面接ピークは「本年3月」

今度は、面接を受けた時期について、文系・理系別に2023年卒と比較してみましょう。

まずは文系からです。2024年卒採用では早期化が叫ばれましたが、驚くべきことに「前年(2022年)10月」までの期間では、2023年卒と大幅な数字の変動は見られませんでした[図表6]。2023年卒を上回り始めたのは、2023年卒の14%から2024年卒で17%に増加した「前年11月」からとなります。その後、「本年(2023年)3月」まで、3~5ポイントほど2024年卒が2023年卒の数字を上回りました。ところが、「本年4月」になると、2023年卒では78%でピークに達していたのに対し、2024年卒では5ポイント低い73%で、2023年卒を下回る結果となりました。ピークも「本年4月」ではなく、「本年3月」の74%という結果でした。その後、「本年5月」では2023年卒68%→2024年卒58%、「今年6月」では2023年卒38%→2024年卒26%と、2023年卒から大幅に減少しています。
[図表6] 面接を受けた時期の2年比較(文系、複数回答)
次に理系を見てみましょう。こちらも早期については、「前年(2022年)9月」まで2023年卒の数字を上回る月は見られませんでした[図表7]。それどころか、「前年6月」から「前年8月」までは2023年卒採用を下回る結果となりました。しかし、「前年10月」になって初めて、2023年卒の6%に対して、2024年卒は10%と4ポイントほど上回り、以降は、「前年11月」で7ポイント、そして「前年12月」で10ポイントを維持し、「本年2月」まで2023年卒を上回り続けました。ただし、文系よりも1カ月早く、「本年3月」には2023年卒を下回り始め、その後、2023年卒を上回ることはありませんでした。面接のピークは両年ともに「本年3月」でしたが、2023年卒の76%に対して、2024年卒は71%と5ポイント低くなっています。「本年6月」には16%にまで低下し、文系よりも減少スピードが早くなっています。
[図表7] 面接を受けた時期の2年比較(理系、複数回答)
文系・理系ともに、前年夏までの超早期における面接は2023年卒から増加しておらず、前年の秋口から徐々に2023年卒を上回り始め、3月に面接のピークを迎えた後は急激に面接受験者が減少しています。面接受験者は、6月には文系で26%、理系ではさらに少ない16%まで減少してしまいましたので、理系学生の選考に当たっては、遅くとも5月までの面接を目指す必要がありそうです。

面接を志望度向上の重要な場に

今回の調査において、「面接」に関連して、「企業の社員や人事に言ってほしくなかった言葉」と「質問したいけれど、自分から質問するのは勇気が要った、もしくは質問できなかったこと」をフリーコメントで回答してもらっています。参考までに、それぞれ一部を抽出して紹介します。面接官の印象が学生の志望度に大きな影響を与えることが分かっています。以下の意見などを参考に、「面接」を通じた他社との差別化を検討してみる価値があるかもしれません。

【企業の社員や人事に言ってほしくなかった言葉】
・志望理由を何度も聞かれ、詰まりながらも何とか答えたことに対して、「あなたの頭の中にピースはあるんだろうけど、それが組み立てられてないよね。まあそのピースも足りてないけど」(文系・上位私立大)
・私の自己PRに対して「それ、就活生10人いたら10人が言うことだよ」(文系・上位私立大)
・質問に対する返答をした後に「あ、もう終わりですか?」(文系・上位私立大)
・「○○大学ということは、第一志望は別?」(文系・上位私立大)
・「後悔しないように、最後まで選択肢を狭めることなく就活に取り組んでほしい」(文系・その他国公立大)
・ガクチカを答えた後、面接官に「それが一番頑張ったことですか?」と聞かれた(文系・その他国公立大)
・面接が結果的に落ちていたのにもかかわらず、その前に「直すところがなかった! すごくよかったよ」と言われたこと(文系・上位国公立大)
・アルバイトを短く多く経験したために、就職後もすぐやめてしまうのではないかと言われたこと(文系・中堅私立大)
・ガクチカを「遊びだ」とバカにされた(文系・その他私立大)
・「あなたの志望する職とあなたの研究は何も関係ないですよね、どうするんですか」(理系・旧帝大クラス)
・質疑応答の際に説教じみたことを10分くらい言われたので、こちらにも落ち度はあったかもしれないが、志望度は大きく下がった(理系・その他国公立大)
・自身の研究の仮説に対して、「私はそうは思わない」と言われた(理系・その他国公立大)
・「君もグループ会社のほうなら活かせそうだから、そっちの選考なら内定もらえると思うよ」(理系・その他国公立大)
・自由応募で出願できたが、最終選考前に「推薦書が必要だ」と後から言われたこと(理系・その他国公立大)
・希望を出していない職種について、興味はあるか聞かれたこと(理系・その他国公立大)
・入社理由を真面目に聞いたら、社員が笑いながら「ノリ」と返されて次の質問に移ったこと(理系・上位私立大)
・会社の強みを聞いた時に、「人がいいこと」と答える企業が多かったこと(理系・上位国公立大)

【質問したかったが、質問しづらかった(質問できなかった)こと】
・福利厚生、実際の残業時間、若手の裁量(文系・中堅私立大)
・モデル年収(文系・早慶大クラス)
・働き方について。リモートワークの比率や給与面(文系・早慶大クラス)
・給与や福利厚生についての質問は自分自身非常に重要だと思っていながらも、遠慮の気持ちから質問することができなかった(文系・早慶大クラス)
・どのくらいの確率で転勤を任されるのか(文系・上位私立大)
・月収の金額、平均勤続年数が短い理由(文系・上位私立大)
・自分の面接態度はどうだったかということや、自分の回答したキャリアプランは実際に就職後にその会社で実現可能なものであるかどうか(文系・上位私立大)
・聞くことによって不利な評価が付くと思ったから、具体的な労働条件等については質問できなかった(文系・上位私立大)
・副業が可能かどうか(文系・その他国公立大)
・会社の改善点や会社に持っている不満など(文系・その他私立大)
・昇級や給料のこと。初任給は募集要項に書いてあるが、入社年数を重ねた時に給料がどれくらいもらえるのか分からないため、気になるが、聞きづらい(理系・その他国公立大)
・3年以内の離職率などに関しては聞きにくい印象がある。また、採用人数の設定や経営状況に関する質問はできなかった(理系・その他国公立大)
・年収がどのように上がっていくのかについての質問(理系・その他国公立大)
・福利厚生の詳細内容(家賃補助や昇給率など) (理系・上位私立大)
・社員寮は家具付きなのか、友達や家族を呼んでも大丈夫かなど、込み入った話を聞くことができなかった(理系・上位国公立大)
・副業や女性の活躍度について聞きたかったが、副業に関しては本業にやる気がないかを聞かれてしまうのではないかと思い、女性のことに関しては面接官に女性社員がいることが少なく、聞いても本当のことを話していただけないのではないかと感じた(理系・上位国公立大)
・産休前後の職場の雰囲気、子育てしながらの仕事の状況(理系・上位国公立大)
・勤務地の希望がどれだけ通るのか(理系・早慶大クラス)

学生が質問したくても質問しづらいと感じる項目は、企業側から質問される前に積極的に開示することで、他社との大きな差別化になると同時に、好感度・志望度のアップも図れそうです。

文系・理系ともに増える重複内定者

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