7割以上の大企業が足踏み状態。同一労働同一賃金への対応方針の関する調査結果

アデコ株式会社は2020年2月、第2回「同一労働同一賃金導入に向けた準備の進捗状況と、導入後の見通しに関する調査」の結果を発表した。2020年4月1日より本制度の導入が義務付けられている従業員300人以上の大企業において人事業務を担当する500人を対象としたもので、調査期間は2019年12月20日〜23日。これにより、第1回の調査結果と比較した制度導入への進捗状況や勤務条件ごとの方針が明らかになった。

大企業の7割以上で方針が固まらない状況が続く

まず、大企業に勤める500人の人事担当者を対象に、「勤務先では、同一労働同一賃金導入への対応方法や方針は決まっているか」と聞くと、「決まっていることもあるが、決まっていないこともある」が57.2%、「まだ決まっていない」が15.4%となり、合わせて72.6%の企業で現在も方針が固まっていないことがわかった。前回の調査でも73%の企業で「対応方針が決まっていない」と回答していることから、全体的に方針決定に向けた進捗状況は、ほぼ変化していないことがわかる。

基本給は6割以上が非正社員で増加

次に、各勤務条件に対する本制度導入後の見通しを雇用形態別に調査した。正社員および非正社員の「基本給」への対応方針が決定していると答えた293人の回答を見ると、非正社員の基本給が現在より「増加する」という企業は60.8%と半数を大きく超えたことがわかった。前回調査と比べ8.7ポイントの増加となる。

また、正社員の基本給は71%が「変わらない」と回答。前回と比べて10.9ポイントと大幅に増加した。一方で、「増える」は前回の19.9%に対し11.6%(8.3ポイント減)、「減る」は前回の19.9%に対し17.4%(2.5ポイント減)という結果だった。

非正社員に対し賞与支給予定の企業は約2割

次に、「賞与」についての対応が決まっている293人に対し今度の見通しを尋ねた。その結果、非正社員の賞与について、「現在は支給していないが、新たに設ける予定」が19.8%となり、前回と比較すると4.6ポイント増となった。制度導入を機に非正社員へも賞与支給を検討する企業が増加したことが伺える。一方で、「現在支給しておらず、今後も支給する予定はない」は11.3%と、前回から6.3ポイント増えていることもわかった。

正社員については「変わらない」が72%と最も多く、前回の66%から6ポイント増という結果だ。

各種手当ては「変わらない」が最多。非正社員に対しては支給も検討

続いて、通勤手当や住宅手当などの「各種手当て」に関する方針が決定している306人を対象に今後の対応を尋ねた。回答を見ると、非正社員に関しては、44.1%が「変わらない」と回答しており、前回とほぼ同じ割合だった。また、「減る」が2.9%と前回より3.8ポイント減となった一方で、「現在は支給していないが、新たに設ける予定」は15.4%と2ポイント増となった。

また、正社員については81.4%と多くの企業で「変わらない」と回答。前回の7割以上をさらに上回る結果となった。

退職金は非正社員で新設予定が約2割。正社員は変わらない見通し

次に、「退職金」に関しての対応が決まっている281人に対する調査結果を見ると、非正社員の退職金については、「現在制度はないが、新たに設ける予定」が18.1%と、前回とほぼ同じ割合となった。また、「現在制度がなく、今後も制度を設ける予定はない」は23.8%(5.4ポイント増)という結果だ。

一方、正社員に関しては「変わらない」と回答した人が最も多く75.8%となった。前回と比べ7.1ポイント増となった。

正社員・非正社員ともに休暇への対応は「変わらない」が最多

最後に、「休暇」に関しての対応が決定している336人を対象に調査した。その結果、正社員と非正社員の両方で「変わらない」という回答が最も多かった。勤務条件ごとに回答割合を見ると、正社員で86%と前回から6.3ポイント増。一方、非正社員は62.8%で正社員を上回る11.3ポイント増という結果だった。
職能給から職務給への転換という面でも重要視されている同一労働同一賃金制度の導入を目前に控え、制度整備や対応の方向性について議論している最中の企業も多いのではないだろうか。導入期限である2020年3月31日まで残りわずかだ。企業には正確かつ迅速な導入の完了が求められるだろう。

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HRプロ編集部

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