HR総研では、働き方改革の実態について例年調査を実施しており、今年は2月に「働き方改革に関するアンケート」を実施した。
コロナ禍においてニューノーマルな働き方に移行する企業が増加する中、働き方改革の取組みにはどのような変化が生まれているのだろうか。
以下に、フリーコメントを含めて調査結果を報告する。

<概要>
●大企業・中堅企業での取り組みは9割、その目的は「生産性の向上/業務の効率化」が最多
●「有給休暇の消化促進」が最も多く8割、「テレワークの導入」が大幅増加
●働き方改革の課題は「管理職の強いコミットメント」と「経営層の理解と強い推進力」
●労働時間短縮のための取組み「ノー残業デーの設定」が最多も5割未満
●年次有給休暇の取得推進のための取組み「年次有給休暇の計画的取得」が6割
●テレワーク導入は中小企業でも6割超、働き方改革の目的により成功率が異なる傾向
●人事評価制度「適合している」が6割以上、テレワーク未導入企業で適合率がやや低い傾向
●適合する企業の改定時期「3年以内」以前が6割、働き方改革しない企業の6割で「改定予定なし」
●「時間と場所」に関する働き方改革による「働きがいの向上」は2割

大企業・中堅企業での取り組みは9割、その目的は「生産性の向上/業務の効率化」が最多

働き方改革への取り組み状況については、企業規模別に見ると、従業員数1,001名以上の大企業において最も取組みが進んでおり、「積極的に取り組んでいる」が53%と半数を超え、「一部、取り組んでいる」(38%)と合わせた「取り組んでいる」派は91%と9割を超えている。301〜1,000名の中堅企業でも「取り組んでいる」派が92%と、ほとんどの企業が何らかの取組みをしている一方、300名以下の中小企業では「積極的に取り組んでいる」が25%と、大企業の半分以下の割合にとどまり、「取り組んでいる」派は、73%で大企業や中堅企業より約20ポイントも低い取組み率となっている(図表1-1)。

【図表1-1】企業規模別 「働き方改革」への取組み状況
また、働き方改革に取り組む目的は、「生産性の向上/業務の効率化」が最も多く75%、次いで「長時間労働の是正」が71%、「ダイバーシティの推進」及び「従業員満足度の向上」がともに45%などとなっている(図表1-2)。

【図表1-2】「働き方改革」に取り組む目的

「有給休暇の消化促進」が最も多く8割、「テレワークの導入」が大幅増加

働き方改革に取り組んでいる企業において実施されている具体的な取組み施策は、「有給休暇の消化促進」が最多で81%、次いで「残業時間の削減」が76%、「多様な勤務時間の導入(テレワーク)」が69%などとなっている(図表2-1)。
上位2項目は昨年結果ともほぼ同等となっている一方、「多様な勤務時間の導入(テレワーク)」は昨年より24ポイント上昇しており、コロナ禍において急速にテレワーク導入の普及が進んでいることがうかがえる。また、昨年との対比で見てみると、「人事評価指標・方法の変更」が2倍以上の伸びを見せており、テレワークの導入をきっかけに見直しがされたケースが多いものと推測される。

【図表2-1】働き方改革での具体的な取組み施策
次に、企業規模別に見てみると、大企業で最も多いのは「有給休暇の消化促進」で、86%と9割近くになっている(図表2-2)。中堅・中小企業でも8割近くが取り組んでおり、いずれの企業規模においても取組みが広がっていることがうかがえる。また、大企業では次いで「多様な勤務時間の導入(テレワーク)」が81%、「残業時間の削減」が76%などと上位6項目までは6割以上の企業で取り組まれており、ほとんどの項目において、大企業では中堅・中小企業に比べて取組み率が高いことが分かる。中堅・中小企業では、上位3項目は6割を超えるものの、それ以降の項目ではほとんどが4割未満となっており、働き方改革への取組み状況について大企業への遅れがうかがえる。

【図表2-2】企業規模別 働き方改革としての取組み施策
また、取り組まれている施策の中で上手くいっている施策について見てみると、最も上手くいっている率が高いのは「有給休暇の消化促進」で72%となっており、次いで「多様な勤務時間の導入(テレワーク)」が70%、「残業時間の削減」が66%などとなっており、取組み率と上手くいっている率ともに6割を超えている(図表2-3)。それ以降の項目では、「多様な勤務時間の導入(時短勤務、フレックスタイム制など)」(58%)以外はすべて上手くいっている率と取組み率ともに半数未満となり、働き方改革の効果的な運用の難しさがうかがえる。
では、働き方改革を推進する上で、現状における主な課題としてはどのようなものがあるのだろうか。

【図表2-3】働き方改革として取り組む施策の実施状況

取組み効果が出ている企業は6割、「長時間労働の是正」での効果が最多

働き方改革への取組み全体の効果については、「やや効果が出ている」が51%で最も多く、次いで「どちらとも言えない」が33%、「効果が出ている」が11%などとなっている。「効果が出ている」と「やや効果が出ている」を合計した「効果が出ている」派は62%と6割を超える一方、「効果が出ていない」と「あまり効果が出ていない」を合計した「効果が出ていない」派は、わずか5%となっている(図表3-1)。
また、働き方改革に取り組む中で効果が得られているテーマは、「長時間労働の是正」が最も多く50%、次いで「生産性の向上/業務の効率化」が38%、「従業員満足度の向上」が18%などとなっている(図表3-2)。

【図表3-1】取組み全体の効果の状況
【図表3-2】働き方改革の効果が得られているテーマ

働き方改革の課題は「管理職の強いコミットメント」と「経営層の理解と強い推進力」

働き方改革を推進する上での課題については、「管理職の強いコミットメント」が企業規模に関わらず最も多く、大企業では52%、中堅企業では51%、中小企業では48%となっている。それに次いで「経営層の理解と強い推進力」が大企業で35%、中堅企業では38%、中小企業では47%となっており、特に中小企業での課題感が高くなっていることがうかがえる。中小企業では、働き方改革の推進においても、経営層の意思や推進力の影響を受けやすいという特徴が色濃く出ているようだ(図表4)。
昨年調査の結果では、大企業において「業務量に対する適正要員の不足」が最多で50%、次いで「管理職の強いコミットメント」とともに「目指すゴール・方針・指標の明確化」が41%などとなっていたが、今回調査では「業務量に対する適正要員の不足」と「目指すゴール・方針・指標の明確化」を挙げる企業の割合は大きく低下している。代わりに「管理職の強いコミットメント」が11ポイント上昇していることから、様々な課題の中でも、管理職の考え方や対応が部署メンバーの働き方に強い影響を与えやすいと捉えられていることがうかがえる。

【図表4】働き方改革を推進する上での課題

労働時間短縮のための取組み「ノー残業デーの設定」が最多も5割未満

続いて「労働時間短縮のための取組み」ついては、取組みが「ある」とする企業は63%、「ない」とする企業が37%と、労働時間短縮に向けて取り組む企業が6割を超えていることが分かる(図表5-1)。この結果は昨年調査時とほぼ同等の値となっている。
実施している施策としては、「ノー残業デーの設定」が最も多く47%、次いで「残業の事前届出制、許可制」が44%、「フレックス・スライド出勤制度」が34%などとなっており、制度やルールの新設に関連する施策が多く取り組まれている傾向がうかがえる(図表5-2)。

【図表5-1】労働時間短縮のための取組みの有無
【図表5-2】時間外労働(残業)削減に向けた取組み施策
このように実施されている施策の中で、上手くいっている施策を見ると、「深夜残業の禁止」が最も多く74%(取組み率29%)、次いで「残業の事前届出制、許可制」が68%(同44%)などとなっている(図表5-3)。
いずれの施策も5割を超える取組み率のものがない中、実施されている施策と上手くいっている施策として相対的に多く挙げられる項目はともに、従業員の働き方を制度やルールの新設によりコントロールする効果が期待される内容となっている。一方、「管理職の意識改革」や「従業員の能力開発」などの社員の意識・行動変容が必要となる施策については、取組み率と上手くいっている率がともに低くなっている。制度面と社員の意識・行動変容面の両面から取組むことで、各施策の相乗効果により安定的でバランスの取れた時間外労働削減に繋がっていくのではないだろうか。

【図表5-3】時間外労働(残業)削減に向けた取組み施策の状況

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】働き方改革に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2021年2月10日〜16日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者、担当者
有効回答:249件

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Eメール:souken@hrpro.co.jp

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