ニューホライズンコレクティブ合同会社(以下、NH社)は1月31日、同社の発足(2020年11月)以降およそ1年間の活動に関する経過報告会および、新たに発足するプロジェクトの発表会を開催した。NH社は、2020年11月に株式会社電通(以下、電通)によって設立された。「個人が年齢に捉われず、社会において長く価値発揮できるような新しい選択肢」として考案した「ライフシフトプラットフォーム」を具現化することを目的として発足したのち、翌年1月より事業を開始。「人生100年時代」を見据えたキャリア構築支援の取り組みとして注目を集めた。発表会では、同社代表・野澤友宏氏が登壇し本取り組みのこれまでと今後について話した。
人生100年時代にミドル社員の早期退職後のキャリア形成をサポートする新たな仕組み「ライフシフトプラットフォーム」とは

人生100年時代をいきいきと生きるための「ライフシフトプラットフォーム」

健康寿命が延び、「人生100年時代」と言われる昨今。社会人としてキャリアのゴールが見えている「ミドルシニア世代」は、キャリアの長期化を見据えてキャリアデザインをすることが求められている。2017年に厚労省が発表した統計では、2050年までに日本の100歳以上の人口は100万人を超えるとされており、「100歳まで生きる」ことを前提とした将来設計の必要性が増しているのが現状だ。

NH社によると、ライフスタイルが見直されていることで、60〜70代に差し掛かっても社会で活躍するために、「社会人生活で身につけた専門性」をさらにアップデートし続ける人、時代の変化に合わせて新しいスキルを習得し独立や副業などに挑戦する人、教育機関等で学び直して新しい道を切り開く人などが、ミドル世代に現れているという。そこで同社では、「多様なスキルを持つプロフェッショナルである」という価値観の重要性に目を付け、社員の退職後のキャリア形成・ビジネス創出をサポートする「ライフシフトプラットフォーム」の運営をスタートしたとしている。

NH社代表の野澤友宏氏は本発表会の冒頭、「2021年の経過報告」に先駆けて、“人生100年時代”、“超高齢化社会”、“終身雇用崩壊”、“多様化社会への移行”、“地方創生”といった、社会の変化の中で起きている事象に触れた。このような大きな社会変革の時代において、「人生100年時代、個人が社会に対して発揮する価値をどう最大化するか?」という課題への最適解を求めることがNH社発足時からの目的であると言う。

野澤氏は、現代の日本企業にのしかかる構造的問題について、「非常に多くの時間を費やして経験を積み上げてきたビジネスパーソンが、50歳を過ぎたころから価値発揮の機会を持つことができずにいる」と指摘。“スキルや知識の賞味期限切れ”によって活躍の場を失ったのち、不本意な形で会社にいなければいけないというのだ。

こうした構造的問題への解決策として、NH社では2つの方法を提案しているという。自らずっと価値発揮するための「学び直し」と、自らずっと活躍するための「新しい事業の創出」だ。40〜50代で学び直しをすることによるスキルのアップデート、もしくは新しく得たスキルと既存のスキルの融合によるマルチキャリア化の実現を叶える「学び直し」と、年齢に関係なく自らの力で活躍できる環境づくりとしての「新しい事業の創出」をテーマに、「個人が一生涯かけて発揮する価値を最大化するための支援基盤」として考案されたのが、「ライフシフトプラットフォーム」であるとのことだ。
ライフシフトプラットフォームとは

「ライフシフトプラットフォーム」の概要

電通の100%子会社として発足したNH社では、電通から約230名が個人事業主として独立し、チャレンジを始めている。各事業主がNH社と複数年の業務委託契約を結び、同社にて一定業務を行い固定報酬を得つつ、自らの事業にチャレンジできるという仕組みで、「チャレンジ」と「安心」を両立した、「フレキシブルに働きながら、アグレッシブにチャレンジできる」環境を用意したという。
ライフシフトプラットフォームの仕組み
一方で、ミドルシニア世代のキャリアチェンジを「希望退職、早期退職」で促す企業も増えている。東京商工リサーチが今年1月に発表した調査結果によると、「上場企業の希望・早期退職者募集状況」は、2019年が約11,000人、2020年には約18,000人、2021年も約15,000人と、高い水準で推移している。

しかし、早期退職をするビジネスパーソンには、3つの不安が立ちはだかるという。「収入面での不安」、「独立による社会での孤立化への不安」、「再就職やビジネス機会創出への不安」だ。こうした不安は、実際にライフシフトプラットフォームにて個人事業主となったメンバーも抱いていたそうで、1年間のプロジェクト運営を経て、「会社を辞めた後のことまで、会社が考える」という新しい関係性の有意義さについての実感の声が多く寄せられたことを野澤氏は報告している。その上で、「上記の不安を払拭した『3つの安心』が、NH社およびライフシフトプラットフォームの大きな特徴である」と自信を示した。人生100年時代の価値発揮を実現するためには、「年齢にとらわれず、できるだけ長く価値発揮し続けられるように支援する」、「積極的に学ぶ場を提供し、意欲的に長く取り組める仕事を創出する」、「時間や場所にとらわれず、柔軟性の高い働き方を叶える」といった支援を実現することが必要だという。

具体的にメンバーに提供していることについては、「新しい学びの機会」、「新しいやりがいの機会」、「新しい仲間・チームの機会」だとし、新しいスキル獲得・資格取得を目的としたセミナーの開催や、NH内の個人事業主同士のネットワークの形成といったサポート体制を実現していることを明かした。メンバーに行ったアンケートでは、こうした取り組みについて実際にポジティブな声が届いているという。特に、「退職・独立後の1年間、自身の取り組みが充実しているか」との質問に対しては、「とても充実している」が34.5%、「充実している」が54.9%となり、合わせて約9割が「充実している」と回答したという。電通から独立した約230名の平均年齢が52歳だと考えると、その充実度は非常に高いと言えそうだ。
ニューホライズンコレクティブの取り組み
また、ビジネスの事例として、「特に取り組む人の多い地方でのビジネス」に焦点を当てて紹介した。近年注目度を高めている「地方創生」に寄与するような取り組みが多い点も、NH社の特徴のようだ。

新プロジェクト「売れる仕組み創造室」の設立

NH社が今後手掛けていく新プロジェクトとして野澤氏が発表したのが、中小企業の商品開発・改良・販路拡大のサポートを目的とした「売れる仕組み創造室」である。これは、全国の生産者・事業者に向け、NH社が持つネットワーク力・商品分析力・クリエイティブ力を使って売れる仕組みを作っていくというもので、ロイヤリティ方式を採用することで、生産者・事業者の初期投資を大幅に抑えることができるという。開発・販路パートナーとなるのは、大手食品卸業者や流通チェーン、クラウドファンディング、販売催事場、飲食ネットワークなどで、すでに商品開発が進んでいる事例もあるようだ。
売れる仕組み創造室_概念図
また、これまでNH社にて実施していたライフシフトプラットフォームについても、今後は他企業への展開を進めていきたいとしている。野澤氏は、「ミドル社員の人材活用については、いまや超高齢化社会を迎える日本全体の課題である」とし、ライフシフトプラットフォームを「新たな働き方の選択」として、より多くの企業が採用できるような仕組みを展開していくという。具体的には、社員の退職後のキャリアを応援したい企業へのライフシフトプラットフォーム導入のサポートや、独立した個人事業主へ「学び」、「やりがい」、「仲間」の提供などを行うとのことだ。
ライフシフトプラットフォームの展開
本発表会にて野澤氏は、ライフシフトプラットフォームの仕組みについて、社員・社会・企業それぞれに対して「“三方よし”の仕組み」であると、その特徴を伝えている。ライフシフトプラットフォームを導入・活用することで、企業だけでなく、それを取り巻く社会や人材などにもメリットを望むことができるかもしれない。
超高齢化社会を迎えている日本において、企業はもとより社会全体で「ミドル社員の人材活用」が必要となっている。働き方やキャリアの選択肢が多様化した現代、社員の退職後のキャリアを応援するために、企業としてライフシフトプラットフォームの選択を考えてみてはいかがだろうか。
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