東急不動産ホールディングス株式会社は2023年8月29日、グループ全体のDX推進をリードする「ブリッジパーソン」の育成強化プログラムを公開した。本プログラムは、同子会社のTFHD digital株式会社と共同で開発されたもので、研修受講者は直属の上司や、外部のエキスパート人材と学び、デジタルをビジネス推進に活かす手法を身に付けることができる。この実践的なプログラムで、社内の業務効率化が進み「成果」につながった事例もあるとのことだ。
東急不動産「ブリッジパーソン」を社内育成するDXプログラムを開発。実課題を元にプロジェクト計画を学ぶ

ビジネスとデジタルをつなぐ人材を「ブリッジパーソン」と定義

東急不動産ホールディングスでは、2021年5月に発表した長期ビジョン「GROUP VISION 2030」にて、「DX」を全社方針の一つに掲げた。その上で、「ビジネスプロセス」、「CX(カスタマーエクスペリエンス)」、「イノベーション」の3つの取組方針を掲げ、DX推進による新たな価値創造に取り組んでいる。

東急不動産ホールディングスグループは、DXによる価値創造を加速するため、2022年4月にDX機能会社としてTFHD digitalの事業を開始。不動産業界のDXをリードするエキスパート集団として全グループのDX推進を支援し、ビジネスとデジタルをつなぐ人材を「ブリッジパーソン」と位置づけ、育成に注力してきたという。

また、「デジタル技術がさらに進歩した際に、シームレスでパーソナライズされたサービスをいかに提供できるかが競争力のカギとなる」とブリッジパーソンの重要性についても言及している。
ブリッジパーソンの定義

「成果」につなげる実践的なプログラム設計で、生産性や付加価値を創出

同社は「ブリッジパーソンには複合的な能力が求められる」と想定しており、本プログラムは座学の習得に限らない、業務で活用できる実践的な内容で設計されている。

具体的には、「研修受講者(トレーニー)」は全10回の講義参加後に「プロジェクト計画書」をアウトプットとして作成し、所属元の上長に発表する。その内容は、トレーニー自身が担当業務の周辺領域で実際に抱える課題をテーマにし、プロジェクトを通じて講師やチューターとディスカッションをしながら、改善点を洗い出して解決に向けた糸口を探る。なお、講師およびチューターには、DX推進経験や最先端のスキルや実績を有する外部人材がアサインされる。これにより、従来の業務フローでは実現できなかった生産性や付加価値を生み出していくことが可能になる。

【実践成果】計19名のブリッジパーソンを育成。DXによる業務効率化に貢献した事例も

同社は、2022年10月~2023年7月の期間、計4回にわたってグループ内で候補人材を募り、先述のトレーニープログラムを実施。実際にビジネスとデジタルをつなぐ「ブリッジパーソン」を計19名育成した成果を発表している。

また、プログラム終了後の2023年7月より、DXの最新事例に関する講義や各トレーニーのPDCAの実践を通じて、研鑽の蓄積をサポートするフォロープログラムも実施しているという。これにより、会社の業務効率化に貢献した事例や、社内の業績功労賞を獲得した事例もあるとのことだ

デジタル人材は不足していくものと考えられる。企業がDXを推進するためには、こうした先行事例を参考に、デジタル人材を育成するための取り組みについて検討していく必要があるだろう。

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