「会社をつくる」主体的な人材の獲得とその活躍を促す、スタイル・エッジの人事戦略とは

HRプロ編集部取材×注目人事トレンド

昨今の人手不足を背景に、求める人材の獲得はどの企業にとっても深刻な課題となっている。また、近年では若年層を中心に、職場選びにおいて働きやすさを重視する傾向も顕著だ。事業成長の担い手となる人材をいかに獲得するか、そしてその人材が活躍できる環境をいかに整えるかが、企業における人事戦略のカギになるといえるだろう。今回は、設立から11年目を迎え、いまだ成長を続けるベンチャー企業、株式会社スタイル・エッジ(代表:金弘厚雄)の執行役員 人事部長 花咲圭祐氏にインタビューを行い、事業の急成長期において同社がどのように人材を獲得し定着させてきたか、その取り組みを聞いた。

クライアントの事業を主体的にとらえ、チームとして課題解決へ並走

――はじめに、貴社の主な事業内容やその特徴を教えてください。

花咲:士業・師業向けのハンズオン型総合コンサルティング事業を展開しています。一般的なコンサルティングでは、要件定義から課題を抽出し、解決策を提案するところまでを行いますが、弊社はその先の実行支援まで行うのが特徴です。クライアントが課題の解決に至るまで法令に基づいたうえで責任を持って並走しています。
 創業当初は、士業向けWEBマーケティングを主な事業としていました。ですが、事業の性質上、集客面までは支援できても、そこから最終的な受注に至るか否かはクライアント次第の部分が大きかったのです。そこで、よりクライアントの売上に直接つながるような踏み込んだ支援を行いたいという代表の金弘厚雄の想いから、士業に対する営業支援をスタートさせました。そして、現在では「事業計画」「ITインフラ構築」「マーケティング」「営業」「PR・ブランディング」「採用」「組織マネジメント」といった経営に必要となるノウハウをワンストップで提供する総合コンサルティング企業になりました。

――そのように事業を展開・拡大していくにあたって、どのような人材を必要としてきたのでしょうか。

花咲:弊社は今年で設立11年目を迎えましたが、人材に対して一貫して重視しているのは、仕事に取り組むうえでの主体性です。一般的なコンサルティング企業では、ひとりのコンサルタントがクライアント企業の担当になり、改善策を提案しますよね。一方、弊社では、スタイル・エッジグループという会社、つまりチームで役割分担しながら、クライアントを支援するという体制をとっています。そのため、メインの窓口としてフロントに立つコンサルタントだけでなく、エンジニアや広報、マーケティングなど、あらゆる職種の社員がクライアントと直接接する機会を持っているのです。言い換えれば、一人ひとりがクライアントの事業を自分事として捉え、改善提案しなければならない環境があるとも言えます。したがって、スキルや知識、ノウハウだけでなく、それらを用いて主体的に仕事に取り組むというスタンスを持った人材を何より大切にしています。

内定率・内定承諾率を重視した、真に効率的なダイレクトリクルーティング

――求める人材を獲得するために、どのような採用の取り組みを行っていますか。

花咲:地道なダイレクトリクルーティングを重視しています。実は新卒採用でも、大手採用サイトには求人を出していないのです。新卒採用に特化した人材紹介会社からの紹介や、リファラル採用が中心で、2018年卒入社以降は、インターンシップにも力を入れています。
 今は売り手市場ですから、もちろん他の企業と同様に採用での苦労はあります。媒体への求人の出し方を変えるという施策だけでは、なかなかうまくいきません。企業規模もまだ小さく、「スタイル・エッジ」と聞いてピンとくる学生はほとんどいないでしょう。ですから、母集団の数を増やしてそのなかから求める人材をとっていくという採用の仕方は難しいですし、今の弊社のフェーズでは、効率的な採用活動ではないと考えます。それよりも、我々の会社に合った人をいかに集め、内定率・内定承諾率を高めるかということを重視しています。イメージとしては、1000人に接してそこから10人に入社してもらうというよりも、100人に接して5人に入社してもらうといった具合です。

――ベンチャー企業では、中途採用がメインになることが多いかと思います。貴社が新卒採用を重視し始めたのはいつごろ、どのようなきっかけからなのでしょうか。

花咲:プロジェクトとして動き出したのは2016年です。代表の金弘厚雄の指示で2017年卒入社の新卒採用をとりやめ、2018年卒入社に向けて丸2期分使って、新卒採用を一新しようということで始まりました。会社のフェーズとして幹部候補の育成を長期的に考える時期にさしかかり、新卒採用をより重視する必要があると判断したのです。人事部を発足するなど組織体制も整えて本格的に取り組み始めました。新卒採用における採用ターゲットやペルソナ、KPIを明確に設定し、それに沿って戦略的に採用活動をしています。

――人材獲得競争が激化するなかで、「他社と比べられたときに、どこで自社を選んでもらうか」という比較優位性や魅力づけが重要になってくると思います。その点について、貴社で意識していることはありますか。

花咲:コミュニケーションに時間を惜しまないことは意識しています。それも、先ほどの話でいうと、100人にそれぞれ1時間かけるというより、10人にそれぞれ10時間をかけるというイメージです。効率化のためのツールも使いますが、その一方で、個々にあわせて対応方法を変えるなど、決してルーチンワークで済ますことのないようにし、コミュニケーションには時間を惜しみません。弊社を理解してもらい、本当に求める人材に入社してもらうための努力は惜しまないということです。実際に入社された方からも、「受けた会社のなかで一番親身になって話を聞いてくれた」「他社と比べてコミュニケーションが多かった」といった声をよく聞きます。
 弊社の採用活動は一見、非効率にみえるかもしれませんが、内定率・内定承諾率をみると、費用対効果の面でも確実に成果が出ています。そうした本質的な意味で効率のよい採用活動を大切にしています。

自己の目標と業務の目標を合致させる人事考課制度で、パフォーマンスを向上

――獲得した人材の定着については、どのような取り組みをされていますか。

花咲:まずは人事考課における個々とのコミュニケーションです。たとえば、今やっている業務のミッションを達成することが、社員個人の目標達成につながるかを意識しながら話を聞きます。そして、今の業務に対する努力や成長が、自己の目標を達成することにもつながると感じてもらえるように考えます。考課では、半期ごとに定性的・定量的な目標設定を行うとともに、半期前に設定した目標に対する評価を行い、数値化して管理しているのですが、指標には、上長の評価だけでなく、本人自身による評価も含めています。
 また、目標設定と評価の段階では、社員本人と部門長の認識をしっかりすり合わせることを大切にしています。文書だけでは認識のズレが生じることもあるため、面談を行うのが基本です。また、面談には私やマネージャーが同席し、会社、部門長、個人の認識を一致させるようにしています。さらに、3カ月に1回は目標を見直すための面談を行い、必要に応じて軌道修正しています。
 面談の多い人事考課制度なので、社員や部門長からすると負担を感じることもあるでしょう。しかし、社員が自分の業務に少しでも疑問があるとパフォーマンスは下がってしまいますし、社員個人と部門長、会社の認識のズレからひずみが生じると、場合によっては離職につながってしまうこともあります。だからこそ時間や労力をかけても、丁寧な人事考課を行うことが重要だと考えています。

付加価値ではなく、会社のミッションとして取り組む働く環境づくり

花咲:人材の定着のためにもうひとつ、組織としての働く環境づくりにも取り組んでいます。なかでも、4年前に設置した社内託児所は、社内外から高評価を得ました。取り組みのきっかけは、子どもが生まれた女性社員が職場復帰を希望しているにもかかわらず、保育園の待機児童問題などで復帰できない状況にあったことです。さらに、当時から若い女性社員の比率が増えており、今後、産休・育休を取得する社員が徐々に増えていくことも予想されました。これらの状況を鑑みて、必要な環境整備を行ったという経緯です。この社内託児所の取り組みが評判だったこともあり、その後も代表の金弘厚雄名で健康経営宣言を行ったり、くるみんマークを取得したりしています。最近では、インフルエンザの予防接種を会社が全額負担する取り組みが好評です。インフルエンザに罹る人が増えればダイレクトに業務に響きますから、わかりやすい制度といえますね。あらゆる面で働く環境を整備すれば、その分社員がパフォーマンスを発揮できるようになり、その結果、成長にも必ずつながると考えています。

――働く環境づくりに取り組むうえで、工夫していることを教えてください。

花咲:取り組みの実施に向けては、その都度チームを作り、社員を巻き込んだプロジェクトとして進めるようにしています。代表や経営陣だけの判断で進めるのではなく、社員の意見を聞いて反映させ、社員のニーズに合った施策にしていくのです。「社員みんなで働く環境を整えている」という感覚を持って取り組むことを大切にしています。
 働く環境づくりについては、会社の「付加価値」ではなく、「ミッション」として取り組んでいます。具体的には、「ダイバーシティ推進室」という組織を設けて、取り組みを一層推進しています。

入社する人材によって事業も会社も変わる

――最後に、貴社における今後のビジョンについて、事業展開および組織づくり、それぞれの観点からお聞かせください。

花咲:いわば「外側の改革」としての事業展開についていうと、まず、現在行っている士業支援事業は根幹事業として、今後も引き続き強化していきたいと考えています。同事業については、クライアントが求める理想の組織をつくるためにやれることはまだまだ残っているという認識です。そのなかでサービスのクオリティを高めていくため、また、需要が高まっているという意味でも、リーガルテック事業に力を入れるべく、グループ企業のスタイル・エッジLABOを設立しました。さらに昨年には医療分野にも注力していくため、スタイル・エッジMEDICALの設立もしました。
 それらに付随する「内側の改革」としては、社員が組織のなかで最大限パフォーマンスを発揮できる環境づくりに取り組んでいきます。それが先程申し上げた「ダイバーシティ推進室」のミッションです。従業員規模が200名近くになったことから、従来のように個人個人の活躍で成果を出すだけではなく、チームの力が必要になってきました。今後は、組織としていかにパフォーマンスを発揮するかを意識して組織づくりをしていきたいと思います。
 スタイル・エッジという会社は、社員一人ひとりが主体的に動いて事業を展開していくため、入社される方々によって事業の広がり方は変わっていきます。「こういう会社に入りたい」というよりも「こういう会社をつくっていきたい」という発想の方に来てほしいですね。そういう人材が集まることが、主体性のある社員が集まることにもなると思っています。求める人材を獲得し、人材が組織のなかで主体的に活躍できるような組織づくりを、今後も推し進めていきたいと考えています。
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HRプロ編集部

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