坐禅を生涯組んでいたとされる、スティーブ・ジョブズといった世界の一流リーダーが傾倒する坐禅。海外の有名企業が社員教育に坐禅を導入する例もあり、今、坐禅は人事の観点から大きく注目されている。安倍 晋三元首相をはじめ、多くの政財界人が参禅することで知られる東京・谷中の臨済宗国泰寺派 全生庵住職 平井 正修氏を迎え、HRエグゼクティブコンソーシアム代表の楠田 祐氏が、コロナ禍の状況下で、ビジネスパーソンが坐禅を何に活かせるのかを掘り下げていく。

講師

  • 平井

    平井 正修 氏

    臨済宗国泰寺派 全生庵住職

    1967年生れ 東京都出身 1990年学習院大学法学部卒 1990年静岡県三島市龍澤寺専門道場入山 2001年同下山 2003年全生庵第七世住職就任 2016年日本大学危機管理学部客員教授就任 2018年大学院大学至善館特任教授就任 現在、安倍前首相や中曽根元首相などの政界・財界人が多く参禅する全生庵にて、坐禅会や写経会など布教に努めている。著書 「最後のサムライ山岡鉄舟」(教育評論社)、「坐禅のすすめ」(幻冬舎)、「花のように、生きる」(幻冬舎)、「13歳からの仏教塾」(海竜社)、「三つの毒を捨てなさい」(KADOKAWA)、「男の禅語」(三笠書房・知的生き方文庫)、「山岡鉄舟修養訓」(致知出版社・活学新書)、「忘れる力」(三笠書房)、「お坊さんにならう こころが調う 朝・昼・夜の習慣」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、「安心を得る」(徳間文庫)、「禅がすすめる力の抜き方」(三笠書房・知的生きかた文庫)のなど多数



  • 楠田

    楠田 祐 氏

    HRエグゼクティブコンソーシアム 代表

    NECなどエレクトロニクス関連企業3社を経験した後、ベンチャー企業を10年間社長として経営。中央大学大学院 戦略経営研究科(ビジネススクール)客員教授を7年経験した後、2017年4月より現職。2009年より年間数百社の人事部門を毎年訪問。人事部門の役割と人事のキャリアについて研究している。2016年より、毎週、Podcast「楠田祐の人事放送局〜有名企業の人事部長にズバリ聞く!」(ProFuture)のパーソナリティを務める。主な著書に、『破壊と創造の人事』(Discover 21)、『内定力 2017〜就活生が知っておきたい企業の「採用基準」』(マイナビ)など。

コロナ禍がこれまでの働き方や人間関係を大きく変えた

楠田氏 今日は、東京の谷中にある臨済宗の禅寺 全生庵の平井ご住職をお迎えしていますが、坐禅については、私自身、今年2月に全生庵で初めて体験させていただきました。その後、HRエグゼクティブコンソーシアム(※1)の会員である人事エグゼクティブの方々を、密にならないように配慮した坐禅会という形でお誘いしたところ、皆さんの関心が非常に高く、5回にわたって延べ40人ほどお連れしています。今日は、“今、なぜ坐禅が注目されているのか”、また、“現在のコロナ禍の状況下で、働く人が坐禅をどういうことに活かせるのか”といったことについて、二人で話していきたいと思います。まず、ご住職、去年からのコロナ禍で、私自身もそうですが、ずっと在宅勤務をしている人が多くなっています。そうすると、職場の人と直接顔を合わせないので、孤独感、疎外感が強くなっている人が多いと感じています。職場にいれば、その人が「最近元気がないな」と上司や周りの人がわかりますが、家で仕事をしていると、それが見えないわけです。

平井氏 人と交われば、煩わしいこともありますが、一人でいるということは寂しい部分もあると思います。サイのツノは1本しかありませんから、よく、お釈迦様は話の中で「サイのツノのように、ただ一人歩め」というようなことをおっしゃっています。しかし、やはり、孤独感ということでは、リモートワークが向いている人、向いていない人という個人差が出てくるのかもしれませんね。

楠田氏 もう一つ、家で仕事をするというのは、集中力が高まると思うのです。ただ、一方で、今はスマホを見ると、いろいろな情報が何でも入ってきます。家にいると、仕事をしながら、ついスマホを手にとってしまう。すると、良い情報も悪い情報も、本当なのかフェイクニュースなのかわからない情報があふれていて、見てしまうと、今度はそれについて考えてしまいます。私自身を含めて、スマホが常に手放せないという人は多いと思います。こういう情報をシャットダウンするにはどうすればよいでしょうか。

平井氏 こういう話があります。お釈迦様の阿難という弟子が大変な美男子で、街に托鉢に行けば、若い女性が出てくる。阿難の方も若いから、若い女性を見ると心が動揺するというので、「どうしたらいいでしょうか」とお釈迦様に相談したところ、一言「見るな」と。スマホについても、「見るな」ということになりますが、もう少し言えば、どうやって見ない工夫をするかでしょう。見てしまったときは、流すしかないでしょうね。

楠田氏 流さないで、それについて考えてしまいがちですよね。人間は。

平井氏 そうでしょうね。

楠田氏 東京の新型コロナ感染者数も毎日見て、今日は1,000人切っているといいな、ああ、まだ、こんなにいるなと。(9月中旬時点)

平井氏 でも、あの数は自分の行動には関係がないですよね。少なくなることはいいことですが、数が多いから、少ないからといって、自分ができること、自分のやることは変わるわけではありません。自分の行動が左右されることはないと思いますね。

楠田氏 確かにそうですね。でも、とにかくスマホを一日中見てしまいます。就寝中に起きたときも、無意識にスマホをチェックしています。

平井氏 自分とスマホ、どちらが主人公なのかということですね。当然、楠田さんにとっては自分が主人公で、スマホは使うべき機械ですね。でも本当にそうでしょうか。それだけ気になるわけでしょう。スマホの方が主人公になっている。そんなスマホに自分が使われてしまっているような人が、最近はたくさんいるんじゃないかという気がしています。

楠田氏 そういう人が増えているかもしれませんね。
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