HRプロとは一般社団法人日本能率協会は2021年10月4日、「2021年ビジネスパーソン1,000人調査」の中で実施した、「雑談機会と効果」に関する調査結果を発表した。調査期間は2021年8月13日～23日で、全国の20歳～69歳までの正規就業者（企業や団体で働く正社員、役員、経営者）男女1,000人から回答を得た。なお、同調査は2013年より毎年テーマを変えて行っているもので、本年は「テレワークの実施状況」と、「職場メンバーとの雑談機会と効果」について調査したという。この調査により、職場（テレワークおよびオフィス）における「雑談」の頻度や効果などが明らかとなった。
「テレワークを行っている」は全体の3割程度に
職場における「雑談」の機会は、ビジネスパーソンにとってどのような効果があるのだろうか。はじめに、「テレワークを行っているか」について、営業日ベースで尋ねた。すると、「行っている」は31.5％と、全体の3割程度に。そのうち、「週5日以上」が7.2％、「週3～4日」が8.5％と、高い頻度でテレワークを行っている人は全体の15.7％だった。一方で、全体の68.5％が「テレワークを行っていない」と回答。地域や業種によっては、テレワークを実施できないといったケースも多くあることが予測される。
7割以上が「オフィス出勤時に対面で」雑談をしている
続いて、「勤務中、ほかの社員とどのように雑談しているか」を尋ねた。すると、テレワークの有無に関わらず、「オフィス出勤時に対面で行う」が72.9％だった。他方で、「テレワークを行っている」人は、ZOOMやTeamsなど「オンラインでの会議」が49.8％、「メール等」が37.1％、チャットやSlackといった「メール以外の会社のコミュニケーションツール」が31.4％となり、オンラインツールを活用して雑談を行っていることがわかった。
テレワークでの雑談機会は、出社時の半分以下に
また、「雑談の頻度」について尋ねたところ、「テレワークを行っていない人」は、「ほぼ毎日雑談する機会があった」が48.9％と約5割に。一方、「テレワークを行っている人」は、同回答は19.7％と2割程度にとどまった。このように、テレワーク環境下では、出社時に比べ雑談の機会が減っていることが予測される。
8割以上が、テレワーク環境下で「雑談がしにくくなった」と回答
続いて、「新型コロナウイルス感染症拡大前と比較して、職場メンバーと雑談をしにくくなったか」を尋ねた。すると、「しにくいと感じる」との回答は、「テレワークを行っている人」では86％と8割以上に。対して「テレワークを行っていない人」では同43.1％となり、「雑談のしにくさ」を感じるのは、テレワーク環境下ではほぼ2倍となることがわかった。「雑談をしにくくなった理由」の自由回答を見ると、「テレワークにより対面の機会が減ったから」、「対面でもソーシャルディスタンスが必要だから」、「気軽に雑談できる環境（ツールや場所）がないから」といった内容だった。テレワークによって「雑談のしにくさ」を感じているほか、対面でも新型コロナの影響により雑談を控えていることがうかがえる。
6割以上が、雑談は「業務の生産性を高めることにつながる」と感じている
次に、「職場メンバーとの雑談は、業務の生産性を高めることにつながっているか」を尋ねた。その結果、「そう思う」と「ややそう思う」の合計は、全体で61.1％（「そう思う」が11.8％、「ややそう思う」が49.3％）と6割を超えた。また、「テレワークを行っている人」は、同合計が73％（同14％、59％）で、全体の平均より高くなったのに対し、「テレワークを行っていない人」では、同合計が55.6％（同10.8％、44.8％）となり、両者には17.4ポイントの差が見られた。いずれの立場でも、半数以上が「雑談の機会が生産性の高さにつながる」と感じているものの、働く環境によってその意識に違いがあることがわかった。
約8割が、雑談は自身にとって「プラス」であると回答
最後に、「雑談は、自身にとってプラスかマイナスか」を尋ねた。すると、全体では「プラスである」（21.3％）と「ややプラスである」（58.2％）の合計が79.5％となり、約8割が「自身にとってプラスである」と感じていることがわかった。また、「テレワークを行っている人」は同合計が86％となり、「テレワークを行っていない人」の同合計76.5％に比べ9.5ポイント高い結果に。テレワーク環境下の人は、出社時と比べ雑談の機会が減ったことで、コミュニケーションの貴重さを再認識したと言えそうだ。
雑談は、職場において、「プラスに働く」コミュニケーション機会のひとつと言えるかもしれない。出社かテレワークかにかかわらず、“雑談を通じたコミュニケーション”の活性化を促すような工夫が必要ではないだろうか。
