選考離脱率5%減、新卒採用新時代における内定率向上の秘訣

HRプロ編集部取材×注目人事トレンド

本当に必要な人材をいかに効率よく採用するか――。採用氷河期に突入した昨今、採用活動は、「量」から「質」への転換が求められている。そして、その鍵となるのが「採用の自動化(Recruiting Automation)」である。その分野のメインプレイヤーである日本データビジョン株式会社が、採用担当者向けの勉強会を開催。19年卒マーケットの動向、採用新時代のトレンド、選考離脱率を下げた事例…という3つの観点から、採用力を高めるために取り組むべきことを提案。スピーカーは日本データビジョン株式会社の代表取締役社長 太田 和人氏が務め、ワークショップを取り入れた活発な勉強会となった。

19年卒マーケットの動向

〜思ったよりも早く収束したマーケット〜

 まずは一人当たりのエントリー社数の推移を見てみましょう。2015年は一人につき95社くらいでしたが、18年卒になると27.9社、そして19年卒では20.7社と、1年で▲7.2と大幅に減少しました。最近の就活は、できるだけエントリー社数を絞って、持ち駒をあまり拡げない傾向になってきています。では、学生たちはどういうタイミングでエントリー先を決めているのでしょうか。調査結果によると54.6%が3月1日以前にエントリー先を決めていたというデータが出ています。次に、エントリーする際の気持ちを聞いたところ、従来は「興味がある・興味が湧いた」が半数近くを占めていましたが、19年卒では「選考試験を受けたい」、「入社したい」といった答えが増えており、31.6%が選考を意識してエントリーしていました。以上のことから、広くエントリーして情報取得していた従来の傾向から、選考に進むためのエントリーへと変化してきていることが伺えます。
 続いて採用スケジュールの開始時期です。面接もしくは内告の開始時期ピークは1カ月ほど前倒しとなっており、3〜4月が採用活動の肝になっています。採用スケジュールも全体的に2週間程度の前倒し傾向にあります。こうした早期化の流れはインターンシップの活性化が要因になっていると言えるでしょう(昨年の段階で3分の2の会社がインターンシップを実施し、3分の2の学生がインターンシップに参加していますが、今年はさらにその数字が伸びると予測)。結果として3月1日時点での内定率は過去最高(8.0%)を記録しました。では、今後の就職活動の方針・戦略はどうなっていくのでしょうか。学生に聞いたところ、「新たな企業を探す」、「これまでに興味をもった企業を中心に活動する」という声が例年より減少。一方で「現在選考が進んでいる企業に絞って活動する」、「志望度の高い企業のみに絞って活動する」という声が増え、合わせて28.1%が「持ち駒で終える予定」と考えているようです。
 21年卒採用より倫理憲章が見直される可能性が高く、さらに混戦が見込まれると思います。経団連は2012年春入社の学生を対象とした就職活動ルールの見直しに着手しています。@採用面接と説明会の解禁を3月に一本化、Aルールを「一つの目安」と緩める、B採用面接を6月から4月に前倒し、Cルールの廃止…以上4つの案を軸に検討を進め、政府や大学との調整を急いでいるようですが、こうした動き自体が遅きに失した感は否めません。
 以上19年卒マーケットの動向をまとめると、まず学生は手持ちの駒を増やさない傾向を強めています。そして企業・学生の動きとともに超早期化が進み、さらに多くの学生が持ち駒だけで就活を終えることが見込まれています。

セミナー内ではグループ毎に各社の採用傾向を情報共有し、今年上手くいったポイントや学生動向の昨年との違いなど活発に意見が交わされた。

【主な意見・声】
◎3月になると学生も概ね情報収集した後という印象があり、3月に開催する説明会やイベントは参加率が非常に悪い。各種イベント等はその前の夏くらいから始めておかないと遅いのではないか。
◎マスのイベントより小規模なイベントのほうがじっくり話すことができて効果的である。
◎昨今は売り手市場なので、社名、あるいは業務内容が知られていないと苦戦を強いられる。
◎ダイレクトリクルーティングは良い面と難しい面がある。入社後のミスマッチを防ぐために有効だとしても、手間や時間がかかるため、採用スタッフは大変である。
◎エントリーに関しては、昨年を下回っているというのが共通した意見だった。
◎代表者に登壇して理念を話してもらうなど、説明会のコンテンツを見直すことで参加者数が増えた。
◎お金をかけてナビサイトの検索順位を上げたら、エントリー数と説明会の参加者数に直に結びついた。
◎インターンシップに力を入れている企業が多い。長期間のものより、1dayや2daysくらいのもののほうが集客しやすい。

このあと、VUCAの時代に必要な新しい考え方でポイントになる3つのキーワードや、19年卒で成功した5つのケースについての講義が続きます。続きはダウンロードしてご覧ください。


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著者プロフィール

日本データビジョン株式会社 代表取締役社長 太田 和人 氏

大学卒業後、日本生命保険相互株式会社に入社後、総合商社日商岩井(現双日)グループ株式会社アトラクス(現NOC 日本アウトソーシング)を経て、株式会社シンカに入社、専務取締役を経て代表取締役就任。その後、イグナイトアイ株式会社を設立し、代表取締役就任。創業メンバーに経営を委譲し、日本データビジョンに参加。採用支援20 年の経験と新スキームの構築の実績を持つ。

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