前編(※)に引き続き、ALIVEプロジェクトへの参加経験があり、今ではALIVEの事務局メンバーを務める株式会社パソナテックの渡邊 さやか氏が担当する。プロジェクトに参加することで、どのような気づきや学びを得たのか。ALIVEプロジェクトに参加した体験を元に、Sessionが進むにつれて起こった出来事やその時の心情を交えながら語っていく。後編では、Session3〜4までの模様をお伝えしたい。

「リフレクション」があったからリーダーシップのあり方を見つめ直せた

Session2からSession3までの間、私たちのチームは頻繁に打合せを行った。Session3までに準備しないといけないことはたくさんあった。スイッチが入っていた私たちは、プレゼンで良い評価をもらいたいという思いも強く、皆の心に焦りがあった様に思う。

皆、それぞれの本業があるので打合せは業務後、いつも夜だった。遅い時間に長時間のミーティングをするのは効率的ではない。私は普段の業務でも打合せの際にファシリテーター役をすることが多く、チームのミーティングにおいても自然とその役割を担っていた。打合せで決めなければいけない内容を最初に確認し、予め決めていたミーティング時間内にその内容をFIXできる様に全体の流れを纏める。そもそもALIVEはリーダーシップを養うための研修であり、こういった役割を進んで担当し、うまく取り纏めることが自分のスキルアップにも良いことだと思っていた。

ところが、ある日のミーティングで、チームメンバーから「話をどんどん進めて纏めてくれるのはありがたいけど、正直なところ自分はそれについていけていない」と指摘され、思わずハッとした。話についていけていないメンバーがいることに、自分は気付いていなかったのか、気付いていて気付かないフリをしていたのか、どちらでもある様な気がした。Session3への焦りが自分を駆り立て、自分でも気付かないうちに、ついてこられない人はついてこなくても良いという意識になっていたのかもしれない。

真のリーダーシップとは何だろう。置いて行かれる人がチーム内にいては、良いリーダーとは言えないのではないか。だからといって全員が納得して腹落ちするまで延々と打合せを続けていては決めるべきことも決められず、納期も守れない可能性がある。何が正解なのか。
私の中で、この問いかけへの答えは今も出ていない。正解が無い気もするし、これからも自分の中で悩み続ける課題の様な気がする。実は、この問いかけこそが私がALIVEへの参加で得た一番のGiftだと思っている。

この話を持ち出してくれたメンバーには本当に感謝している。「話についていけていない」と私に伝えることには多少抵抗があったのではないかと思う。でも、それを言うことが出来たのには2つ理由がある。1つ目は、ライフストーリーテリングやSession2のリフレクションを通じて、チームメンバーに自己開示をしたこと。2つ目は、チームメンバーがそれを受け止めてフィードバックを返していたこと。これらのプロセスを通じて、チーム内のメンバーに対する心理的安全性が高まっていったのだろう。

Session1で初めて会ったばかりのメンバーだったが、何度も熱く議論を交わし、時には意見の衝突もありながら、私たちの中には信頼感やチームとしての一体感が生まれていた。

問いかけへの答えは出ていないものの、私はALIVEのチームでの打合せに関しては時間通りに纏めるより、メンバー全員が納得することを重視しようと決めた。チーム全員で同じ方向を向いて進みたいと思ったからだ。この頃にはチームへの愛着が湧き、ずっと前から仲間だったような気分になっていた。

チーム全員で納得がいくまで話し合い、自信を持って挑んだSession3のプレゼンだったが、結果としては一言で言うと「ワクワク感が足りない」という評価だった。私たちは、Session2で根拠が薄いと指摘されたことや、研修としてではなく本気の提案をしようと気合を入れたことが空回りし、「根拠」や「数値化」、「収益」などに拘り過ぎたのだ。

評価の後、メンバーの1人がポツリと「評価基準にワクワク感が含まれているってことを忘れていた」と言ったのが印象的だった。普段の業務で提案をする時、ワクワク感を意識することは少ない。でもALIVEの答申先は一般企業とは少し違う。お金儲けではなく、信念のために一生懸命な人たちだ。収益も当然大切だが、それ以上に、気持ちや熱い想いが大切なのだ。私たちもそこに寄り添って提案しなければいけない。

Session3のリフレクションでの私の「Proud&Sorry(自分の良かったところ&申し訳なかったこと)」の「Sorry」は、もちろんメンバーに指摘されたあの件だった。私は申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、メンバーからのリフレクションは温かかった。こういった自己開示をする機会は普段ほとんどなく、他の人から「Good&Motto(すごいと思うところ&もっとこうすると良いと思うところ)」の様なフィードバックを貰う機会も少ない。だが、このリフレクションで私はメンバーに感じていた申し訳なさを解消することができ、また自分自身を見つめ直して向き合っていこうという気持ちになれたのだった。

Sessionが進むにつれてリフレクションの内容もどんどん深くなっていく。ALIVEの良さは色々あるのだが、最も注目すべき良い点は間違いなく「リフレクションの効果」にあると思う。

自分自身を見つめ直すプロセスが、価値観の変化につながっていく

Session3でワクワク感が足りないと指摘された私たちは、Session4に向けて「ワクワクする」ことに全振りした。提案内容もそうだが、私たち自身がとにかく楽しもうと決めたのだ。Session3まではプレゼンで良い評価を得たいという思いが強く、焦りもあり楽しむ余裕は無かったが、「もう次のSessionで最後なのだから悔いのない終わり方をしたい」、「とにかく楽しかったと思って終わりたい」という意見で一致した。

結果は4チーム中2位という順位だった。メンバー全員、評価より楽しもうと言いつつ、1位になる自信を持って挑んでいたので少し残念ではあった。やり切った感がある一方で、これで終わってしまうと思うととても寂しく、もっと関わっていきたいと感じていた。

始まる前は参加することが面倒だと思っていたALIVEだったが、こんなに感情を揺さぶられ、自分自身を見つめ直し、価値観すらも変化させられる研修は初めてだった。テーマがリアルな社会課題ということもあるだろうが、生身の人間同士のぶつかり合いから生まれる偶発的な学びがそこにはあった。だが実は偶発的ではなく、参加者同士が真剣にぶつかり合うと必然的に発生するものの様にも思う。

決まりきった教科書通りの研修ではなく、リアルな人と人との関係性の中で生まれる学びは誰かが意図した学びではない。参加者一人ひとり、何を学び、何を感じるかは異なるだろう。それこそがALIVEを経験する醍醐味であり、ALIVEでしか提供できない価値だ。

2021年1期に参加者としてALIVEに参加した私は、2021年2期、3期とテーマ担当としてALIVEに関わり続けている。ALIVEの学びの多さに感動し、より多くの人にその感動を味わってもらいたい、その一端を担いたいという想いからだ。テーマ担当には特有の難しさはあるが、学びもある。その学びのために事務局として参加している面もあるのだ。だがやはり、自分がそうであった様に、Sessionに参加した参加者がどんどん夢中になっていく様子、瞳を輝かせて語り合う様子を見ていると、出来るだけ多くの人にこの感覚を経験して欲しいと強く思う。その思いが、これからも私をALIVEに関わらせていくのだろう。
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