「会社の雰囲気」はインターンシップで実感

前項の内定承諾理由を見ると、文系の5位、理系の6位に「会社の雰囲気」が挙げられています。では、学生は内定承諾した企業の「会社の雰囲気」について、どの情報源から得ているのでしょうか。文系、理系別に調査結果を見ていきましょう。

まず、文系に焦点を当てると、「企業説明会で人事担当者等からの紹介」が最も多くの学生に選ばれており、割合は45%です[図表10]。それに次いで、「インターンシップでの職場体験・見学」と「対面面接(会社訪問)での雰囲気から推測」がいずれも44%で高い比率となっています。また、「面談での人事担当者からの説明」も43%で、これらの項目はほぼ同程度の重要性を持つことが分かります。
図表10 内定承諾した企業の「会社の雰囲気」情報の入手先(文系、複数回答)
面白いことに、「企業HPでの紹介」について、“社員インタビュー・オフィス紹介などの動画”と「企業HPでの紹介(文章による紹介)」とに個別に項目立てして調査したところ、前者が41%、後者が36%という結果が得られました。企業の採用ホームページを確認すると、多くの企業が「文章による紹介」を提供している一方で、「社員インタビュー・オフィス紹介などの動画」を提供している企業は多分半数に満たないでしょう。それにもかかわらず、学生は「動画」の情報を重視しており、5ポイントも高い割合となっています。動画コンテンツは文章よりもはるかに影響力が高い可能性が示唆されています。あるいは、学生は意外と文章情報をそれほど読み込んでいない可能性も考えられます。

一方で、理系の結果を見ると、「インターンシップでの職場体験・見学」が49%とほぼ半数を占めており、他の情報に差をつける結果となっています[図表11]。このことから、理系学生向けのインターンシップは、文系以上にプログラム構成を工夫する必要がありそうです。34%だった文系学生と比べて、「リクルーター・社員座談会等を通じて」が43%と高いことも明らかになりました。文系よりも理系のほうが「リクルーター・社員座談会」を経験している学生が多いことが推測されます。また、文系と同様に、「企業HPでの紹介(文章による紹介)」は28%ですが、“社員インタビュー・オフィス紹介などの動画”は31%と、やはりこちらでも動画情報が重要視されています。一方で、「ネット記事(企業HPを除く)」については、文系(14%)と比較して、理系はわずか7%と半数にとどまり、ネット記事に左右される割合は低いことが明らかになりました。
図表11 内定承諾した企業の「会社の雰囲気」情報の入手先(理系、複数回答)
文系と理系に共通して言えることは、「新聞・雑誌・書籍」はどちらのグループでも、わずか1%しか「会社の雰囲気」情報の入手先としては利用していないことです。新聞(紙面)を購読している学生は果たしてどの程度にまで低下しているものなのでしょうか。オンラインでの情報収集は便利ですが、新聞社のWebサイトを購読するのではなく、Yahoo!ニュースなどだけで情報収集している学生が増えることは懸念材料です。

最初の接点は「インターンシップ」が3割

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