経営者は自分が凡人であることを自覚し、社員に頼る。あれもこれもと欲を出すのではなく「しない」経営を心掛ける。そうすることで社員の意欲は刺激され、自走型の経営が可能となる。こうしたユニークな発想で企業文化を一変させ、快進撃を続けるのが株式会社ワークマンだ。本講演では、その改革の立役者である、同社専務取締役 土屋 哲雄氏によって語られた自律型組織を生み出すための考え方やポイントなどをお届けする。
ワークマン式「しない経営」が生み出す自律型組織とは
土屋 哲雄 氏
講師:

株式会社ワークマン 専務取締役/東北大学特任教授 土屋 哲雄 氏

東大経済学部卒。三井物産入社後、海外留学を経て三井物産デジタル社長に就任。本社経営企画室次長、三井情報取締役。2012年ワークマンに入社。19年より現任。ワークマン店は作業服市場を取り尽くす勢いのため、18年に新業態店「WORKMAN Plus」を仕掛けて大ヒット。20年に女性目線の「#ワークマン女子」店を立ち上げ、10年で400店舗の出店をめざし快進撃中。著書に『ワークマン式「しない経営」』(ダイヤモンド社)。21年12月には2冊目の著書となる『ホワイトフランチャイズ ワークマンのノルマ・残業なしでも年収1000万円以上稼がせる仕組み』(KADOKAWA)を上梓。
株式会社ワークマン

どのようにして社員が自分で動く会社にしたのか

“職人”が主な顧客であるワークマンが、なぜキャンプギアを手がけるようになったのか。自然の中へ行けば、すべて自分でやらなければなりません。ペグを打ってテントを組み立てる。炊事場を作る。こうした作業は、まさに“職人の業”です。「自然の中ではみんな職人」というのが、我々のコンセプトなのです。

ワークマンが作り、キャンプなどで愛用していただいている衣料や帽子は、実は“キャンプ歴1年”の社員が自主的に企画し、世に送り出したものです。経験が乏しくても、みんなで助け合って製作し、初年度で40億円の売上げを達成しました。

ワークマンの創業者は、私のおじにあたります。長らく弊社は、その優秀なおじによるトップダウンの組織、社長の顔色ばかりうかがう“忖度の企業”でした。それを、どのようにして“社員が自分で動く会社”にしたのか。ポイントは2つあります。

まずは「企業文化を変えること」が必要です。「会社を引き継いだ人が、前任者の仕事を否定して新しい分野を切り拓き、V時回復を果たす」といった例は多々あります。また経営コンサルタントは、会社のダメなところばかりをリストアップして、改善を促します。いわゆる「ネガティブアプローチ」です。しかし、本来はそうではなく、良いところを伸ばすべきだと私は考えています。あくまでも「人を中心にしたポジティブアプローチ」が重要なのだと思います。

そのためには、経営において「何をやるかブレない」ことが重要です。ワークマンでは、会社の方針はたった1つ。しかもこの10年間変わっていません。そのたった1つの方針は、“客層拡大”です。
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