DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるにあたっては、ビジネスや業務のデジタル化に対応できる人材が必須だ。各企業では、デジタル人材の新規獲得以外に、既存社員のスキルをDXに向けて転換する「リスキリング」を進めている。本講演の前半では学校法人産業能率大学 総合研究所とHR総研が共同で実施した『日本の企業・組織におけるリスキリング実態調査』の結果をもとに、産業能率大学 の冨沢 日出夫氏と藤原 隆明氏がリスキリングの推進手法を分析する。後半は、ProFuture株式会社 代表取締役社長/HR総研 所長 寺澤 康介がファシリテーターを務め、冨沢氏と藤原氏を交えたトークセッションを通じて今後の課題を探っていく。

講師

  • 冨沢

    冨沢 日出夫 氏

    学校法人産業能率大学 総合研究所 経営管理研究所 技術経営&コミュニケーション研究センター 主幹研究員

    前職では生態学的研究に従事。生態学は「統計学」を武器としていることから、産業能率大学入職後は、生態学的なアプローチで企業組織における上司―部下の関係性について研究を進める。また事業課題と直結したDX人材の育成にも定評があり、データサイエンティストのプログラム開発および養成に携わる。



  • 藤原

    藤原 隆明 氏

    学校法人産業能率大学 総合研究所 マーケティング部 マーケティングセンター プロジェクトリーダー

    前職の教育会社にて、主にIT実務教育の企画・提案・運営支援などを経験し、現職に至る。現在はDX人材育成のプログラム開発とその普及に努める。



  • 寺澤

    寺澤 康介

    ProFuture株式会社 代表取締役社長/HR総研 所長

    1986年慶應義塾大学文学部卒業。同年文化放送ブレーン入社。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。常務取締役等を経て、07年採用プロドットコム株式会社(10年にHRプロ株式会社、2015年4月ProFuture株式会社に社名変更)設立、代表取締役社長に就任。8万人以上の会員を持つ日本最大級の人事ポータルサイト「HRプロ」、約1万5千人が参加する日本最大級の人事フォーラム「HRサミット」を運営する。

DXを実現するための「リスキリング」は、“人材マネジメント”や“経営層の思い”、“社員の自主性”が成功のカギを握る

デジタル社会で生き残るためのスキル教育の行方とは?
学校法人産業能率大学 総合研究所 マーケティング部 マーケティングセンター プロジェクトリーダー 藤原 隆明氏

まずは明確な人材マネジメントが重要

今回、メインテーマである“リスキリングの実態”のほかに、人材マネジメントの現状などリスキリングと関わりの深い取り組みについても調査しています。
DXを実現するための「リスキリング」は、“人材マネジメント”や“経営層の思い”、“社員の自主性”が成功のカギを握る
DXを実現するための「リスキリング」は、“人材マネジメント”や“経営層の思い”、“社員の自主性”が成功のカギを握る
中期経営計画を策定している企業のうち、DXに関する内容が盛り込まれている企業の割合は60.4%と半数を超えています。(図1)企業組織内におけるDXの認識に関しても「全社レベルで取り組むべき最重要事項」と「少なくとも部門・部署によっては取り組むべき重要事項」の回答合計が8割近い値となっており、DXに対する意識の高まりがうかがえます。

図1

DXを実現するための「リスキリング」は、“人材マネジメント”や“経営層の思い”、“社員の自主性”が成功のカギを握る
中期経営計画にDXが盛り込まれている企業の場合、DXを推進する部署があるのは61.5%と高い割合になっていますが、DX担当役員に相当する人がいる企業は32.3%、CDO(Chief Digital Officer:デジタル最高責任者)がいるのは10.4%です。(図2)

図2

DXを実現するための「リスキリング」は、“人材マネジメント”や“経営層の思い”、“社員の自主性”が成功のカギを握る
DXを実現するうえで組織にヨコ串を通すのがDX推進部署だとすれば、経営視点でDX推進の方向性を指し示すDX担当役員やCDOは、組織にタテ串を通す役割を担う存在です。ビジネスモデルの根本的改革をDXの本質的な目的とするなら、トップのコミットメントなしには実現できません。タテ串のない推進体制は、あまり良い結果につながらないように思えます。

続いて、すでにリスキリングに取り組んでいる『リスキリング実施群』と、今後取り組む予定がある、または検討中である『リスキリング検討群』の回答結果に焦点を当てて、リスキリングに関する課題などを探っていきます。

『実施群』と『検討群』の回答差が大きい項目は、「新たなに必要となるスキルの洗い出し」や「現状の社内保有スキルの可視化」です。これは戦略的な人材マネジメントができているかどうかの違いが原因ではないでしょうか。(図3)

図3

DXを実現するための「リスキリング」は、“人材マネジメント”や“経営層の思い”、“社員の自主性”が成功のカギを握る
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