転職希望のキャリア女性と採用責任者を本音トークでマッチング「なでしこキャリアLIVE!」

特別読み切り

企業が優秀な人材を獲得するための「攻めの採用」、ダイレクト・ソーシングが注目を集めている。その手法の一つが、求職者と採用責任者がリラックスした雰囲気で働き方や生き方を本音で語り合う、ワークショップを取り入れたイベントだ。

採用コンサルティングのゼスト株式会社は、2018年6月29・30日に東京・神保町のイベントスペースで「なでしこキャリアLIVE!」を開催。大規模な就職・転職フェアとは違い、お茶やお菓子を囲んでざっくばらんに意見を交わす機会に、求職者や企業側は打ち解けた様子でお互いの理解を深めた。キャリア女性を対象にした30日のイベントの模様をレポートする。

いきなり面談ではハードルが高い 「なでしこキャリアLIVE!」は女性の自己解放の場

同イベントは2013年にスタートし、今回で4回目の開催となる。転職や独立など今後のキャリア形成に意欲的な20〜40代の女性と、若手女性人材を求める複数社の採用責任者が参加した。

イベントの特徴は、キャリア女性が将来の展望やキャリアの悩みを本音で語り合える自己解放の場として設定されたことだ。「ワールドカフェ形式」(少人数テーブルでの自由な意見交換やメンバーの入れ替えで話し合いを活性化する手法)による求職者と採用責任者の交流は、今回初めて導入。ゼストの樫村周磨代表によると、女性求職者のニーズにフィットする形式だという。

一般的に転職フェアは、幅広い企業を直接知る機会である反面、企業ブースでいきなり対面し、面接するという流れはハードルが高い。そこで「まずは情報収集をしたい」「キャリアに関する戸惑いや悩みを解消したい」という女性のニーズに着目し、本イベントの企画に至った。一方、企業側にとっては、採用前の深いコミュニケーションを通じて雇用のミスマッチが防げる有効な手立てとなりうる。

今回のイベントではワークショップに先立ち、女性のキャリア形成に関する講演や、転職を経て自分らしいキャリアを築いている30代女性のトークセッションが行われた。

女性がハッピーキャリアを築ける「2つの戦略」

まず、リクルートエージェントの元No.1営業ウーマンであり女性のキャリア形成に詳しい株式会社morichiの森本千賀子氏が「働く女性のハッピーキャリア術!」と題して講演した。

森本氏は、自分の意志を実現できる「ハッピーキャリア」は、仕事だけではなく家庭や社外でのライフワークを含めた人生全体で作り上げるものだと強調。自身の経験を振り返り、仕事では25年間で2,000人の転職を支援する一方、家庭では2人の子どもを育て、ライフワークとして社外でキャリア支援などの活動にも取り組んできたと紹介した。ライフワークを始めたきっかけは、第二子の出産を機に家庭との両立を重視してキャリアを見直したことだったという。仕事に対する情熱を持て余すようになり、社外活動に目を向けるようになった。現在も、仕事・家庭・ライフワークを通じてさまざまなコミュニティで幅広い価値観に触れることを大切にしているという。

キャリア術の話に入る前に、森本氏は現在の人材マーケットについて解説。かつてはネガティブな経歴と捉えられていた転職も、今はキャリア形成の選択肢の一つとして広く受け入れられるようになり、人材紹介市場はますます成長していると述べた。一方、労働環境をとりまく大きな変化として、野村総合研究所の2015年の発表によると「10〜20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、それらに代替することが可能」と推計されることや、IoTの浸透により各業界の境界線がなくなりつつあることを指摘。今後のキャリア形成においては「リスクをとらないことがリスク」と強調し、キャリア開発に主体的に取り組む必要性を訴えた。

「現代は、仕事も結婚もやりたいことも、意志を持って戦略的に展開すればすべて手に入る時代になった。また、子どもに教育を受けさせたり、シングルで子育てしたりするなら、男性の収入だけに頼れない時代でもあり、女性は働き続けなければならない。どうせ働くなら、時給=自分の価値 を高める戦略をとるべき」(森本氏)

女性が自分の価値を高める戦略の一つは、「マイノリティ」として価値を高めることだ。森本氏は、自身が新入社員だった1993年当時は「女性の営業職」「転職エージェント」が非常に少なく必然的に目立ち、これらを25年続けたことでも価値が高まったと解説。そして、現代において目指すべきマイノリティは「女性管理職」であり、リーダー経験があれば年収の倍増や業界を超えた転職も可能になるとアドバイスした。しかも、近年求められるリーダー像は「部下に尊敬される高いパフォーマンスや強いリーダーシップを発揮する人物」から「メンバーが力を発揮できるようサポート役になれる人物」へと変化しており、この点でも女性は管理職のポジションに求められているとした。

しかし、現状として女性管理職はまだまだ少ない。理由の一つは、女性は男性よりも初めての経験に抵抗感が強いことだという。森本氏は「管理職に特別な能力は必要ない。すでに女性管理職になっている人も、『上司に背中を押されて、やってみたらできた』と答える人が多い」と紹介し、まずはチャンスがあれば手を挙げてみることの重要性を訴えた。現在、女性活躍を社外にアピールするために女性の外部顧問や社外取締役を求めている企業は多く、道のりは遠いが目指す価値があるという。

女性が価値を高めるもう一つの戦略は「変化対応力」だ。変化対応力が求められる現在の転職市場のキーワードは「非連続キャリア」だという。同一部署で主任、係長、課長を経験した垂直的なキャリアよりも、地方転勤や工場勤務など一見バラバラなキャリアのほうが好まれる。なかでも理想的なタイプは、大リーグに渡った大谷翔平投手のように「二刀流」の人材だという。また、大谷投手は、ブランドや年俸ではなく、自分自身が活躍できる球団を見極めた点でもキャリア形成の好事例だ。

変化対応力を身につけるには、新しいことや自分の力を少し上回ることにチャレンジする機会を持つことが重要だという。会社員であれば他部署への異動、関連組織・子会社への出向、地方転勤といった環境の変化が好機となる。例えば、大企業の本社ではプロダクトごとに縦割りの仕事しか担当できないが、小規模で小回りが利く支社に行けば、部署を横断したトータルソリューションを顧客に提案できる。人事異動を機に転職を考える人も多いが、まず1年は新しい環境で頑張ってみるべきだ、とアドバイスしているという。このほか、社外でパラレルキャリアを始めることも効果的で、会社という看板が外れても頼られる存在を目指すべきとした。

著者プロフィール

HRプロ編集部

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