新型コロナの影響でニューノーマルとなった新卒採用市場。なかでもオンライン化の波は、企業にも学生にも数多くのメリットやデメリットをもたらしている。WithコロナとDXの時代において、新卒採用はどのように変わっていくのか。そこで今回は、HR総研が上場・未上場上企業の採用担当者と、2022年卒予定の「楽天みん就」会員の学生を対象に行った調査結果をもとに、2022年卒採用の総括と2023卒採用の展望を解説する。

講師

  • 松岡

    松岡 仁

    ProFuture株式会社 取締役 / HR総研 主席研究員

    1985年大学卒業。文化放送ブレーンで大手から中小まで幅広い企業の採用コンサルティングを行う。 ソフトバンクヒューマンキャピタル、文化放送キャリアパートナーズで転職・就職サイトの企画・運営に 携った後、2009年より現職。各種調査の企画・分析を担当し、「東洋経済オンライン」「WEB労政時報」に 連載中。



  • 久木田

    久木田 亮子

    ProFuture株式会社 HRサポート部 / HR総研 主任研究員

    2009年建設系企業に入社。研究開発および設計職に従事。2015年以降、シンクタンクにて地方創生に関する幅広い分野で調査研究を行う。2019年にHR総研(ProFuture株式会社)主任研究員に着任。新卒採用を含めた人事関連分野に関する幅広い調査・分析を行う。

ニューノーマルとなった22卒採用を振り返り、23卒採用を展望する

ターゲット層を採用するための施策は、「インターンシップ」が最多

【2022卒採用動向総括】(解説:久木田亮子)

まずは採用計画における文系・理系の採用数について前年比較したところ、文系・理系ともに「前年並み」が最多で半数前後。文系では「増やす」の5%に対して「減らす/採用なし」が29%と縮小傾向が顕著でした。一方、理系では「増やす」が11%、「減らす/採用なし」が15%と大差なく、文系より理系の採用を優先する企業の割合が高くなっています。

続いて、ターゲット層となる学生の条件の変化について調べたところ、ターゲット層となる学生の条件は、「変化してきている」とする企業は、大企業と中堅企業で3割出てきています。大企業では「変化していない」は3割程度で、中堅・中小企業よりも少ない傾向です。また採用活動のオンライン化や事業変革が進む企業では、今後、ターゲット層が変化する傾向が高まると予測されます。
そこで、この後の調査結果については「ターゲット層の変化の有無」という視点からも考察をしていきます。

次に、ターゲット層を採用するために実施した施策について聞いたところ、ターゲット層採用に向けた施策としては、すべての企業規模において「インターンシップの活用」が最多で、中堅企業では6割近くとなりました。2位は「大学主催の学内セミナー」で、他に「先輩・リクルーターの活用」「内定者の活用」などリファラル採用も多くなっています。

では、ターゲット層に向けて、具体的にどのような施策を実施しているのでしょうか。ターゲット層変化の有無別に比較すると、「変化してきている」と「変化していない」では「インターンシップの活用」を4割以上が挙げる一方、「どちらとも言えない」は2割程度にとどまっています。また「変化してきている」では、個別採用に関する施策に取り組む傾向が見られました。次に、ターゲット層変化の有無別に「ダイレクトリクルーティング」の実施内容について質問したところ、ターゲット層が「変化してきている」では、「逆求人サイトの活用」の割合が48%と半数近くに上り、「SNSの活用」も22%で、他より顕著に高くなっています。一方、「活用しなかった」は、「変化してきている」企業では2割程度で、ターゲット層の変化に合わせて、ダイレクトリクルーティングに取り組む企業が多いことが伺えます。

続いて「マス型採用」と「個別採用」の取り組み状況についてもご紹介します。22卒の採用で個別採用に取り組んだ企業の割合は、大企業では40%、中堅企業で54%、中小企業では62%と、企業規模が小さいほど割合が高くなっています。このように採用人数の多い大企業ですら、個別採用を併用しないと採りきれなくなってきていると言えるでしょう。
ニューノーマルとなった22卒採用を振り返り、23卒採用を展望する

コロナ禍でオンライン型のインターンシップが主流に

続いてのテーマは、インターンシップです。まずはインターンシップの実施状況ですが、インターンシップを実施した企業の割合は49%とほぼ半数で、2021卒の6割より減少傾向にあります。一方、「前年は実施したが、今年は実施していない」が13%で、2021卒よりも微増しました。オンライン化などコロナ禍における対策が間に合わなかった企業もあったことが推測されます。次に、インターンシップの実施月ですが、2022卒向けのインターンシップの実施月は、「8月」「9月」で4割程度、「1月」「2月」で5割前後となる2回のピークがあり、その間の「10月」~「12月」でも3割前後を保っています。オンライン化をすることで、長期休暇以外の期間でも開催しやすくなっているようです。次に、インターンシップ参加者に対する採用選考への考慮について質問したところ、インターンシップを「選考と結びつける」とする割合は50%で、2021卒の39%より11ポイント上昇しました。インターンシップを活用し、ターゲット層の学生の獲得を重視する企業が増えていることが伺えます。

一方の学生は、インターンシップにどれくらい参加しているのでしょうか。インターンシップに参加した社数を聞いたところ、「対面型」よりも「オンライン型」の方が参加する社数が顕著に多く、「4社」以上とする割合が47%と約半数に上りました。コロナ禍の影響でインターンシップをオンライン化する企業が増え、対面より参加しやすい環境となったものの、参加社数に大きな増加はなく、昨年と同等になっています。次に参加した時期をたずねたところ、全体的に「オンライン型」のインターンシップに参加する学生の割合が高く、「8月」以降は「2月」まで、4割前後から半数近くの学生が常に参加している状態となっています。オンライン型であることにより、大学の授業がある時期でも参加しやすくなっていると言えるでしょう。インターンシップの理想的な実施期間については、文系・理系ともに、オンライン型で「半日・1日タイプ」の1DAY仕事体験を希望する割合が圧倒的に高く、その理由としては、長期間になると集中力が続かないなどの意見が多く見られました。また対面型では、理系の方が比較的長期間のタイプを望む割合が高く、「2~3日タイプ」から「1週間程度タイプ」と合わせると6割以上に上っています。
ニューノーマルとなった22卒採用を振り返り、23卒採用を展望する

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