令和3年度の年末調整は、昨年度と比べてそれほど大きな変更点はありませんが、電子化などによる業務の効率化が期待できるシステムになっています。毎年必ずクリアしなければならない業務だからこそ、少しでも効率化を進めていきたいですよね。「年末調整の電子化」がまだできていないようでしたら、これを機に検討してみてはいかがでしょうか。それではまず、今年度と昨年度でどのあたりが違うのか見ていきましょう。

年末調整の電子化に後押し? 「押印義務」が廃止に!

労務関係では、「36協定」や「就業規則」などについて行政に届け出る書類が押印廃止となっていますが、税務関係の書類についても、原則として押印が廃止となっています。具体的には、従業員に書いてもらう「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」において、令和3年度・同4年度の様式では押印が不要になっています。

また、これまでは従業員から年末調整の申告書を電子データで受け取る場合、税務署から事前に承認を受ける必要があり、実際に運用できるまでにタイムラグがあったためハードルが高かったのですが、この事前承認が不要となりました。

このように、年末調整の電子化を進めやすくなったわけですが、これまで書面で処理していた年末調整の業務を、いきなり電子化すると言われても、何がどのように便利になるのかが分からなければ、これまでのやり方を変えるのは難しいでしょう。

そこで今回は、年末調整の電子化がどれだけ便利なのか、どのように導入していけばいいのかをご説明しましょう。

「年末調整の電子化のメリット」とは

これまでの年末調整の業務は、すべて書面で行なっていたため、従業員は保険会社などからくる控除証明書の数字を申告書に記入し、計算をしていました。また、会社側は従業員から提出された申告書について、計算間違いなどをチェックしていたため、手間と時間がかかっていました。さらに、記載間違いがあると、従業員に訂正依頼をかけなければならないため、業務が前に進まないこともよくありますね。

しかし、業務を電子化して進めるようになると、従業員は控除証明書などの情報をデータで取得し、それを会社に提出するため、手書きの手間がなくなり、電卓をたたきながらの記入も不要です。会社にとっても、手書きによって起こる計算間違いなどが少なくなるため、業務の効率化が期待できます。また給与システムへの入力がなくなりますから、業務担当者の負担もかなり軽減されることでしょう。加えて、電子データでのやり取りになることで、書類保管のコストの節約にもなります。

では、年末調整の電子化を導入するためには、どのような準備が必要なのでしょうか?

「年末調整の電子化」を進めるために必要なこと

会社側が行う準備は、大きく分けて2つあります。

1)従業員への周知

年末調整の電子化を進めるにあたり、法律上「従業員の同意」は必要ありませんが、従業員の協力なくして電子化の効果は見込めません。また、電子化に際して、従業員は事前に保険会社などから“控除証明書をデータで受領するための手続き”をする必要があります。そのため、できるだけ早く周知しておくことが重要です。

2)給与システムの改修

従業員から年末調整の情報をデータで受け取った後は、現行の給与システムに取り込む必要があります。つまり、給与システムに変更を加えることになるのです。そのため、導入している給与システム業者へ問合せが必要となるでしょう。

さらに、従業員には、年末調整の申告書を作成するための「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(年調ソフト)」をインストールしてもらう必要がありますので、こちらもあわせて案内するのが良いでしょう。この「年調ソフト」は、国税庁から無償で提供されており、パソコンとスマートフォンそれぞれで使えるアプリが用意されていますので、導入のハードルは低いかと思います。


いかがでしょうか。

今までの業務システムを変更することは大変ですが、軌道に乗せることができれば毎年の業務がグッと楽になります。ぜひご検討ください!

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