「モノづくり」から「コトづくり」へ。事業のシフトに合わせて人事の考え方も大幅に刷新し、HRテクノロジーを活用した新たな人財・組織改革を進めている株式会社日立製作所。特に、“ピープルアナリティクス”をベースとした独自の取り組みは「第3回 HRテクノロジー大賞」で大賞を受賞し、各方面から注目を集めています。日立が実践する人事施策と、働き方改革の本質とは?同社人財統括本部の髙本 真樹氏と大和田 順子氏にお話しいただきました。


講師

  • 髙本

    髙本 真樹氏

    株式会社日立製作所 人財統括本部 ヒューマンキャピタルマネジメント事業推進センタ長

    1986年に株式会社日立製作所に入社し、大森ソフトウェア工場(当時)の総務部勤労課をはじめ、本社社長室秘書課、日立工場勤労部、電力・電機グループ勤労企画部、北海道支社業務企画部を経験。都市開発システム社いきいきまちづくり推進室長、株式会社日立博愛ヒューマンサポート社社長、情報・通信システム社人事総務本部プラットフォーム部門担当本部長を経て、現在システム&サービスビジネス統括本部 人事総務本部 担当本部長。全国の起業家やNPOの代表が出場する「社会イノベーター公志園」(運営事務局:特定非営利活動法人 アイ・エス・エル)では、メンターとして出場者に寄り添い共に駆け抜ける "伴走者"も務めている。


  • 大和田

    大和田 順子氏

    株式会社日立製作所 人財統括本部 ヒューマンキャピタルマネジメント事業推進センタ ピープルアナリティクスラボ エバンジェリスト

    ロンドン大学MBA、筑波大学カウンセリング修士、ロジスティクス経営士。日本電信電話株式会社を経て、2001年リクルートグループへ。株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 執行役員、株式会社リクルートキャリア 執行役員、フェローを歴任する。2017年に株式会社日立製作所に入社。ピープルアナリティクスラボのエバンジェリストとして、ビッグデータアナリティクス技術と人事領域のナレッジを組み合わせ、イキイキと働ける社会の実現に向けて取り組んでいる。

一人ひとりがイキイキ働く未来へ-HR Tech 日立のチャレンジ- ~ピープルアナリティクスを通じて見えてきたこと~

事業が変われば人財も変えなければならない

人財統括本部 ヒューマンキャピタルマネジメント事業推進センタ長 髙本 真樹氏
本日は日立製作所において進めているHRテクノロジーの活用例をお話しさせていただきます。IT抜きでは始められなかった取り組みですので、まずは我々、7万6,000人いる情報部門のHRが先鞭をつけ、それが今、徐々に全社的な動きとなりつつある、という正に現在進行形の内容のご紹介となります。また、当初は社内での取り組みでしたが、今は自社以外のお客さまとの共有も始めています。

弊社は、ここ最近でこそ勝ち組と言われていますが、ほんの10年前のリ-マンショック時の2009年3月期の連結決算で、製造業では戦後最大となる7,873億円の最終赤字を計上し、事実上倒産という窮地に陥りました。それがお陰様で昨年は7,000億円台の黒字。情報・通信システム部門の営業利益率も初めて10%を超えました。すべてが我々の取り組みが効いたからとは言いませんが、少なくとも脚は引っ張っていないと考えています。

潰れかけた時に経営陣が刷新され、新たに2つの大きな経営方針が示されました。
1つは「社会イノベーション事業の推進」です。それまで発電所や鉄道システムといった社会インフラを手がけ、お客さまのご要求に応じてモノを納めてきた典型的な日本の製造業だったわけですが、それだけでは最早、利益が出ないようになっていました。そこで、モノに新しい価値をつけなければならない、ITを活用した社会イノベーション事業を推進すべく、『モノづくりではなく、コトづくりへのシフト』という方針が明確に出されました。
もう1つは「グローバル事業の拡大」です。例えば鉄道部門は現在、ヨーロッパがホットな市場です。地続きで鉄道網が発達しており、地球環境保護の観点から列車で移動する人が増え、車両や設備の更新需要もあります。そうした現場に近いところで経営判断をしようと、鉄道部門の本社はこの10年でロンドンへ移転されました。

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