「自律型人材」が組織を強くする――伴走型キャリアドックが人的資本最大化の鍵
法政大学 キャリアデザイン学部 教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事/株式会社キャリアナレッジ 代表取締役社長 田中 研之輔氏まずは私から、「自律型人材が強い組織をつくる」と題し、そのアプローチとしての最先端のキャリア開発についてお伝えします。2024年現在、人的資本経営が目指すべきところは、一人ひとりの人的資本の最大化の実現です。そして、そのためには、人材への「伴走型キャリアドック2.0への戦略的投資」が欠かせません。それにより企業の競争力と生産性を高めていく必要があるのです。
近年多くの企業では、人材を従来の人的資源としてではなく、人的資本として捉える動きが加速しています。一方、政府も人的資本経営の土台作りを強化しています。2023年改訂版の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」の中にも、「キャリアは会社から与えられるものから、一人ひとりが自ら選択する時代となってきた」と書かれており、また経産省では「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」に潤沢な予算を投資するなど、自ら学び直して新たにチャレンジするという風土が着々と出来上がってきました。
そんな中、人的資本経営は3つのキャリア課題に直面しています。まず若手はキャリアが見えなくて悩んでおり、中堅は組織内でのキャリアに依存するようになります。そして、定年後はキャリアが失墜し、モチベーションが低下するということです。では、この課題をどのように対処すべきか。その処方箋として、私は個人一人ひとりが中期キャリア計画を掲げればいいのではないかと提案しています。3年後、5年後どうなっていたいのかを言語化することで、より自分らしいキャリア構築が実現できるでしょう。
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