4月7日、新型コロナウイルス感染拡大に備えて緊急事態宣言が発令された。多くの企業にとっては、さらに厳しい局面が続くことが予想されており、今後の事業の継続は、まさに国や自治体の支援にかかっているといっても過言ではない。政府は新型コロナウイルスの影響で一時的に売上が減少している中小企業・個人事業主を対象に、一定額(中小企業は最大200万円、個人事業主は最大100万円)を給付する緊急支援制度を発表。詳細は間もなく決定する見込みだが、今回は4月20日時点で決定している国や自治体による雇用や経営、テレワーク関連の主な支援策を紹介する。
新型コロナウイルスに関連する国や自治体の「雇用助成金」「融資制度」「テレワーク導入補助金」等、緊急経営支援まとめ

雇用に関する助成金とその支援

「雇用調整助成金」厚生労働省
「雇用調整助成金(※1)」は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、従業員を一時的に休ませる企業に休業手当の一部を補助するというもので、解雇を防ぎ、雇用を維持するのが狙いだ。厚生労働省が3月に発表した内容によると、4月1日~6月30日を「緊急対応期間」とし、この期間は全国で特例措置が実施されるという。

緊急対応期間の特例措置の拡充内容としては、生産指標要件が「最近1か月の生産指標が前年同期に比べ5%以上低下した場合」に緩和された点や、全国で正規・非正規問わず雇用調整対象になった点などが挙げられる。また助成率は、中小企業が3分の2から「5分の4」、大企業が2分の1から「3分の2」へ、解雇等を行わない場合は、中小企業が「10分の9」、大企業が「4分の3」へ引き上げられた。

※1:雇用調整助成金について(厚生労働省)

「休業等支援事業」「雇用環境整備促進奨励金」東京都
東京都は、上記の「雇用調整助成金」を申請する企業を対象に、手続きをサポートする社会保険労務士を無料で派遣する(※2)。派遣回数は、派遣を決定してから最大5回(1回あたりの派遣時間は原則2時間以内)。申請は令和2年3月23日でいったんは締め切られたが、東京都産業労働局によると4月以降も延長されるという(4月20日時点)。さらに都では、「雇用調整助成金」など該当する助成金を受給する企業を対象に「新型コロナウイルス感染症対策雇用環境整備促進奨励金」も新設された。取り組み期間中に「非常時における雇用環境整備に関する事項」および「その他非常時対応として確認しておくべき事項」の計画を立て、実施すると10万円を支給するというもの。受付を開始したので合わせてご確認いただきたい(※3)。

※2:新型コロナウイルス感染症に係る休業等支援事業について(東京都産業労働局)
※3:新型コロナ感染症対策雇用環境整備促進奨励金について(東京都産業労働局)

「小学校休業等対応助成金」厚生労働省
厚生労働省では、新型コロナウイルスに関わる小学校等の臨時休業で子どもの世話が必要となり、仕事を休まざるを得なくなった保護者を支援するため、正規・非正規雇用問わず、労働基準法上の年次有給休暇とは別に、有給の休暇を取得させた企業に対する助成金を創設した(※4)。支給額は、休暇中に支払った賃金相当額で、日額上限8,330円(支給額は大企業、中小企業ともに同様)。支給対象となる休暇取得期間は令和2年2月27日から6月30日まで。申請は同年9月30日までとなっている。

※4:新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金について(厚生労働省)

資金繰りおよび安定経営のための融資制度

「企業や個人事業主への融資制度」日本政策金融公庫/商工組合中央金庫/東京都/大阪府ほか
国や各自治体では、企業の資金繰りを支援するため、さまざまな融資制度も設けている。日本政策金融公庫は、新型コロナウイルス感染症による影響を受け業況が悪化した事業者(事業性のあるフリーランスを含む)に対し、融資枠別枠の制度を創設(※5)。

また、商工組合中央金庫でも、危機対応融資による資金繰りを支援する。日本政策金融公庫、商工組合中央金庫いずれも信用力や担保に依らず一律金利とし、融資後の3年間まで0.9%の金利引き下げが実施されるという(※6)。

東京都では、新型コロナウイルス感染症により事業活動に影響を受けている都内の中小企業の資金繰りを支援する。最近3か月間の売上実績、または今後3か月間の売上見込が令和元年12月以前の直近同期と比較して5%以上減少している企業が対象だ。融資限度額は2億8,000万円で、融資期間は運転資金が10年、設備資金が15年。信用保証料は東京都が全額補助するという(※7)。

大阪府でも、新型コロナウイルス感染症の発生により経営に影響を受けている中小企業を支援するための融資制度(経営安定資金)を設けている(※8)。対象は、最近1か月間の売上等が前年同月比で15%以上減少しており、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上等が前年同期比で15%以上減少することが見込まれる中小企業。融資限度額は2億円(うち無担保8,000万円)で、融資期間は10年以内(据置2年以内)となっている。

※5:新型コロナウイルス感染症特別貸付について(日本政策金融公庫)
※6:新型コロナウイルス感染症融資制度に関するご案内(商工組合中央金庫)
※7:新型コロナウイルス感染症対応緊急融資について(東京都総務局)
※8:新型コロナウイルス感染症対策資金について(大阪府商工労働部)

「特別利子補給制度」経済産業省
さらに経済産業省は、「特別利子補給制度」を創設(※9)。上記の日本政策金融公庫または商工組合中央金庫より借入を行った中小企業者のうち、特に影響の大きい事業性のあるフリーランスを含む個人事業主、また売上が急減した事業者などに対して、利子補給を行うことで資金繰りを支援する。

※9:新型コロナウイルス感染症資金繰り支援について(経済産業省)

テレワーク導入支援

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