株式会社ミナジンは2020年10月、「テレワークの実態と勤怠管理の調査」の結果を発表した。調査期間は2020年9月17~27日で、従業員数がそれぞれ「50名未満」、「50名~299名」、「300名~999名」、「1,000名以上」の企業から抽出した各200名の人事・総務担当者合計800名から回答を得た。これにより、総務人事部門のテレワークの状況や、勤怠管理方法における課題などが明らかになった。
総務・人事部門でのテレワークの難しさが浮き彫りに。およそ4割の企業では「推奨せず」

総務・人事部門の3~4割はオフィス勤務を実施

新型コロナウイルス感染症拡大を機に導入が進むテレワークだが、総務・人事部門ではどの程度浸透しているのだろうか。

まず、「総務・人事部門でのテレワークの進み具合」を尋ねた。その結果、「オフィス勤務が2割以下」としたのは全体の平均で34%に。最も高いのが50名未満の企業で42.6%、最も低いのが50~299名の企業で26.5%だった。一方、「すべてがオフィス勤務」との回答も全体で36.7%となっており、3割~4割の企業では総務・人事部門のテレワークがほとんど進んでいない実態も明らかとなった。
「テレワークの実態と勤怠管理の調査」図表1
続いて、「勤務先が、総務・人事部門でのテレワークを推奨しているか」と尋ねた。すると、「推奨している」または「少し推奨している」と回答したのは全体で26.1%となり、約4社に1社では推奨されていることが判明した。ただ、1,000名以上の企業で合計35.6%が推奨している反面、50名未満の企業では合計9%にとどまるなど、規模による差が顕著に見られた。また、「推奨していない」は全体で37.1%となり、「推奨している」、「少し推奨している」の合計を11ポイント上回っている。
「テレワークの実態と勤怠管理の調査」図表2

コロナ禍をきっかけにテレワークを導入した企業の割合は

また、「新型コロナウイルスがテレワークに影響したか」を尋ねると、50名未満の企業をのぞいて、約3~4割が「進んだ」と回答した(「大きく進んだ」と「ある程度進んだ」の合計)。実際、緊急事態宣言が発令された4月は多くの企業がテレワークを実施しており、解除後も週の半分程度は継続しているという企業が少なくないと見られる。
「テレワークの実態と勤怠管理の調査」図表3

「勤怠管理システム」の導入は企業規模により大差が

テレワークの課題のひとつとして挙げられる、「従業員の勤務管理や給与管理を含む勤怠管理」について、その方法を聞いた。その結果、規模が小さい企業ではアナログな方法を採用している割合が高く、「手書きの出勤簿」と「タイムカード」を合わせた数字は、50名未満の企業で59.5%、50名~299名の企業で56.6%という結果に。一方、「勤怠管理システム」で管理しているとの回答は、300名以上999名以下の企業で41.6%、1,000名以上の企業で52.9%にのぼる。50名未満の7.4%、50~299名の19.4%とは大きな差があり、従業員規模が大きい企業ほど、アナログな方法での勤怠管理に限界があるのだろうと推測される。
「テレワークの実態と勤怠管理の調査」図表4

勤怠管理システムの課題とは

最後に、勤怠システムを導入している企業に、その課題を聞いた。企業の規模に関わらず突出して多い回答は見られないものの、「導入・運用時のサポート」や「導入・運用コスト」、「機能が足りない」、「使いづらい」などがそれぞれ1割~2割となり、さまざまな面で課題を感じていることがわかる。
「テレワークの実態と勤怠管理の調査」図表5
新型コロナの影響からテレワークを導入した企業も多いが、総務・人事部門では難しいのが現状のようだ。一都三県では再び緊急事態宣言が発令され、テレワークの必要性はより高まるだろう。課題のひとつである勤怠管理をどのように行うかも、推進のポイントとなりそうだ。

この記事にリアクションをお願いします!