「BCP(事業継続計画:Business Continuity Planning)」とは、企業が自然災害、火災、テロ攻撃などの緊急事態に見舞われた際、損害を最小限に抑え、中核事業の継続や早期復旧を図るために、平常時の活動や緊急時における事業継続のための方法などを取り決めておく計画のこと。

緊急事態に備える企業の危機管理の新手法であり、欧米では広く普及しています。BCPは単なる計画書の意味ではなく、マネジメント全般を含むニュアンスで用いられている言葉ですが、平常時からのマネジメントの意味合いを強調するために、BCM(Business Continuity Management)とする場合もあります。

企業が大地震などの緊急事態に遭遇すると、操業率は大きく下がります。何も備えを行っていない企業では、事業の復旧が遅れ、事業の縮小や廃業を余儀なくされる恐れも出てくるでしょう。一方、BCPを導入している企業においては、緊急時でも中核事業を維持・早期復旧し、速やかな操業率の回復が期待できます。こうした企業は、顧客の信用を維持し、市場関係者から高い評価を受けることになり、企業価値の維持・向上につながります。したがって、BCPはトップが関与する重要な経営戦略として位置付けられるべきものだと言えます。

BCPの策定・運用にあたっては、BCPの基本方針を立案し、BCPサイクルの体制を確立した上で、日常的にBCPサイクルを運用していくことが重要です。緊急事態発生時には事前に策定したBCPを発動し、その際に出た新たな課題に基づいて、収束後にBCPを更新していくことになります。

BCPのポイントとしては、優先して継続・復旧すべき自社の中核事業を特定し、緊急時における中核事業の目標復旧時間を定めておくこと、緊急時に提供できるサービスのレベルについて顧客とあらかじめ協議しておくこと、事業拠点や生産設備、仕入れや調達の代替策を用意しておくことなどがあります。当然ながら、全従業員と事業継続についてコミュニケーションを図っておくことも忘れてはいけません。