大企業の4割がリファラル採用に注力

次に、採用手法について見てみましょう。就職ナビや合同企業説明会等で募集団形成する「マス採用」と、インターンシップやダイレクトソーシングなどを活用した「個別採用」の両方の要素をミックスした採用手法を採る企業が増えていますが、そのバランスを聞いてみた結果が[図表4]です。全体では、「マス型採用に注力した」の30%、「マス型採用を主軸に個別採用にも取り組んだ」の33%を合わせた「マス型採用」派(以下同じ)が63%と6割を超えています。企業規模別で見ると、「マス型採用」派は大企業で69%、中堅企業でも72%と7割前後を占めているのに対して、中小企業では53%とわずかに半数を超える程度にとどまっています。
図表4 マス採用と個別採用のバランス(単一回答)
一方の「個別採用に注力した」企業について比較してみると、大企業は7%、中堅企業は21%、そして中小企業は32%と、企業規模が小さくなるにつれて「個別採用に注力した」企業の割合が高くなっています。採用人数が少ない中小企業では、マスで学生募集団を大きく形成してから書類選考や適性検査、面接で絞り込む手法よりも、最初からターゲットとなる層に個別にアプローチする採用手法のほうがコストや労力の面で効率的であると考えられます。

「個別採用」に少しでも取り組んだ企業に対して、活用したダイレクトソーシングや実施施策を聞いたところ、大企業で最も多いのは「社員からの紹介(リファラル採用)」で42%でした[図表5]。次いで、「逆求人サイトの活用」が23%、「内定者からの紹介」と「SNSの活用」がともに13%で続きます。中堅企業では「社員からの紹介」も31%と多いのですが、それよりも「逆求人サイトの活用」が34%でトップです。中小企業でも同様に「逆求人サイトの活用」が29%で最も多く、「社員からの紹介」は17%にとどまります。企業規模が大きいほど、「社員からの紹介」を活用する企業の割合が高くなっています。「社員からの紹介」を効果的に推進するためには、紹介の受付窓口や紹介後の手続き、内定や入社に至った場合のインセンティブ、交通費や飲食費などの経費に関する規定や仕組みづくりの他に、企業理念・ビジョンや求める人物像、ある程度の人事知識や入社後の待遇など、紹介してもらう社員への周知や研修なども必要となります。
図表5 24卒採用で実施したダイレクトソーシングの内容(複数回答)
「個別採用」に取り組んだ背景についてのフリーコメントを抜粋して紹介します。今回は、「エンゲージメント」というワードが散見されました。

【「個別採用」に取り組んだ背景】
・エンゲージメントが高そうな人材確保のため(1001名以上、サービス)
・エンゲージメントの確認(1001名以上、サービス)
・特定学科が対象であり、かつ少人数採用(300名以下、建築・土木)
・マス型で応募学生が減ったため(301~1000名、運輸・倉庫)
・特殊ポジション(AIエンジニア等)の採用をする必要があったため。そのポジションに対しては能力や当社とのマッチング度合いを見分けるため、個別に採用を進めた(1001名以上、情報処理・ソフトウェア)
・知名度がなく、母集団形成は難しいと判断したため。また、ターゲット層ではない応募が来てしまうため(300名以下、商社・流通)
・個人ごとのニーズや知りたいことが異なり、それを解決できるように対応することが必要と考えたため(301~1000名、サービス)
・B to Bで認知度が低い当社の技術に興味・関心を示してくれそうな潜在層に対して、直接アプローチすることが必要と考えているので(1001名以上、メーカー)
・マス型採用だけでは取りこぼしてしまう層に接触するため(301~1000名、商社・流通)

ChatGPTは様子見の企業が大半

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