ヒューマンホールディングス株式会社の事業子会社で、人材サービス事業を展開するヒューマンリソシア株式会社は2020年5月、新型コロナウイルス感染症拡大防止策として広がる、テレワーク状況下でのRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の利用状況に関する調査結果を発表した。調査期間は2020年4月10~16日で、同社のRPAサービスを利用する企業178社から回答を得た。これにより、コロナ禍でのテレワークにおけるRPA活用の実態と課題が明確となった。
新型コロナウイルス感染症拡大の状況下でRPA活用の実態はどうなっているのか?

RPA導入企業の6割以上でテレワークを実施

まず、RPAを導入している企業に対して、「テレワークの実施状況」を聞いた。その結果、64.6%が「実施している」、16.9%が「実施に向け準備中」と回答。6割以上がテレワークを実施しており、RPA導入企業のテレワーク実施率の高さがわかる。パソコンを日常的に利用することが多いほか、IT化への関心の高さが背景となり、スムーズにテレワークへ移行できたのではないだろうか。
新型コロナウイルス感染症拡大の状況下でRPA活用の実態はどうなっているのか?

6割以上がテレワーク中も通常勤務と同様「業務量変わらない」

次に、テレワーク実施企業に対し「テレワーク実施前後での業務量の変化」について聞いた。最も多い回答が「変わらない」の65.8%で、テレワーク中でもオフィス勤務とほぼ同じ業務量である人が多いという実態が判明した。一方で「増えた」との回答が14%、「減った」が20.2%となり、担当業務による変動や差も見られた。
新型コロナウイルス感染症拡大の状況下でRPA活用の実態はどうなっているのか?

RPA利用率は約3割。課題は「テレワーク中の環境整備」

次いで「テレワーク環境下でのRPA利用状況」を聞くと、「通常通り利用」と回答した企業は31.6%にとどまった。「環境が整い次第利用予定」の14%と合計しても45.6%となるため、利用中、または今後利用予定とする企業は5割に満たない結果だ。一方、利用していない企業を見ると「環境整備ができず利用できない」が40.4%、「会社のポリシー上利用できない」が11.4%となり、環境面やセキュリティ面が大きな課題となっているようだ。
新型コロナウイルス感染症拡大の状況下でRPA活用の実態はどうなっているのか?

コロナ禍におけるRPA活用のポイントは「人材育成」「IT予算」「外部活用」

最後に「RPA活用を進めるうえでの課題」を聞いた。その結果、最も多かった回答が「社外研修に参加できず必要な情報が得られない」となり、58.4%という結果に。RPA化を進める情報が得られにくいことがRPA活用の妨げになっていることが推察できる。

また「働き方改革予算や新規IT関連ツール導入予算の削減」との回答も37.1%にのぼった。新型コロナウイルス感染症拡大による業績悪化への懸念から、企業がRPA化に十分な予算が割けない状況が浮き彫りになった。

他にも、「社外に外部業者が入れない」(27%)など、RPAのシナリオ開発の外部委託が困難な状況や、オンサイト型研修が実施できないためにRPA化の進行に遅れが生じているようだ。
新型コロナウイルス感染症拡大の状況下でRPA活用の実態はどうなっているのか?
労働人口減少の時代において、企業内の業務自動化を進行することは、企業にとって重要課題ともいえるだろう。新型コロナウイルス感染症拡大によってテレワーク需要が増し、RPAをはじめとしたIT活用はますます重要度が高まっている。今後企業は、RPA活用をどのように進行するか、導入・活用におけるハードルをクリアにし、従来の固定概念を捨てて試行錯誤する必要がありそうだ。

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