「中間管理職」は、「ミドルマネジメント」とも呼ばれ、上位の管理職層と、自身がマネジメントする部下との間でさまざまな調整をする役割を持つ。企業としての目標達成や組織活性化においても、大きな影響力のある重要なポジションである。「プレイングマネージャー」として管理業務と実務の両方をこなす場合も多い。「中間管理職」の仕事内容は多岐にわたり、近年の人材不足や働き方の多様化などの背景から、ますます負荷が大きくなっていると言える。本稿では、「中間管理職」に求められる役割や業務に有用なスキル、そしてストレス対策についても詳しく解説する。
「中間管理職」の役割とは? ストレス対策やスキルアップに効果的な研修などを解説

「中間管理職」とは? 管理職との違いや役職について

「中間管理職」とは、管理職として部下をマネジメントしながら、さらに上位の管理職の部下としての役割も持つ役職のことである。「ミドルマネジメント」とも呼ばれる。マネジメント業務と現場の実務の両方をこなす「プレイングマネージャー」である場合も多い。

◆管理職(マネジメント)における「中間管理職」(ミドルマネジメント)

管理職には大きく分けて3つの種類がある。それぞれの仕事の内容や、該当する役職にはどのようなものがあるかを確認しておこう。

・トップマネジメント
会社全体の方針の決定や総合判断などを行う、最上位の経営層のことで、組織の根幹を担う立場を指す。役職名は会長、社長、取締役員などに当たる。

・ミドルマネジメント
上司と部下の両方を持つ管理職のことで、「中間管理職」と同義である。トップマネジメントが決定したことを現場に伝え、会社方針のもと業務を円滑に遂行できるよう管理する役割を持つ。現場の管理者であるものの、トップマネジメントとは異なり、経営に対しての責任は負わない。役職では部長、課長、支店長、支社長と呼ばれる人たちである。

・ロワーマネジメント
ミドルマネジメント層の指示を受け、現場の社員が目標達成に向けて確実に業務を遂行できるよう、予算や人材を直接に管理・指導するポジションである。役職としては係長、主任などが該当する。

「中間管理職」の役割や仕事

「中間管理職」が会社内でどのようなポジションか把握したところで、役割や仕事についても具体的に理解しておこう。

●上長と部下の調整役
「中間管理職」には、経営陣が決定した方針や目標を受け取り、現場部署がその方針や目標達成に向けて円滑に業務を遂行できるよう橋渡しをする役割がある。ただ指示を伝えるだけでなく、上長の方針を分かりやすく伝え、部下が働きやすいようマネジメントする必要がある。

●現場のマネジメント
「中間管理職」は、部署のマネジメントを行う立場でもある。チームの目標達成のため、業務進捗や予算の管理、業務配分、業務プロセスの整備、部下の配置など、さまざまな管理業務をこなす必要がある。近年増加しているリモートワークにおいて、各社員の労務管理や、現場の状況に即したITツールの導入推進、運用指導なども担当することがある。また先述のとおり、このようなマネジメント業務と、個人としての目標達成のための実務を両立して行う「プレイングマネージャー」である場合も多い。

●上長のサポート
上位役職者である上長の補佐業務を行うのも、「中間管理職」の役割の一つである。上長が示した方針を理解し、サポートする必要がある。

●部下の育成・指導
管理職として、部下が目標を達成できるよう育成・指導を行う。部下のパフォーマンスを引き出すため、挑戦や経験の機会を与えながらサポートしていく。上司として、自分自身が手本となるような行動を心がけることも重要だ。

●部門間の連携
いくつかの部署で連携して進める業務において、部署間の業務調整のためにパイプ役となる必要がある。「中間管理職」同士での連携が必要になるだろう。

●部内のリスク管理
「中間管理職」は、目先の目標を追うだけでなく、広い視野を持ち、現場の管理者としてリスク管理を行う必要がある。マネジメントを行う立場でありながら、現場の目線をもつ「中間管理職」は、さまざまな角度からリスクを捉えられるといえる。現在発生しているリスクだけでなく、起こるかもしれないリスクを想定し、対応する力も求められる。

「中間管理職」のスキルアップに効果的な研修

上述のとおり、「中間管理職」の業務や役割は多岐にわたる。スキルアップのためには「中間管理職」向けの研修を行うのが効果的だ。必要なスキルと研修について確認しておこう。

◆「中間管理職」に必要なスキル

「中間管理職」の多様な業務に役立つスキルとして、以下のようなものがあげられる。

・コミュニケーション能力
「中間管理職」は、上司や部下の両方と仕事を進める必要があり、接する相手が多い職種である。正しく話を理解し、意見を明確に伝えるためにも、コミュニケーション能力は必須である。また、会話力だけでなく、円滑な業務遂行のための調整力や、意見が異なる社員とも上手に接することができる柔軟性もあわせて身に付けたい。

・マネジメント能力
「中間管理職」には、組織の成果目標を達成させる役割がある。業務の管理や調整、チームがパフォーマンスを発揮しやすい人材配置、部下の適切なサポートなどで、組織の成果の最大化を図るには、マネジメント能力が不可欠である。

・育成力
部下をマネジメントする上で、「中間管理職」には育成力も必要である。部下の様子をよく観察し、一人一人の力を伸ばすのはもちろん、部門全体の底上げも重要な任務である。

・危機管理能力
大きな損失を生むミスや事故を防ぐため、予想されるリスクや問題点に気付き、前もって対処することで影響を最小限にする危機管理能力も「中間管理職」には非常に重要だ。業務に関連した法令の把握と順守も必須である。組織を管理する立場として、意識を高めておくことが求められる。

◆「中間管理職」のスキルアップに効果的な研修

このように「中間管理職」は、さまざまなスキルを身に付け、多面的に物事を見ることが求められる。「中間管理職」のスキルアップに有効な研修とはどのようなものか、具体的に解説する。

・ロジカルシンキング研修
会社で起こる問題は、複数の事柄が原因になっている場合も多い。その原因を分解し解決に導くためにも、ロジカルシンキング研修で論理的な思考および物事を素早く本質的に捉える力をつけることが有効だろう。

・コーチング研修
「中間管理職」の重要な業務に「部下の育成」がある。相手の話を聞き、自発的行動を促すコーチングは、人材開発手法として注目されるコミュニケーションの一つだ。コーチング研修を通じて、部下が自らの問題点に気付き克服するよう導くスキルを身に付ければ、部下の成長促進に役立つとともに、部署の目標達成につなげることもできるだろう。

・チームビルディング研修
チームビルディングとは、部下のパフォーマンスを引き出し、組織の成果を高めるための組織開発のこと。チームビルディング研修により、良い組織に必要なものは何か、部下のモチベーションをどのように上げるかを学ぶことで、チームをを目標達成に導くことができる。

「中間管理職」の課題とストレス対策

「中間管理職」は、部下の育成、上司と部下のパイプ役としての役割など、担当する業務が非常に多いことから、ストレスを抱えやすい立場といえる。組織の中核を担う「中間管理職」がスムーズに仕事を進められるよう、ストレスの原因と対策について知っておきたい。

◆「中間管理職」がストレスを抱えやすい原因

・上司と部下との板挟み
「中間管理職」は上司と部下の間で、どちらの意見も聞きながら業務の橋渡しを行う。中には、現場の理解が不足している上司や、会社の方針に納得していない部下など、メンバーの考え方や状況によって調整しづらい場面も出てくるため、高い調整能力が求められるとともに抱えるストレスは大きいものになりがちだ。

・業務量の多さ
先述のように、現在はテレワーク、フレックス制度、時短勤務など働き方が多様化している。それに伴い、マネジメント業務も複雑化しており、仕事量が増加したと感じている「中間管理職」も多い。加えて、コンプライアンス順守なども強調されるようになり、「中間管理職」にかかる負担はますます大きくなっていると言っていいだろう。

◆「中間管理職」の健康・メンタルヘルス対策

業務の複雑化・増加に伴い、中間管理職の抱えるストレスは大きくなっている。健康・メンタルヘルス対策として、組織ができることは何なのか押さえておきたい。

・評価制度やサポート体制の整備
業務量に見合った評価がされていない場合、「中間管理職」にとって大きなストレスの原因となる。個人の成果とともに業務プロセスを把握し、適切に評価するシステムを組織として整える必要がある。また、「中間管理職」の業務増加は、個人の問題ではなく、会社全体の問題である場合も多い。「中間管理職」が現在どのような仕事を抱えているかを、ツールを使って可視化し、問題があれば上司や経営陣がすぐに解決のために動けるシステムの構築が望ましい。

・メンタルヘルス対策の実施
大きなストレスを抱えることは、休職や退職につながる恐れもある。定期的なストレスチェックや産業医の設置を行い、「中間管理職」を含む社員の心の健康に配慮できる体制を作っておきたい。

・IT化による業務効率化
社内のIT化を推進し、自動化・簡略化できる業務については人の手を煩わせない仕組みづくりを行う必要がある。また、テレワークを導入している会社では、直接顔を合わせない部下の業務把握がストレスと感じる「中間管理職」も多い。タスク管理ができるツールや社内連絡を簡略化できるツールの導入も検討すると良いだろう。

・研修によるスキル強化
さまざまな役割を担う「中間管理職」は、自身のスキル不足で業務にストレスを感じる場合もある。研修によって業務に有用なスキルを強化することで、業務を効率的に行えるようになれば、ストレスの低下が期待できる。


上司と部下の間の立場にある「中間管理職」の業務は多岐に渡っており、求められるスキルも、コミュニケーション能力や調整力、育成能力など幅広い。また、テレワークなどの多様な働き方の普及もあり、社員同士が顔を合わせて仕事をしていた時よりも、部署・部下の管理が難しくなっている。その中で、円滑に業務を行うためには、「中間管理職」自身のスキルを強化することも必要だ。組織として研修を設計・運営し、各自のスキルを上げる方法を提供していきたい。

また「中間管理職」は、多くの役割を担うことでストレスを抱えやすく、メンタルヘルスに支障をきたす恐れもあるため、特に注意深くケアすることが必要だろう。評価制度の見直し、ストレスチェックの活用、産業医の設置などの対策を行い、「中間管理職」がストレスなく業務にまい進できる環境を整えることが求められる。
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