率「80%以上」の企業は38%(同28%)、「20%未満」の企業は28%(同21%)となっており、すべての企業規模で充足率「80%以上」の企業が昨年よりも増加する一方、充足率「20%未満」の企業も増加しています。企業側のさらなる二極化現象が見られます。

内定者に占めるインターンシップ参加者比率がアップ

次に、内定者に占めるインターンシップ参加者の割合を見てみましょう[図表5]。この設問の回答対象は、もちろんインターンシップを実施した企業のみです。
第100回 新卒も個別採用へ、半数以上の企業が導入済み ── HR総研「2020年&2021年新卒採用動向調査」
インターンシップを選考そのものに活用している企業もあれば、インターンシップはあくまでも広報活動の一環であり、結果的に内定者を調べてみたら、その中にインターンシップ参加者が含まれていたという企業まで、さまざまなケースが存在します。「100%(全員参加者)」という企業も中小企業には存在しますが、大企業や中堅企業ではゼロとなっています。ただし、今回の回答企業には含まれていませんが、大企業の中にはインターンシップ参加をマストとしている企業もありますので、実際にはわずかながら存在しているはずです。

大企業では、「0%(参加者からはゼロ)」だった企業が9%、「20%未満」が22%となりました。昨年の同時期調査では、「0%(参加者からはゼロ)」は5%と今年よりも低くなっていましたが、「20%未満」の企業は48%と5割近くもあり、今年が22%だったことを考えると、いかにインターンシップが採用に密接に関わってきているかが分かります。「0~20%未満」の企業は、中堅企業でも昨年の64%から今年は47%へ、中小企業でも昨年の44%から今年は39%へと減少しています。つまり、すべての企業規模で、内定者に占めるインターンシップ参加者の割合が増加しています。

昨年よりもインターンシップ参加者が増えている企業が多いこともあり、結果的に内定者に占める割合が増えている点も否定はできません。ただ、インターンシップ参加者へのフォローが「プレエントリー受付開始の案内」にとどまっていた時代と比較すれば、今年のように「早期選考会の案内」が参加者フォローの主流になるなど、「インターンシップと採用」、あるいは「インターンシップと選考」をダイレクトに結びつける動きが活発になってくれば、インターンシップ参加者から内定者が数多く生まれることは、至極当然の結果といえるでしょう。

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