前回までの2回にわたる「階層別研修(新入社員研修、管理職研修)」の調査報告に続き、今回は「テーマ別研修」に関する調査結果を報告する。
今年は、新型コロナウイルスの影響により新卒採用活動のスケジュール遅延や、3密対策を考慮した上での研修実施など異例の対応を迫られるとともに、経営悪化を余儀なくされる企業も多い中、企業はどのようなテーマの研修を重要視し、実施しているのだろうか。
HR総研が実施した「人材育成(テーマ別研修)に関するアンケート」の結果について、フリーコメントを含めて以下に報告する。

<概要>
●「コンプライアンス研修」が最多、「リーダーシップ研修」が3位に浮上
●大半は「集合研修」が主流、「グローバルリーダーシップ研修」はオンライン研修が7割
●「若手向けキャリア研修」が最多、中堅企業では昨年より重要視する傾向
●キャリア意識の向上を実感する企業は半数、大企業では7割
●「キャリア自律」を促進する企業は3割、促進しない企業の割合と拮抗
●「リーダーシップ研修」の実施率は4割、昨年より微増
●「リーダーシップ研修」の内容はチームビルディング主導に関わる項目が多い傾向
●「リーダーシップ研修」の効果検証は「アンケート」が7割、中小企業の2割は「効果検証しない」
●「コミュニケーション研修」の実施率は3割未満、昨年と同水準
●「コミュニケーション研修」の内容、発信側の能力・スキル開発を重視
●「メンタルヘルス研修」では知識習得がメイン、e-ラーニングでの実施も4割近く
●「メンタルヘルス研修」の実施効果は「どちらとも言えない」が半数近く

「コンプライアンス研修」が最多、「リーダーシップ研修」が3位に浮上

今年度実施している研修については、「コンプライアンス研修」が最多で51%となっており、次いで「ハラスメント研修」が44%、「リーダーシップ研修」が40%などとなっている(図表1-1)。昨年調査の結果(2019年9月実施、以降同じ)と比較すると、上位2項目は同じであるものの、実施率は10ポイント以上減少している。また、「リーダーシップ研修」が7ポイント増加し、昨年3位であった「個人情報関連研修」(37%)と逆転している。
企業規模別に見ると、すべての研修において、従業員数1,001名以上の大企業で他の企業規模より実施率が高くなっている。一方、300名以下の中小企業では、最も実施率が高い「コンプライアンス研修」でも34%と3割程度にとどまっており、他の企業規模より研修実施率の低さが顕著となっている(図表1-2)。全体を平均してみると、大企業の実施率を100とした場合、301〜1000名の中堅企業は60、中小企業では33といった割合になる。つまり、大企業に対して、中堅企業では6割、中小企業では3分の1程度しか実施されていないということである。中には「コーチング研修」のように、大企業の25%に対して、中堅企業も24%など、実施率にあまり差のないテーマもあるが、中堅企業、あるいは中小企業が大企業よりも実施率が高い研修は、残念ながら1つもない。

【図表1-1】実施しているテーマ別研修
【図表1-2】企業規模別 実施しているテーマ別研修

大半は「集合研修」が主流、「グローバルリーダーシップ研修」はオンライン研修が7割

実施している研修の実施形式については、大半の研修で「集合研修」の実施率が最も高くなっており、コロナ禍においても集合研修形式をベースとして研修を実施している企業が多数派であることがうかがえる。一方、オンライン研修が最も多い研修もあり、「グローバルリーダーシップ研修」はオンライン研修が71%、集合研修及びe-ラーニング研修がともに57%となっており、世界各国の社員が参加することが想定される研修の特徴と言える。また、e-ラーニング研修が最も多いのは「OAスキル研修」で52%となっており、受講者が各自のペースで知識やスキルを習得していくための実施形式としてe-ラーニング研修が選ばれる傾向にあることがうかがえる(図表2)。

【図表2】実施している研修の実施形式

「若手向けキャリア研修」が最多で3割超、中堅企業では昨年より重要視する傾向

続いて、「若手向け」「中堅向け」「シニア向け」のキャリア研修の実施状況については、「若手向けキャリア研修を実施」が34%、次いで「中堅向けキャリア研修を実施」が30%、「シニア向けキャリア研修を実施」が15%となっている。一方、「いずれも実施していない」が54%と半数を超えているものの、昨年調査と比較すると「若手向け」は6ポイント増加し、「中堅向け」と「シニア向け」は2ポイント増加しており、すべてのキャリア研修の実施率が高まっていることが分かる。(図表3-1)。
企業規模別にみると、すべてのキャリア研修において大企業の実施率が最も高く、中小企業の実施率が顕著に低いことが分かる。特に「シニア向け」は7%と1割未満となっている。
中堅企業ではすべてのキャリア研修の実施率が昨年調査時より高くなっており、中堅企業でキャリア研修が重要視されてきていることがうかがえる(図表3-2)。

【図表3-1】「キャリア研修」の実施状況
【図表3-2】企業規模別 「キャリア研修」の実施状況

各ステージで異なるキャリア研修の内容、シニア向けでは「セカンドキャリア計画」も半数

各ステージにおけるキャリア研修の内容については、「若手向けキャリア研修」では、「強み・弱みの把握、自己理解」が71%と最多で、次いで「キャリアの考え方」が64%、「スキル・能力の棚卸」が47%となっている。上位2項目では、社会人として始まったばかりの社員が自身の今後のキャリアを考える上で最初に理解しておくべき項目が挙げられている(図表4-1)。「中堅向けキャリア研修」では、ある程度社会人経験を積んだ社員を対象としていることから、「スキル・能力の棚卸」と「強み・弱みの把握、自己理解」が最多で61%となっている(図表4-2)。「シニア向けキャリア研修」については、「過去の業務実績の棚卸」が68%となっており、多くの経験や知識・スキルを蓄積したシニア世代を対象としている研修の特徴が表れている(図表4-3)。

【図表4-1】実施している「若手向けキャリア研修」の内容
【図表4-2】実施している「中堅向けキャリア研修」の内容
【図表4-3】実施している「シニア向けキャリア研修」の内容

キャリア意識の向上を実感する企業は半数、大企業では7割

キャリア研修について、実施後における受講者のキャリア意識が向上したという実感の有無を聞いてみると、「確かに向上した」が11%、「まあまあ向上した」が41%となり、これらを合計した「向上した」派は52%と過半数を占めている。一方、「あまり向上しなかった」と「向上した実感はなかった」はともに5%で、これらを合計した「向上しなかった」派は僅か10%にとどまっており、キャリア研修の実施が社員のキャリア意識向上に貢献している実感を持つ企業が多いことがうかがえる(図表5-1)。
これを企業規模別に見ると、「向上した」派については大企業で69%、中堅企業で50%、中小企業で39%と、企業規模が大きいほど割合が高い傾向が顕著に出ている(図表5-2)。

【図表5-1】「キャリア研修」実施後にキャリア意識が向上したという実感
【図表5-2】企業規模別 「キャリア研修」実施後にキャリア意識が向上したという実感

「キャリア自律」を促進する企業は3割、促進しない企業の割合と拮抗

近年、終身雇用制度の崩壊により社員に「キャリア自律」を促す必要性が叫ばれているが、企業では社員に対してどの程度キャリア自律を促進しているのだろうか。
「社員へのキャリア自律の促進状況」について、「強く促進している」が10%、「まあまあ促進している」が23%で、これらを合計した「促進している」派は33%と3分の1程度となっている。一方、「あまり促進していない」が19%、「まったく促進していない」が15%で、これらを合計した「促進していない」派は34%となり、「促進している」派と「促進していない」派は拮抗していることが分かる(図表6-1)。
企業規模別にみると、「促進している」派は大企業では42%、中堅企業では32%、中小企業では27%となっており、キャリア意識の向上への実感と同様に、企業規模が大きいほど割合が高い傾向がうかがえる(図表6-2)。大企業ほど、社員のキャリア自律の必要性に危機感を抱き、積極的にキャリア自律に向けた効果的な研修などの対策を講じていることが推測される。

【図表6-1】社員への「キャリア自律」の促進状況
【図表6-2】企業規模別 社員への「キャリア自律」の促進状況

「リーダーシップ研修」の実施率は4割、昨年より微増

続いて「リーダーシップ研修」について、改めて実施状況を聞いてみたところ、「実施している」が44%、「実施していない」が56%となっており、昨年調査時より「実施している」が3ポイント増加している。昨年調査では「今後強化したい研修」として「リーダーシップ研修」が最多となり、企業に重要視される傾向があったことも、今年の実施率の微増に繋がっているのではないだろうか(図表7-1)。
企業規模別に見ると、「実施している」は大企業では60%、中堅企業で44%、中小企業で36%と、企業規模が大きいほど実施率が高い傾向が見られる(図表7-2)。

【図表7-1】「リーダーシップ研修」の実施状況
【図表7-2】企業規模別 「リーダーシップ研修」の実施状況

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】人材育成(テーマ別研修)に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2020年8月31日〜9月6日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者、人材育成担当者
有効回答:231件

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