インターンシップの前倒しと対面型の増加

「インターンシップの開催時期」について、2023年卒向けインターンシップと比較したのが[図表9]です。2024年卒採用では、冬期休暇中であるにもかかわらず「3年生1月(2023年1月)」(23年卒採用40%→24年卒採用30%)や「3年生2月(2023年2月)」(同32%→同22%)はいずれも10ポイントも減少し、同様に「3年生9月(2022年9月)」(同40%→同30%)も10ポイント減少しています。
[図表9]インターンシップ開催時期(複数回答)
一方、夏期休暇に当たる「3年生8月(2022年8月)」は23年卒採用の42%から57%へと大きく15ポイントも伸びたのをはじめ、「3年生6月以前(2022年6月以前)」は同16%→同22%、「3年生11月(2022年11月)」も同23%→同30%と伸びています。かつては、3月1日からのプレエントリー受付開始を前に、プレエントリー促進の一環として「3年生1月」や「3年生2月」に駆け込み的にインターンシップを開催する例が数多く見られましたが、今や全く様相が異なっています。もはやインターンシップはプレエントリー促進ではなく、早期選考への母集団形成の意味合いが強くなっており、「3年生1月」や「3年生2月」ではもう遅いということなのでしょう。

以前は、夏期休暇と冬期休暇の間の授業期間に当たる「3年10月」~「3年12月」にインターンシップを開催する割合は少なかったものですが、今ではオンラインでの開催も当たり前になったことから、学業への影響は少ないとして、どの月も30%程度の企業が開催しています。それどころか、「3年生12月」はかつての「3年生1月」や「3年生2月」に代わって、「3年生8月」に次ぐ二つ目のピークにまでなっているなど、明らかにインターンシップ開催時期の前倒し傾向が見られます。

前述の「2024年新卒採用でより重要になると思われる施策」で全体の3位となった「対面型インターンシップ」について、その実施割合を前年比較で答えてもらったのが[図表10]です。
[図表10]対面型インターンシップ実施割合の前年比較
全体では、「変化なし」が66%と3分の2を占めますが、「減少した」(「大きく減少した」と「やや減少した」の合計、以下同じ)は9%と1割にも満たないのに対して、「増加した」(「大きく増加した」と「やや増加した」の合計、以下同じ)は25%と大きく上回ります。
従業員規模別で見ると、大企業では「増加した」が30%にも達し、中小企業でも18%と2割近くになります。中小企業の数値が大企業よりも低いのは、もともと「対面型」で実施していた割合が高かったためと推測されます。「対面型インターンシップ」を「2024年新卒採用でより重要になると思われる施策」として、自社にも当てはめた企業が少なくないことが分かります。

学内企業セミナー参加数は拡大傾向

ここでは、「プレエントリー数の前年比較」の結果を紹介します。全体では、「前年同時期より少ない(3割以上少ない)」14%、「前年同時期より少ない(1~2割程度少ない)」24%で、合わせて38%と4割近い企業が「前年同時期よりも少ない」(以下同じ)と回答しています[図表11]。一方、「前年同時期より多い」はわずか9%です。
[図表11]プレエントリー数の前年比較
従業員規模別に見た場合、大企業ほど「前年同時期より多い」とする企業が多いわけではありません。大企業は全体と同じ9%にとどまり、これより多かったのは意外にも中小企業の11%です。ただ、「前年同時期よりも少ない」と回答した企業は、大企業が24%で最も少なく、中小企業40%、中堅企業に至っては48%と半数近くにも上ります。さらに「前年同時期より少ない(3割以上少ない)」と「前年同時期より少ない(1~2割程度少ない)」に分けて比較すると、規模による差異はもっと際立ってきます。大企業で「前年同時期より少ない(3割以上少ない)」とした企業はわずか4%しかなく、一方の中堅・中小企業では17~18%と2割近くにもなっています。

ただ、多くの企業で、昨年から実施してきたインターンシップへの応募はプレエントリーではなく、あくまでも自社の採用ホームページや3月1日以降に就職ナビからあったエントリーのみをプレエントリーとしてカウントしているものと推測されます。その結果、インターンシップ応募者に再度のプレエントリーを求めない限り、「前年同時期よりも少ない」との回答割合が多くなっていることにもうなずけます。

次に、前述の「2024年新卒採用でより重要になると思われる施策」において、特に中堅企業で割合が高い「学内企業セミナー」について、参加大学数を前年比較してもらったところ、全体では「減らす」はわずか2%にとどまり、「増やす」は24%と4社に1社にまで及ぶことが分かりました[図表12]
[図表12]学内企業セミナー参加数の前年比較
企業規模が大きくなるほど「増やす」とした割合は高くなり、中小企業18%に対して、中堅企業26%、大企業28%という結果になりました。コロナ禍でキャンパスが閉鎖、あるいはそれに近い状態のときには、「学内企業セミナー」も限られた企業にのみオンライン開催が認められ、そうでない企業は「学内企業セミナー」参加の道が閉ざされてしまいました。キャリアセンター担当者も在宅勤務となり、企業側としてはキャリアセンターとのコミュニケーションを取りたくても思うように取れない日々が続きましたが、ようやくコロナ禍以前に近い状態にまでキャリアセンターの活動状況も回復し、再び「大学との関係構築」が企業の大きなテーマになってきているようです。

大企業のセミナー・説明会は1~3月がピーク

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