企業が持続的な成長を実現するには、従業員が働きがいを感じ、安心して働き続けられる環境や仕組みの構築が不可欠だ。企業の人事は、常に自社に合った人事制度とはどのようなものか、模索を続けているだろう。ジョブ型のようなトレンドはあるものの、そのまま取り入れれば万事解決ではない。では、自社に合った人事制度とはどのようなものか。それを把握すべく、現場のリアルな声を吸い上げる取り組みを行い、第11回 日本HRチャレンジ大賞『人材マネジメント部門優秀賞』を受賞したのが、株式会社ゲオホールディングスだ。同社は「会社をより良く変えたい」と前向きな意思を持つ従業員を公募し、「従業員代表者会」を組成。最終的には経営陣へのプレゼンテーションを行い、23もの提言を検討・実行フェーズに乗せた。その取り組みは社員の育成のみならず、同社初の労働協約を締結した労働組合発足にもつながったのだという。今回は、プロジェクトを推進した執行役員 労使福祉部 ゼネラルマネージャー 太田 克己氏、労使福祉部 人事労政課 越地 裕一氏、組織開発室 D&I推進課 マネージャー 塩塚 衣沙菜氏、組織開発室 D&I推進課 北原 由理氏の4人に話を聞いた。

第11回 日本HRチャレンジ大賞『人材マネジメント部門優秀賞』

株式会社ゲオホールディングス

自ら動いて会社を変える「従業員代表者会」

意欲の高い社員が参画して会社に必要な人事制度の提言と施策を立案。約1年間話し合いを重ねて提言を取り纏め、社長・専務・人事部門のゼネラルマネージャーに向けてプレゼンをすることで、提言27件に対して23件を会社として取り組むことが決定しました。また、建設的労使関係の意義が理解され、同社で初めて労働協約を締結したユニオンショップ制の労働組合の設立の一助にもなったことが高く評価されました。

プロフィール

  • 太田 克己 氏

    太田 克己 氏

    株式会社ゲオホールディングス
    執行役員 労使福祉部 ゼネラルマネージャー

    1985年ジャスコ株式会社(現イオン株式会社)入社。店舗勤務を経て、労働組合役員に専従で従事、主にイオンの人事制度改革の労組側責任者を担ってきた。労組役員退任後、イオングループ6社で人事部門責任者を歴任。各社で人事制度改革を実現。2020年7月㈱ゲオホールディングス入社。人事政策推進PJTを率い経営戦略に資する人財マネジメント構築、人事制度改革に貢献。
  • 越地 裕一 氏

    越地 裕一 氏

    株式会社ゲオホールディングス
    労使福祉部 人事労政課

    1999年、株式会社ゲオホールディングスにM&Aで入社。店舗・エリアマネージャー職を経験後、関東地域の運営職を担当。新規事業推進業務や法人営業業務を経験後、2017年より人事部門に携わり、現在は労使関係の業務に従事。
  • 塩塚 衣沙菜 氏

    塩塚 衣沙菜 氏

    株式会社ゲオホールディングス
    組織開発室 D&I推進課 マネージャー

    2007年、株式会社ゲオホールディングスに新卒入社。店舗勤務を経験後、POP作成部門、分析部門、経営企画などを経て、2021年より人事部門に携わる。現在D&I推進課マネージャーとして従事。
  • 北原 由理 氏

    北原 由理 氏

    組織開発室 D&I推進課

    1997年、株式会社ゲオホールディングスに新卒入社。店舗勤務を経験後、長期にわたり出店やリニューアルに関わる業務に従事したのち2019年より人事部門に携わり、社内のエンゲージメント推進活動に従事。
公募で意欲の高い従業員が集い、年間で27もの人事制度変革を提言――現場の声を活かした目標設定や社内キャリアサイトの設置、パート・アルバイト社員制度の改善などを実現した「従業員代表者会」

現場のリアルな声を吸い上げるべく、社内公募で54名を選出

――はじめに、「従業員代表者会」の取り組みを始めたきっかけを聞かせてください。

太田氏:当社では2020年頃から人事制度の改革プロジェクトがスタートし、私はそのプロジェクトの責任者として入社しました。ご存知の通り人事制度改革とは、単にジョブ型など流行を取り入れればいいというわけではありません。制度をしっかりと機能させ、持続的な成長を実現するには、まず実態を掴むことが不可欠です。しかし私は入社したばかりで、これまでの人事制度の背景や現場の温度感を正確に把握できていませんでした。その状態でプロジェクトをリードすることは危険です。特に当社のように全国各地に店舗があり、様々な場所で働く従業員がいる企業では、リアルな声を聴くことが何よりも重要だと考えました。労働組合があればその機能はありますが、当時のゲオにはなかったため、「従業員代表者会」を組成することとなりました。
公募で意欲の高い従業員が集い、年間で27もの人事制度変革を提言――現場の声を活かした目標設定や社内キャリアサイトの設置、パート・アルバイト社員制度の改善などを実現した「従業員代表者会」
――「従業員代表者会」のメンバーは54名ということですが、どのように集めたのでしょうか。

越地氏:社内で公募しました。当初は20~30名規模で考えていたのですが、蓋を開けてみると全国から70名を超える応募があったのです。強い想いを持つ従業員が想定以上にいることに驚きました。私たちとしても、できる限り多くの従業員の声を聴きたいという想いがあったため急遽募集枠を増やしました。そして応募者全員に直接話を聴き、問題意識を強く持つ54名の従業員に参画してもらうことになったのです。

――メンバーはどのような構成なのでしょうか。

越地氏:ゲオグループでは、メディア事業のほか、リユース事業やオフプライス事業などを展開しています。今回は、それぞれの事業の店舗や間接部門からメンバーに集まってもらいました。拠点も、北海道から九州まで様々で、年齢層や男女比も、実際の従業員構成比に近くなるように配慮しています。

この後、下記のトピックで、インタビューが続きます。
続きは記事をダウンロードしてご覧ください。

●約1年間で、23件の提案が検討・実行フェーズへ
●会社を変える提言ができるよう、プロジェクトメンバーに対して問題解決やプレゼンテーションなどの育成にも注力
●「従業員代表者会」も刺激になり、ユニオンショップ制の労働組合が発足
●建設的労使関係を通じて、企業の持続的発展、従業員の成長、安心して働き続けられる環境づくりを



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