第2回 早稲田大学:多様な人材を輩出、就職の先を見据えた価値観形成を重視

これからの新卒採用を考える〜大学キャリアセンターインタビュー〜

校名の由来は「早稲田」という地名。現在、早稲田キャンパスには政治経済学部や法学部などの文系学部、戸山キャンパスには文化構想学部と文学部、西早稲田キャンパスに基幹・創造・先進理工学部が置かれています。この他にも所沢キャンパス、本庄キャンパス、北九州キャンパスがあり、全学生数は5万人を超えています。
慶應義塾大学とともに「私学の雄」と呼ばれることも多く、校風はかなり異なるものの両校が日本を代表する私立大学であることは間違いないでしょう。
全国から多くの学生が集まり、海外からの外国人学生は年間約7,900人以上と国内トップクラス。全学部で留学生を受け入れています。多様な地域から多様な学生が集まっていることは、早稲田大学の最大の特徴と言えるかもしれません。

ゲスト

  • 諸橋 信秀 氏

    諸橋 信秀 氏

    早稲田大学
    キャリアセンター長
    日本私立大学団体連合会就職問題委員会委員
    大学職業指導研究会幹事

    早稲田大学第一文学部卒業。学生部事務副部長、理工学術院統合事務・技術センター事務副部長、所沢総合事務センター事務部長等を経て現職。

圧倒的な多様性と自由度

早稲田大学の特徴は、さまざまな価値観を受け入れる多様性と自由度です。自分自身の可能性を決めつけることなく、眠った能力を開花させるためには、何と言ってもまず「チャレンジしてみる」ことが大切です。その姿勢こそが自分自身の成長につながります。

本学には、学生が自分の可能性を引き出すチャレンジをするためのあらゆる環境が用意されています。学生が何をしても基本的に咎められることはありません。ただし、すべては自己責任です。思想や信条についても同様です。

本学の学風は、建学の精神である「学問の独立」「学問の活用」「模範国民の造就」によって培われ、今日まで受け継がれてきました。このような早稲田気質をあらわす指標の一つとして、卒業時にベンチャー起業する学生の多さがあります。実際、2017年卒の学生は44人が起業しております。

学生の人間力向上を目的とした支援

キャリアセンターでは「学生にとって学業と課外活動が最も大切な活動である」との考えに基づいて活動に取り組んでいます。学生には、ボランティア、留学、部活、インターンシップ、アルバイトなど、様々な課題活動を通じてじっくりと人間力を磨いていってもらいたいのです。

就職率アップを目標にする大学も多いですが、私たちは就職率に重きを置いていません。就職率は結果であって目的ではないからです。本学が重視するのは、学生が自立した社会人として世に出るために必要な素養や地力の養成です。

そのために低学年から「みらい設計支援」という活動を行っています。具体的には、社会で活躍する卒業生をお招きして講演いただく「先輩と考える自分の『みらい』セミナー」や「インターンシップガイダンス」の開催、学内の課外活動を紹介する「みらい設計ガイドブック」の配付などを実施しています。

就職活動期の学生にも、就活テクニックなどに重きを置いた支援は実施していません。あくまで学生の人間力向上につながる支援を意識しています。

特に重視しているのは「自己分析」です。自己分析とは、自身の価値観や興味・関心、能力を見つめ直し、どのように社会に貢献していきたいか、つまり「自分が本当にやりたいこと」について考えることです。自己分析をベースにした主体的な就職活動を促進するため、「就活スタート講座」「自己分析講座」「業界・企業研究講座」などを実施しています。

また、近年はサマーインターンシップが急増しており、多くの学生が1日・2日程度の短期インターンシップに参加しています。しかし、私たちはインターンシップを学生が成長するための就業体験と位置づけているため、5日間以上、原則的に無報酬のもののみを実施・紹介しています。

勤務地ではなく自分のやりたいこと基準で就職する学生たち

卒業生の進路は、学部卒では就職する者が7割、進学が2割、その他が1割です。就職する者の半数は採用数の多い約220の機関に就職しますが、全体では約2,750機関に就職しています。

2,750機関の本社所在地を調べてみると、47都道府県(海外は34か国)すべてのエリアに就職していることがわかりました。他大学では「首都圏でなければ嫌だ」というこだわりが強い学生も多いと聞きますが、本学の学生は勤務地にこだわらない人も多いようです。「自分が本当にやりたいことは何か?」を軸に就職先を選んでいるため、結果的にあらゆる地域に就職しているのかもしれません。

性格の異なる2つの学内合同企業説明会

採用広報が解禁される3月上旬に開催される学内合同企業説明会は、500社以上が参加する大規模なものです。1企業1教室で開かれ、多くの学生が集まる企業には大隈講堂などを割り当てます。企業は半日に4回の説明会を開き、学生は午前の部と午後の部を合わせて1日で最大8社の説明を聞くことができます。今年は延べ8日間、延べ8万2,000人の学生が参加しました。この時期には英語による合同企業説明会も実施しています。もう一つの合同企業説明会は6月下旬から8月初旬にかけて開かれます。参加企業は約130社でフロアを5〜6ブースに分けて割り当てます。
この2つの合同説明会は性格がかなり異なります。3月は採用選考が解禁されていないため、「採用選考に関する企業説明会」であり、学生に企業を認知してもらう役割が大きいです。ただ、6月以降は既に選考が解禁されており、採用活動を終えている企業や就職活動を終えている学生も数多く存在します。なので、6月以降の合同企業説明会は「採用活動継続中の企業」と「就職活動継続中の学生」が参加する、選考に直結しやすいイベントなのです。

希望があればすべての企業に会う

これから早稲田の学生を採用したいとお考えの企業様は、まず連絡をいただき、実際に会ってお話を聞かせてください。ご連絡いただいた企業には調整をしてできるだけお会いしたいと考えています。

中途を含め早稲田卒の採用実績があるのかないのか、どんな業種でどんな製品・サービスを提供しているのか、労働条件や企業文化、欲しい人材タイプなどがわかる資料もご用意いただきたいです。キャリアセンターの活動の都合上、比較的お時間を取りやすいのは1月〜3月頃ですが、事前に連絡をいただいた上でお越し頂けますと幸いです。

そして、各条件が一致した場合は合同説明会に参加して頂ければと思います。また、本学の考え方に共感して頂けるなら、インターンシップの実施もお願いしています。

ただ、大学と企業の関係は実績を積み上げながら、長期的に醸成していくものと考えています。「すぐに学生を採用したい」という性急な要望は早稲田のキャリア育成の考え方と馴染みませんのでご容赦ください。

学生の育ちを阻害する就活の早期化と長期化、そして親の介在

最後に、キャリアセンターとしての問題意識を述べたいと思います。ひとつは就職活動の早期化と長期化の弊害です。3年生の6月のサマーインターンシップのエントリーに始まり、終了するのが4年生の6月とすると12カ月も拘束されてしまいます。このような日程では学業や課外活動に注力することは不可能であり、学生の学びを企業の採用活動が阻害していることになります。企業は入社後に活躍する素養のある人材を採用したいはずなのに、本末転倒になっていると思います。

もう一つの問題は、学生が親の意見に左右され過ぎることです。親は、自分の常識を子どもに押し付けがちです。例えば、自分の知らない企業への就職に反対する親がいますが、これでは子どもの人生を歪めてしまいます。就職活動は自分自身の意志で進路を決断していくことが重要であり、子どもの自主性を育むためには、一歩引いて温かく見守るような姿勢が適切なのではないでしょうか。
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著者プロフィール

キャンリクフォーラム事務局

2011年から開催してきた「大学と企業の合同相談会」。「大学との関係構築が最重要施策」とされる中、大学との新しい関係構築の場をご用意いたしました。求人相談、インターンシップ募集、学内セミナー等への参画相談など、個別の大学キャリアセンターブースにて、各校の部課長や担当者と1社ずつじっくり相談できます。首都圏の大学だけでなく、全国から50の人気大学が一堂に集結しますので、半日で効率的に大学関係者と関係構築をしていただけます。
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