企業の対応力が学生に厳しくチェックされている

ここからは、【佳作】に入選した作品から5作を紹介します。

ウェブ面接 犬がワンワン 僕カンカン (東京都 あんちょうさん)

自宅で受けるWEB面接の最中に、ペットの犬が飼い主の一大事であるにもかかわらず、ワンワンと元気にほえる様子と、ペットに罪はないと分かりつつもいら立ちを覚える作者の思いがよく伝わります。「ワンワン」「カンカン」とうまく韻を踏んでリズミカルな作品となっています。俳句と違って、「字余り」や音律をまたぐ「句またぎ」も許されるなど、自由度の高い川柳ならではの作品です。面接中の本人は焦るでしょうが、ペットの犬は一生懸命に作者を応援していたのかもしれませんね。もしかしたら、面接官の質問への回答を教えていたのかも。

オンライン 固まったふり 上手くなる (大阪府 サドルさん)

今年の就活生は、WEB(オンライン)面接で面接選考を受ける機会が多く、回数を経るごとにオンライン面接のコツをつかんできた学生も多いことでしょう。慣れてくると、答えづらい難しい質問をされた際に、「画面が固まってしまったフリをして答えを考える時間を稼ぐ」というずる賢さと、就活生の必死さを感じられる何とも面白い作品です。本当にネット回線が固まって焦ったことがあるからこそ、その経験をうまく応用できるようになったということなのでしょう。人事の皆さん、だまされないように注意しましょう。

部屋がない WEB面接は トイレから (東京都 ながくぅさん)

こちらもWEB面接ネタです。家族と一緒に住んでいる就活生で、自分だけの部屋がない場合、家中でWEB面接を受けられる空間を探し回ることになります。その結果、背景が白色で、家族の誰にも邪魔される心配のないトイレに行き着いたというユーモラスながら切実な思いが伝わってくる作品です。一人用の個室ですから、集中しやすいかもしれませんね。ただ、狭すぎて声が反響しないか、さらには、家族の誰かが用を足したくなった時にどうするのかが心配なところです。個室ではありますが、家族の共用スペースであることには変わりはありませんので。

「立ってみて」 下の確認 祈られた (京都府 ほそまっちょになりたい。さん)

「WEB面接あるある」で、今回の応募の中でも最も多かったのが、上半身だけスーツで下は部屋着で面接したというネタです。あまりの多さに、上下ともにスーツでWEB面接を受けている学生は存在しないのでないかと思ってしまうほど。この作者も、下はパジャマでWEB面接を受けていたところ、運悪く下半身の服装チェックを受けてしまい、選考を落とされた、という状況と残念な気持ちをうまく端的に表現できた作品です。

大事な面接だからこそリラックスして臨みたいという作者(就活生全般?)の気持ちも十分に分かりますが、スーツを上下でピシッと決めて面接に臨むのも気持ちが引き締まっていいものですよ。

コロナ禍で わかる企業の 対応力 (神奈川県 ぬんぴぃさん)

新型コロナウイルスの影響を大きく受けた就職活動で、就活生たちは企業ごとの底力や対応力の違いを見ることができたようです。迅速な対応により、予定していた対面式の会社説明や面接をすぐにWEB説明会やWEB面接へ変更し、滞りなく採用活動を続けられた企業は学生からも厚い信頼を得られました。

一方、オンライン化にうまく対応できず、緊急事態宣言中にも対面式の面接、さらにはグループディスカッション面接に呼び出しをするような企業は厳しい評価を受けたようです。学生の厳しい目がよく伝わる作品です。「コロナ禍の中、ウェブ面接への移行などへの対応力から、企業のスピード感や風通しなど例年では推し量れない部分まで感じ取ることができました」と作者。採用活動では、企業も学生から評価されているんだということをあらためて認識させられますね。
HR総研のオフィシャルページでは、「2021年卒 採用川柳・短歌/就活川柳・短歌」の全入選作品について、作者の思いを踏まえての寸評・解説も掲載しています。それぞれの作者がどんな気持ちでこの川柳や短歌を詠んだのか、ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひご覧ください。

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