人的資本経営の重要性がますます高まる昨今、その推進の大きな鍵となるのが、タレントマネジメントシステムです。なかでもグローバル環境に強みを持つSAP SuccessFactorsは、これまでに200カ国以上で使われてきた実績を持ちます。しかし、今や多くの日本企業も導入している一方で、使いこなせない、活用できないことを理由にリプレイスする企業も。

そこで今回は、日本初のSuccessFactorsパートナーとして、2010年より導入支援を行っているキャプラン社がウェビナーを開催。ゲストとして、これまで数々のグローバル企業にて人事責任者を歴任し、タレントマネジメントシステムの導入・運用に関わられてきた藤間氏と、パナソニックにて現在進行形でSuccessFactorsの活用を進めている萩原氏にご登場いただき、タレントマネジメントシステムのあるべき活用方法や課題解決のためのヒントなどを語っていただきました。


プロフィール


  •  藤間美樹氏

    株式会社HR&B 代表取締役
    人事実践科学会議副代表理事
    藤間美樹氏


  • 萩原章義氏

    パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社
    HRIS・PeopleAnalytics推進リーダー(本社人事COE)
    萩原章義氏


  • 礒一貴氏

    キャプラン株式会社 タレントマネジメント事業本部 HRDXフェロー
    株式会社HRクロスラボ 代表取締役
    People Trees合同会社 パートナー
    礒一貴氏


パソナHRソリューション礒氏、HR&B藤間氏、パナソニックオペレーショナルエクセレンス萩原氏

【セッション1:藤間美樹氏】人的資本経営を推進するグローバルタレントマネージメントシステム

人材版伊藤レポートでは、人材戦略に求められるものとして、1.「経営戦略と人材戦略の連動」、2.「As is-To beギャップの定量把握」、3.「企業文化への定着」を挙げています。人は学び、経験し、行動変容して、多くの人が新しいことを習慣化させることで、初めて組織風土となっていきます。つまり人材戦略の実践の鍵は、タレントマネジメントにあるのです。では、人的資本経営において最も重要なことは何でしょうか。それはどこに投資するかということ。そしてその答えは、人と組織です。まず個人の能力を引き出す施策に投資することで、人的資本が蓄積され、一方でカルチャー・集団に投資することで、組織的な人的資本が蓄積されます。
人財戦略に求められる3つの視点・5つの共通要素
ここでタレントマネジメントの体系についてお話します。まず企業視点で見ると、採用→配置→育成→評価→また配置と、これをぐるぐると回していくわけですが、育成→評価の段階で重要なのは、人材育成計画をきちんと立てることです。さらに評価→配置の段階では、次のポジションに相応しいのは誰かを見極めるタレントレビューが重要となります。一方、従業員視点で見ると、育成の段階では、一人ひとりがキャリア自律に目覚めて実践することが求められるでしょう。育成計画においても個別にキャリアの志向を確認したり、キャリア自律に目覚めた社員をサポートする仕組みなどを整えることが重要です。

こうした中、タレントマネジメントには大きく5つの課題があります。1つ目は、人材育成計画が不十分である点です。人材育成は階層別研修と選抜研修の両方を実施し、研修体系は整っているものの、育成方針や育成目的が曖昧になっています。2つ目の課題は、経験に重きが置かれていない点です。皆さんも「7:2:1の法則(ロミンガの法則)」はご存知でしょう。人の育成における効果は、経験が7割を占め、薫陶は2割、研修は1割程度しかありません。しかし、日本の場合、研修に焦点を当てすぎており、経験、つまり育成のための配置、異動まで考えたタレントマネジメントが十分にできていないのです。
人財育成の目的と研修体系
3つ目の課題は、戦略に基づいた組織設計と組織レビューが不十分なところです。組織設計と連動した人員計画がないため、組織ニーズと人財育成が連動せず、研修してもその学びをOJT等の経験で伸ばせないという問題があります。4つ目の課題は、成長が個人任せになっている点です。研修後の経験の支援が不十分なため、自分の力で成長するしかなく、結果として育った人材が経営人材となります。果たしてこれはマネジメントでしょうか? そして5つ目の課題は、次世代リーダーの育成計画が不十分な点です。海外は人的資本としての将来のリーダー候補に投資し、研修だけでなく経験を積ませる人材育成計画を実行。フォローしながらリーダーとして育て、リーダー候補にも成長を実感させリテンションを図ります。これこそが真のタレントマネジメントでしょう。今後は日本も、集団管理から個別管理のタレントマネジメントに移行する必要があると思います。
協力:株式会社パソナHRソリューション



この後、下記のトピックが続きます。

続きは、記事をダウンロードしてご覧ください。

●パナソニックにおける“SAP SuccessFactors”の活用について
●“SAP SuccessFactors”を選んだ決め手となったのは、柔軟性と使い勝手
●タレントマネジメントシステムで見える化するメリット
●価値観が多様化する昨今、個人に寄り添うマネジメントとは
●データの蓄積は早い内から始めなければならない

  • 1

この記事にリアクションをお願いします!