競争激化のエンジニア採用で大きくV字回復を遂げたfreeeのリファラル採用とは

特別読み切り

人員不足が深刻だ。求人媒体の掲載件数が35.7%増加しているという深刻さを物語るデータがあるという。しかも、短期的なものではなく、「2050年までに労働人口の30%以上が減少する」といった予測も出ている。
昨今、特に人材確保が大変だといわれているのが、エンジニアだろう。求人倍率は約7倍と引く手あまたの売り手市場が続いており、エンジニア獲得に奔走する企業も少なくないようだ。

エンジニアを採用した場合、入社しなければ分からない事項が多い。それは、仕事内容やスキルだけでなく、使用するPCの機種まで含まれる。職種の特殊性からか、友人の紹介で転職するリファラル採用が目立ってきているという。

2018年8月に「リファラル採用成功事例セミナー」が開催された。現在リファラル採用に積極的に取り組んでいる、freee株式会社の採用戦略担当者が登壇。人材確保が難しいエンジニア採用を軸に、リファラル採用のトレンドや、導入企業における具体的な施策が紹介された。

リファラル採用における問題点と打開策

まず、リファラル採用活性化クラウドツール「Refcome」を提供するリフカムの西尾氏から、「リファラル採用の問題点と打開策」が紹介された。

西尾氏によると、「リファラル制度はあるが、事実上運用が回っていない企業は99%」だという。背景には、友人紹介制度を「作って終わり」と放置しているケースや、過去にキャンペーンを実施したが不調で終わったケースなどがある紹介した。効果的な方法が分からずに迷走し、結果的にリファラル採用の優先順位が上がらないといった悪循環に陥るのだそうだ。

この打開策について西尾氏は「社員の意識調査を行い、正確な社内のリファラル採用の現状を把握することが打開策の第一歩」と訴えた。その上で、以下の2点をリファラル採用の成功を左右する重要なポイントに挙げた。

1. キーマンを見つける
2. 受け皿を用意する

そもそも社員は人事部と日常的に交流がないケースも多い。しかし、繋がりが薄い関係性のもとで、協力体制は築けない。「各部門の部長や課長など、影響力のある人物をキーマンとして巻き込むことが重要である」と説明する。

また、ターゲットとなる人材ごとに受け皿を最適化し、転職意向がない場合でも社内の懇親会に参加してもらうなど、まずは会社に来て知ってもらうことを推奨している。
ここでは、事例として月1回友人を招待して行うピザパーティーが紹介された。ターゲットとなる人材や社員にリファラル採用を周知する短期視点の目的だけでなく、会社に友人を呼ぶという経験を従業員にしてもらい紹介のハードルを下げるといった長期的視点でのねらいもあり、効果的だといえる。

お弁当制度、紹介カード、アワード…freeeにおけるリファラル採用の取り組み

freeeではリファラル採用を導入後順調に効果が表れているという。その経験から得た一つの結論として「(リファラル採用の)強制は考えておらず、知人を紹介したくなるそんな組織を作っていくのがリファラル採用の(成功の)近道」と紹介した。

freeeの2018年中途採用数は約半数強がエンジニアとなっており、そのほとんどリファラル採用やダイレクトリクルーティングで獲得している。しかし、かつては採用が思い通りにいかず、人材確保に苦しんだという。企業認知度の低さから、応募を待っていては欲しい人材を獲得できず、やむを得ず社員が仲間を連れてくる方法しかなかったそうだ。そのため、2015年はリファラル採用が半数を占めていたものの、その後何も手を打たなかった結果、大きく落ち込んでしまったようだ。そこで、採用データを見直したところ、入社後の活躍や採用決定率などから、改めてリファラル採用の人材が有望だとの結論に達し、早々にリファラル採用活性化クラウドツールRefcomeの導入を決めたという。以降、順調に効果が出始め、現時点でリファラル採用率は回復傾向にあるという。


同社で行われている取り組みとして、以下の3つが挙げられた。

1. 友達を呼ぶことのハードルを下げ、欲しい人材をしっかり伝える
2. 採用の重要性、必要性をしっかり伝える
3. 協力者への感謝の気持ちと称賛

転職してきた人の周りには転職を検討している人が多い。そのため、入社時に社員紹介文化について話をしてしっかりと理解をしてもらう。同時に、会社に知人を呼ぶことに慣れる目的で、同社はお弁当制度を導入している。もともと社員がお弁当を無料で食べられるという充実した福利厚生で、友達もオフィスに呼んで一緒に食べられるよう拡充。徹底しているのが、友達を呼ぶハードルを下げることに主眼を置いていることで、その後の採用についての追跡調査もしないという。また、常に社内で欲しい人材を公開し、具体的なスキルからポジションまで、全社挙げての情報共有に務めている。

同社では採用を考えるとき、あえて社内に目を向けるという。それは、「採用したい人のモデルは社内にいる社員」だから。そんな社員からの紹介を促すために、月1回のペースで友人紹介のお願いを社内全体に発信するとともに、定期的に1on1でも伝えている。

また、IT企業でありながらもあえてアナログで「紹介カード」を作成し、同社が推奨する勉強会やカンファレンスに参加の際、名刺とセットで渡すことも促している。「紹介カード」の反響は予想外に大きく、カードの説明をした日には同社募集ページのPVが跳ね上がるそうだ。

さらに、同社では1年に1度、社内で3つの表彰を行っているが、その1つが「リクルーティングアワード」だ。リファラル採用の紹介者の表彰で、金一封(温泉旅行など)を贈る。これにより、採用に関わることがどれだけすごいことかを伝えている。

もう一つ、ユニークな取り組みも紹介された。同社ではTシャツ文化が盛んなことからリファラル採用決定時にもTシャツが贈られる。日頃から協力者への感謝の気持ちと称賛を忘れない姿勢が、リファラル採用を支えているといえるだろう。

著者プロフィール

HRプロ編集部

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