三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社は2024年4月9日、「2024年夏のボーナス見通し」に関する調査結果を発表した。本記事では、以下、調査結果に関する同社調査部の見解をもとに公開されたレポートを転載する。

『2024年夏のボーナス見通し』に関する調査―民間企業は3年連続増加の見通し。支給労働者割合は低下も、支給労働者数は過去最多に

2023年冬のボーナス~3年連続で増加も、想定外の小幅の伸び

厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、民間企業(調査産業計・事業所規模5人以上)における2023年冬のボーナスの一人当たり支給額は、前年比+0.7%と3年連続で増加した(図表1)。もっとも、当社の事前予想(前年比+2.2%)を大きく下回る小幅の伸びにとどまった。コロナ禍で停滞した経済活動が元に戻りつつある中、回復が遅れていた運輸、郵便業(前年比+5.4%)や生活関連サービス業等(同+3.6%)に加え、需要の強い情報通信業(同+7.7%)の伸びが大きかった一方、医療、福祉(同-5.9%)や不動産業(同
-5.1%)の減少が目立った。

厚生労働省が集計した2023年度の春闘の賃上げ率は3.60%と、30年ぶりの高い賃上げが実現した割には所定内給与が伸び悩んだこと(所定内給与:2023年12月前年比+1.4%)などが、ボーナス金額の伸びを抑制した。また、ボーナスが支給された労働者の割合は81.9%(前年差-0.7%ポイント)と、コロナ禍の影響で大きく落ち込んだ2020年(81.8%)と同程度の水準まで落ち込んだ。

なお、ボーナスが支給された労働者の割合は低下したものの、雇用者数が過去最高水準を更新する中、支給労働者数は4,162万人(前年比+1.1%)と、コロナ前の2019年を上回り、過去最多を更新した。その結果、夏のボーナスの支給総額(一人当たり支給額×支給労働者数)は16.5兆円(同+1.8%)と3年連続で増加した。もっとも、支給総額は名目で増加したとはいえ、増加幅は消費者物価(持家の帰属家賃を除く、2023年12月前年比+3.0%)の伸びを下回り、実質換算すると前年から減少した。総合的にみて、2023年冬のボーナスは期待外れに終わったと評価せざるを得ない。
図表 1 冬のボーナス実績:平均支給額(前年比)と支給月数

2024年夏のボーナス見通し

厚生労働省「毎月勤労統計調査」ベースで見た民間企業(調査産業計・事業所規模5人以上)の2024年夏のボーナスは、一人当たり平均支給額は40万8,770円(前年比+2.9%)と3年連続での増加を予想する。(図表2)。企業規模を問わず、製造業、非製造業とも一人当たり平均支給額は、昨年2023年にすでにコロナ前のピークを回復しており、コロナ禍での落ち込みからの反動増による押上げ効果は概ね一巡した。

それでも、今年の夏のボーナスが順調な増加を続けるとみられる背景に、企業業績と雇用情勢の堅調さがある。企業の経常利益(全規模、金融保険業を除く全産業、季節調整値)は、2020年中盤以降、増加傾向が続き、2023年4~6月期には過去最高を更新した。足元では2四半期連続で減少したものの、減少は小幅であり、過去最高に近い水準を維持している。その結果、企業の内部留保(利益剰余金)は、大企業を中心に増加が続いており、2023年末時点で571兆円と、過去最高金額を更新した(全規模、金融保険業を除く全産業、財務省「法人企業統計」より)。

また、経済活動の回復とともに人手不足は深刻さを増し、労働需給は逼迫している。日銀短観・雇用人員判断DIは対面型サービス業を中心に大幅な「不足」超が続き、企業の人手不足感が強まる中、完全失業率は2021年1月以降、2%台の低水準での推移が続いている。
図表 2 夏のボーナス予測:平均支給額(前年比)と支給月数
支給労働者割合は2年ぶりに上昇し、80.1%(前年差+0.1%ポイント)となると見込まれる。コロナ前2019年の水準を回復できないものの、雇用者数が過去最多を記録していることから、ボーナスが支給される労働者数は4,094万人(前年比+1.5%)と、非製造業を中心に増加し、昨年に続き2年連続で過去最多を更新する公算が大きい(図表3)。
図表 3 夏のボーナス予測:支給労働者数と支給労働者割合
一人当たりボーナス支給額と支給労働者数の増加を反映した2024年夏のボーナスの支給総額(一人当たり支給額×支給労働者数)は、16.7兆円(前年比+4.4%)と3年連続で大きめの増加が見込まれる(図表4)。ボーナスの支給総額の伸びは、物価上昇率を上回り、個人消費の回復を下支えすることが期待される。
図表 4 夏のボーナス予測:支給総額(前年比、実額)
なお、実勢を示す全労働者一人当たりのボーナス支給額は前年比+3.1%と、支給労働者割合の前年からの変化が大きくないことから、支給事業所の一人当たり支給額と同程度の伸びとなる見込み(図表5)。
図表 5 夏のボーナス予測:全労働者ベースの平均支給額(前年比)
業種別では、製造業では55万0,952円(前年比+2.9%)、非製造業では38万0,281円(同+3.0%)と前者は4年連続、後者は3年連続で増加が見込まれる(図表6)。いずれも昨年までにコロナ禍の影響はほぼ剥落しており、同程度の増加幅となるだろう。
図表 6 夏のボーナス予測:支給事業所ベースの平均支給額(前年比、業種別)
ボーナス動向の実勢を示す全労働者ベースの一人当たり支給額でみても、製造業(前年比+3.1%)、非製造業(同+3.2%)とも、同程度増加しよう(図表7)。
図表 7 夏のボーナス予測:全労働者ベースの平均支給額(前年比、業種別)
本レポートから、2024年夏の民間企業のボーナスは、前年比+2.9%と、3年連続で増加が見込まれることがわかった。好調な企業業績と堅調な雇用情勢が後押ししているようだ。また、支給労働者割合は前年と同程度の80.1%となり、コロナ前の水準から回復できていないものの、雇用者数が過去最多を更新していることで、ボーナスが支給される事業所で働く労働者の数は4,094万人と、2年連続で過去最多を更新する見込みとなっているようだ。人手不足が加速する中、人材確保に向けた企業の賃上げ競争は過熱しており、ボーナス支給額についても、求職者が注視するポイントとなっている。本調査結果を参考に、自社のボーナス支給水準を見直してみてはいかがだろうか。

この記事にリアクションをお願いします!